世界に誇る豪華列車は日本国内を走る。なかでも各列車が誇る特等席をご紹介したい。上質感漂うスローな列車旅でこそ、これまで知らなかった日本の風景を味わえるからだ。今回は「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」をご案内。【特集 クルーズ&列車の旅】

日本が誇る豪華寝台列車で巡る、山陰・山陽の絶景と美食旅
日本の特別な寝台車の先駆けとして1989年から大阪・札幌間で26年間運行された「トワイライトエクスプレス」。その伝統を受け継ぐのが「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」だ。季節ごとに木々が装いを変える保津峡、約1㎞続く島根県の折居海岸、そして明石海峡大橋など、山陰・山陽の風景を車窓に映しながら京都から下関までを結ぶ。
一生に一度かなえるべきは、その1車両をまるまる1室の客室にした「ザ・スイート」での滞在。世界に豪華列車は数あれど1両を1ゲストで独占できるのは稀といえる。客車の扉を開ければ玄関スペースが広がり、階段を上がってリビング、ベッドルームへと進む。車両の奥にはバスタブまで備えつけられていて、窓の外を眺めながら湯に浸かることができてしまうのだ。
一方、「ロイヤルツイン」の客室は、車両の左右両側の大きな窓から風景を望むことができるレイアウトに。室内には開閉できる小窓があるため通過していくそれぞれの場所で、その空気を味わえるのも旅人としては嬉しいところ。
1号車と10号車は展望車両になっていて、その先端部分はオープンエアーの展望デッキ。窓を隔てず、風をダイレクトに感じながらどこまでも伸びる線路と周りの景色を楽しめる。運転室を2階部分に設置しているからこそ、先頭車と最後尾車を贅沢にオープンデッキに充てることができているのだ※。
※進行とは逆の最後尾の展望車が展望デッキとなる。
セミフォーマルに装いを替えて向かう食堂車。「菊乃井」の3代目・村田吉弘氏や「アジア50ベストレストラン」にもランクインした「HAJIME」の米田肇氏ほか4名の食の匠が監修する、山陰・山陽の食材を使った料理に舌鼓を打つ。ディナー後は展望車に戻って大きな窓から星空を見上げれば、改めて西日本の美しさに気づかされる。
この記事はGOETHE 2025年7月号「総力特集:豪華クルーズ船&列車の旅」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら