ディーン・フジオカ初となるオフィシャル写真集『Z-Ero(ゼロ)』が6月30日発売。美しく鍛えられた肉体、そこに秘めたメッセージが明らかになる。ディーン・フジオカの肉体美を収めた完全保存版ゲーテ最新号はこちら!
トレーニングで野生的な本能を呼び覚ます
6月30日、Dean Fujiokaの写真集『Z-Ero』が発売された。意外にも、自身初めての写真集だ。
「それまでもオファーはありましたが、なぜ写真集をやるべきなのか、という必要性が感じられなかった。今回は従来とは違い、写真集をやりたい、やるべきだと思えたんです」
その思いが生じたのは、自ら初めて企画・プロデュースした主演映画『Pure Japanese』(2022年公開予定)を制作する過程で、心身ともに、これまでにないほど追いこんだトレーニングを行ったからだ。
「この作品は、ひと言でいうとアクション映画です。主演の僕が闘う相手役にはプロの格闘家もいる。彼らと絡むシーンで、薄っぺらで説得力がない身体だったら、役作りとして失敗。長いアクション・シークエンスを演じるためにも、強靭な身体が求められる。自分が言いだしっぺなのに、『できません』とは絶対に言えない。鍛える以外、プランBはないという状況に追いこめたから、ハードなトレーニングにも耐えられました。そうやって作り上げた身体を残したいという思いが強まり、一種のドキュメンタリーとして写真集を撮ることに決めたんです」
映画がクランクアップした翌朝、ロケ地に移動して撮影がスタート。撮影は、映画のスチールカメラマンだった写真家のRK氏。彼がロケ地として提案したのは、Deanの故郷である福島だった。
「彼は僕が福島生まれだと知らなかったみたいです。偶然の一致ですが、自分が40歳という節目の年に撮った映画がターニングポイントになる予感があり、故郷で原点回帰したという意味を込めて、写真集に『Z-Ero』というタイトルをつけました」
役作りのために挑んだのは、バルク(筋肉量)を出すトレーニング。
「実は2年前に頸椎(けいつい)ヘルニアを患い、一度身体作りを根本から見直しました。でも、この映画ではもっとバルクが必要だったので、クランクインするまでの4ヵ月、パーソナルトレーナーと毎日トレーニングに励んだ。ひたすら高重量を上げ続ける“ザ・ウェイト・トレーニング”といった内容。最終的にベンチプレスで120キロを挙上するまでになりました」
筋肥大を繰り返し体重をマックス77㎏まで増やしたが、今回の撮影時の体重は68キロ。写真集で魅せるバルクアップした肉体美にも痺れるが、そこから絞った現時点のフォルムも鋭い切れ味に見惚れる。いったいどちらが本当のDeanなのだろう。
「どちらも自分です。アスリートなら、それぞれの種目に特化した身体作りをすればいい。しかし、僕の場合は役者として役柄に応じた肉体が求められ、同時にミュージシャンとして、歌唱やパフォーマンスに耐えうる最適化された肉体維持が必要。部分的に強みを伸ばすより、全体のバランスを見て弱点をなくし、必要に応じてどんな進化にも対応できるニュートラルな状態を保ちたいと思っています」
ニュートラルな身体作りのお手本は、野生動物だという。
「野生の動物は本能的に合理的な動きを知っているし、天敵に襲われないために弱点のない身体を保っている。ヒトも動物。動物として本来持っているポテンシャルを開花させたら、それが理想とする身体作りにつながると思っています。答えは、全部身体が知っているんです」
撮影では演出としてダンベルを持ってもらったが、現在は自体重でのトレーニングが中心。裸足になり、どんな体勢でも、負荷を分散させながら自体重を確実に操ることに時間を割く。
「逆立ちでトレーニングすることもあります。身体としてはひとつの変わらない構造だとしても、そこにどんな機能をインストールしてワークさせるか、組み合わせは無限大。日常ではあり得ないような姿勢でトレーニングすることによる刺激で、動物的な本能を呼び覚ましたいんです」
『Pure Japanese』という映画は、日本語のDNAが生みだしてきた暴力の様式美にスポットを当てて、日本人のルーツを意識させる内容になっている。それは、海外生活が長いDeanだからこそ出てきたテーマだ。
「身体作りでも自身のDNAを踏まえた理想の形がある。トレーニングって、何より自らを知ることから始まると思うんです」
理想とするのは、元プロ野球選手・イチローの身体だ。
「欧米人のように外側に大きな筋肉をつけて、その筋力の鎧に頼るのではなく、内側から沸き上がるしなやかな爆発力を末端まで伝える機能的な身体です。フォルムは、結果、その機能性から自然に定まるものだと思う。僕はキックボクシングをやっていますが、筋肉量を大幅に増やした時と比べ、無駄を削ぎ落とした今のほうが、ミートした瞬間のインパクトは格段に上がりました」
理想の身体づくりに必要なのはノイズのない前向きな思考
Deanの身体作りのキーワードに、「ノイズ」という言葉がある。辞書的に言うなら、「雑音」という意味だが、彼はニュートラルな身体作りを妨げるものという意味で、ノイズという言葉を使う。
「身体作りは、ジムに行く前に、どういう準備ができているかで、成否が決まる。トレーニング、食事、睡眠という3つの要素が噛み合わないと、思ったような成果は上げられない。食生活や眠りが乱れてノイズがあったら、トレーニングに励んでも期待した結果は出ません。筋トレの瞬間だけ頑張ればいいわけではなく、普段からコンディションを整えて、ノイズの少ない状況にしておくべき」
そのためには、食事への配慮も怠らないという。
「人工的な添加物を含まない、なるべく自然でオーガニックなものを食べたい。1、2回なら何も問題は起こらないと思いますが、長期間にわたって、継続して体内に入る食事を間違えると、大きなノイズになる恐れがあります」
Deanは、グルテンアレルギー。そのためパンなどの小麦製品はいっさい摂らず、麺類は米粉で作ったものに限る。
「食の基本も己を知ることから。自分の体質に合わないものを食べると、栄養だと信じていたものが毒になることもあり得る。バルクアップや減量といった目的に応じた食事プランをその都度立て、食材を吟味します」
Deanは今年41歳を迎える。今後はどのような身体を目指して走り続けるのだろう。
「怪我や不具合も、新たな気づきのきっかけになる可能性がある。ノイズのない前向きな思考があれば、どんな身体が必要なのかは、その都度、己の身体が教えてくれる。直感に従い、時々で最適のトレーニングを続けていきます」
最後に、身体作りに臨む読者にアドバイスをもらった。
「何事もまずゴールを定めることが大切。ゴールが決まったら、最速で結果を出すためにプロの助言を仰いだほうがいい。人生という旅路の時間は限られています。身体作りも、何が正解かを知り、客観的にアドバイスをしてくれるプロのパーソナルトレーナーがいたほうが、迷わず理想へと近づけます」
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