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2021.05.28

老いることはネガティブじゃない! 50代になった吉田栄作の、70代まで翔ばし続ける人生の愉しみ

90年代にトレンディ俳優として、アイコニック的な存在となった吉田栄作。当時は、織田裕二や加勢大周と並んで「トレンディ御三家」と呼ばれた男が、今年で52歳を迎えた。今では“お父さん役”も板に付いてきた吉田に、今回、若かりし頃を知らない24歳のゲーテ編集部員がインタビューした。映画やドラマで見せる優しい笑顔のイメージとは異なる、吉田のストイックな一面とは?

吉田栄作氏

変わりゆく吉田栄作と、変わらない後ろ姿

飾らない白シャツと無地のパンツ。爽やかな笑顔で意気揚々とインタビューに答える姿は、私が吉田栄作という人物を初めて知った、2008年の連続テレビ小説「だんだん」(NHK)での、パワフルな父親そのものだった。

’80~’90年代に若い女性から絶大な人気を博した吉田だが、当時は実際の自分と世間のイメージとのギャップに頭を悩ませていたという。トレンディ俳優として理想的な男性像を演じる裏にあった、「人間って、そんな簡単なものではない」という想い。26歳で単身アメリカに渡ったのも、自身を見つめ直すためだったと語る。

「当時は、吉田栄作というキャラクターをまず知ってもらうことが必要だったけど、話が大きくなりすぎてしまいました。名前だけが一人歩きしていたので、本当の自分と帳尻合せをしたかった。ロサンゼルスの地を選んだのは、青空が好きだし、海が好きだし、ハリウッドがあったので勉強もできたからです」

それまで積み上げてきたものを捨て、「一度、ゼロになろう」と渡米を決意。俳優や歌手である前に、一人の人間であることを大切にしたいという想いからの決断だった。

その頃、主役を演じたドラマ「もう誰も愛さない」。最終回で死にゆく主人公が呟く「どこへ行こうか、これから」という台詞は、吉田が提案して台本に付け加えた言葉だった。将来を模索した弱冠22歳が、「死ぬ時に何か残せる仕事がしたい」と、自らの人生に重ねた台詞であったと当時の心境を振り返る。

2019年9月に発売されたアルバム「We Only Live Once」には、そんな渡米を決意した時の心情を表現した「Zero」など、これまで作詞作曲をした楽曲の中から厳選された8曲を収録。まさにタイトルが示す“一度きりの人生”を、常に自分らしく歩もうとする吉田の後ろ姿が思い浮かぶような楽曲の数々だ。

歌手デビュー30周年! 歌は仕事ではなく、自らを表現する手段

2019年、吉田栄作は歌手デビュー30周年を迎えた。

これまで支えてくれたファンと、30年の歩みを確かめ合う素敵な時間を共有したいと、吉田は昨年6月に記念コンサートツアー「WE ONLY LIVE ONCE」を企画。しかし、コロナウイルス感染拡大の影響で惜しくも延期に。そんな悲願とも言えるコンサートツアーが、今年6月に改めて開催されることが決まった。

自らの職業が何かと聞かれたら、迷わず「俳優です」と答えるという吉田だが、俳優を目指し始めた16歳の頃から音楽には強い思い入れがあるという。高校の仲間と組んだ音楽バンドでは、その美声を活かしボーカルを担当。溢れ出る若きエネルギーを音楽にぶつけた。

「何らかの理由で、俳優をやめなければいけないことがあったとしても、音楽をやめることはないんじゃないかな。音楽好きな俳優として、好きな時に、好きな場所で、好きな奴らとできる音楽を、これからも大事にしていけたらと思っています」と、コンサートツアーの延期にも揺らぐことのない音楽愛を語る。

2019年6月に発売された音楽デビュー30周年記念シングル「Runners High」では、24歳の時に作詞作曲した曲を、現在の吉田栄作の歌声で再収録。よく言われることだが、「マラソンは人生の縮図のようだ」ということを改めて感じさせるこの曲は、まさに30年の歩みを表しているかのようだ。

「上り坂、下り坂、向かい風、追い風、人が水を出してくれる場所もあれば、誰もいない道で人が倒れている時もある。でも、その倒れる人を見て、もう一回立って一緒にゴールがしたかったんです。敵は人ではない、自分の弱さと常に戦って、それに勝った時に自分のゴールがあると思っています」

曲の冒頭にある「俺は人生の1/3を生きた」という歌詞は、自身の人生を70代までと考えていた、24歳の吉田の人生観が表れている。その考えは、今もあまり変わっていないという。ただ、70代で死ぬまでは表現者として現役で活動したいと話す吉田は、現在もランニングやストレッチなどのトレーニングを欠かさない。

ジムには通わず、自宅周辺にある大きな公園の鉄棒などを使って、自己流のメソッドで身体を鍛え上げる。辛い時もあるが、「いま跳ばすことを世間は止める、でも俺は跳ばす、跳ばしたい、跳ばすのさ、脚をくじいても」という歌詞に嘘を付きたくない一心で続けている。僕らがイメージする一本筋な性格は、今も変わらないようだ。

