ブランドの起源となる1791年以降、すべての製造を自社内で行ってきたマニュファクチュールブランド、ジラール・ペルゴ。時計製造への情熱に突き動かされてきた歴史のなかで、今回の日本初となるブティックの完成は新たなる躍進の始まりを予感させる。

1970年スイス・ラ・ショー・ド・フォン生まれ。IWCにてチーフ・コマーシャル・オフィサー、サザビーズのスイス・マネージング・ディレクターなど、ラグジュアリー業界で25年以上のキャリアを積む。2025年2月にジラール・ペルゴのマネージング・ディレクターに就任。
誠実に、噓なく、語りかけるために
ジラール・ペルゴ(以下、GP)の歴史はいくつかの絡みあった運命に結びついている。
ひとつは、1791年にジャン・フランソワ・ボットが時計、ギヨシェ、宝飾、金細工の技術を統合した工房を設立した歴史。もうひとつは1854年にコンスタン・ジラールとマリー・ペルゴが結婚し、新たなマニュファクチュールであるGPを創設した歴史。GPの名が世界に広がるなかで、マリー夫人の兄弟であるフランソワ・ペルゴが、スイスから遠く離れた横浜にわたり、日本に時計販売という新たな道を切り拓いていったという。そして1906年に運命が結びつく。前述したジャン・フランソワ・ボットの工房とコンスタン・ジラールのGPが合併したのだ。
そんな歴史的背景を持つGPが2025年4月、新たな歴史を刻む。GPにとって日本初となるブティックが大阪にオープンしたのだ。この特別な空間について、ブランドを率いるマーク・ミシェル=アマドリー氏は熱意を込めて語る。
「ここは深いつながりのある日本の皆様と、親密な時と空間を共有させていただける場所。234年の歴史のなかで、マニュファクチュールとしての誇りを守り続けてきた信念は揺らぐことはなく、その脈々と受け継がれてきたストーリーを直接お伝えしたいと思っています。単に時計を手に入れるだけでなく、200年以上の歴史と、培われた素晴らしい技術を知っていただけたら幸いです」
近年、特に注目を集めるコレクションが「ロレアート」。1975年の誕生以来、独創的デザインと自社製ムーブメントは多くの人々を魅了してきた。美しさと機能性の完璧なバランスを知る時計愛好家であればすぐに、ロレアートを象徴する八角形ベゼルに目が行くはずだ。
「ロレアートは我々にとって非常に重要な存在。すべて自社でデザイン、製造、調達するという徹底した姿勢は、他にはない独自性をもたらしました。しかし、それだけがすべてではありません。歴史を振り返れば、さまざまなデザインのモデルが存在します。今後もより多様な時計を提供していきたいですね」

スイスと日本の国交樹立160周年を記念したモデル。文字盤は日本文化に敬意を表し藍色をセレクト。自社工房で入念に仕上げられ、ケースとブレスレットには鏡面とヘアラインに美しく磨き上げたチタンを採用。深い藍色はしばしば武士の鎧に使われ、”勝色”とされてきた。日本限定100本。自動巻き、Tiケース、径42mm。¥2,805,000
歴史あるブランドが持つ本質そのもの
日本、そして世界に向けて伝えていきたいことがあると言う。
「私の役割は、GPが表現する卓越した技術力や秀逸さなど、エクセレンスレベルをオートオルロジュリーの作品やロレアートのようなアイコニックな作品を通じて紹介することです。大阪のブティックは、まさにそのさまざまな側面をご紹介するための舞台なのです」
アマドリー氏にとって、「ラグジュアリー」という言葉は単なる高級品を意味しない。その信念はブランドの姿勢にも深く根づいている。
「誠実であり、噓がないということ。その時々にふさわしいものであること、真の価値を追求していること。それらが合わさったものがラグジュアリーだと考えます。お客様に対して、我々はそんなブランドでありたいと思っています」
日本初のブティックは、培ってきた歴史、フランソワ・ペルゴ氏が築いた日本との関わり、未来への真摯な想いを体現する空間だ。GPの新たな物語が大阪から始まる。



ジラール・ペルゴ ブティック 大阪
住所:大阪府大阪市中央区西心斎橋1-13-6
TEL:06-6281-1791
営業時間:11:00〜19:00
定休日:水曜
問い合わせ
ソーウインド ジャパン ジラール・ペルゴ TEL:03-5211-1791