進化し続ける吉田栄作の“新たなステージ”

自分の生き方に悩んだ時は、自身に負荷をかけるように心がけている吉田。2008年に上演されたゾルゲ事件を題材にした4時間に及ぶ舞台では、事件当時の空気感を壊さないよう、セリフはモデルとなった登場人物が話した言語のままだった。スクリーンに表示される字幕のもと、吉田は英語のセリフは英語で、ドイツ語のセリフはドイツ語で役を演じきった。

「本当に苦しかったです。でも、その頃ちょうど俳優20周年だったので、自分に対して『これをやらなきゃ、お前はこの先に行かせてやらない』という思いで演じきりました。楽な方を選ぶと嫌なことが起こるじゃないかって恐怖感があるんです。自分がダメになるんじゃないかって」

今年も7月8日から詩森ろばが脚本と演出を務めた舞台「hedge 1-2-3」に出演する。吉田の役どころは、アメリカ系の投資銀行からバイアウトファンドを立ち上げたエリート金融マン。金融業界を舞台に15人の男女が織りなす群像劇を、「hedge/insider」と「trust-hedge3-」の2作品構成として連続上演する。

「やっぱり見ている人が芝居と思わない芝居が理想です。大好きなアル・パチーノやジーン・ハックマンのように、自身のイメージに囚われず、役柄によって雰囲気をガラッと変える“カメレオン俳優”になりたいですね。何より、自分を選んでくれた監督や演出家に後悔だけはさせたくないです」

専門知識などを調べながら演技の稽古をするのは大変だが、「テレビ番組『マネーの虎』で司会を務めていた経験が、ここで生きるとは思いませんでした」と、嬉しそうに語る吉田。50代になっても積極的に仕事に向き合い、成長の糧にする生き様も、吉田栄作の魅力のひとつなのかもしれない。

老いは恐怖でも憂鬱でもない

最後に、今年で52歳となった吉田栄作にとって、「老い」とはどんな意味を持つのか質問してみた。

「老いることは、ネガティブじゃない。恐怖でも憂鬱でもないですね。誰でも死に向かって進んでいるから、それまでをどう楽しむのか。経験を重ねることで自分の理想とする場所に行けると思っています。アメリカで暮らした経験もそのひとつです」

これまで数多くの映画やドラマを経験してきた吉田は、今でも年齢を感じさせない抜群のスタイルを維持しながら、日々の俳優活動やトレーニングをストイックに続けている。「素敵な70代を迎えるために50代、60代をどう楽しむか。それが今の自分の活力になっています」と話す表情からは、老いることを苦にしないポジティブな姿勢が感じられた。

昨年、コロナ禍でコンサートライブが自粛となり、今までのような音楽活動が困難になったなかで、晴れ渡る青空を見上げて着想を得た新曲「One Fine Day」を発表。世界的にエンターテイメントのこれからが危ぶまれる時だからこそ、今の自分にできることを模索する吉田は、まさに今という時代のなかで“跳ばし続けて”いる。吉田栄作の円熟味を味わえるのはまさにこれからだ。

 

One Fine Day

One Fine Day
78LABEL 1,000 +税

 

吉田栄作 歌手デビュー30周年コンサートツアー「We Only Live Once」
日時:名古屋/6月5日(土)18:00 (17:30開場) 大阪/6月6日(日)17:00 (16:30開場) 東京/6月25日(金)19:00 (18:30開場)
料金:¥8,800 (全席指定)
※入場時にドリンク代が別途必要
※当日券がある場合は+¥500
詳しくはこちら
 

serial number06「hedge 1-2-3」
作・演出:詩森ろば
出演:『hedge/insider』︰吉田栄作、原嘉孝、岡田達也(演劇集団キャラメルボックス)、浅野雅博(文学座)、井上裕朗ほか/『trust』︰吉田栄作、原嘉孝、石村みか(てがみ座)、熊坂理恵子、笹野鈴々音、辻村優子ほか
日時:2021年7月8日(木曜)〜7月19日(月曜)
会場:あうるすぽっと
料金:一般¥6,000 学生¥4,000 障害者割引¥3,000(全席指定)
※7月9日(金)、12日(月)は休演。
※チケット発売 は5月23日から。
詳細はこちら

 

Eisaku Yoshida

Eisaku Yoshida
1969年、神奈川県生まれ。1988年に「ガラスの中の少女」でスクリーンデビュー。TVドラマ「もう誰も愛さない」や「武蔵」、「ブラックジャックによろしく」など、数々の舞台やドラマに出演し、その優れた演技で高い評価を得ている。また、「心の旅」「もしも君じゃなきゃ」でのNHK紅白歌合戦への出場や、デュエットソング「今を抱きしめて」で第36回日本レコード大賞の優秀賞を受賞するなど、歌手としても精力的に活動している。

TEXT=坂本遼佑(ゲーテ編集部)

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