単なるワインアカウントと思うことなかれ。 経営者として円熟味を増す藤田晋氏の文章は、人生や仕事への気づきに満ちている。ワイン好きのみならずビジネスパーソン必見のインスタの一部を公開。
私もコロナで家飲みが増えた当初は、自宅セラーの中からアプローチャブルなのを選んで飲んでいた。しかし、よく考えたら普段の会食では、高いワインを飲んでもビジネス相手や目上の人との会話に集中しているため、ろくにワインに集中できない。一方、家飲みはじっくりワインと向き合うことが出来て、しかも私の場合ほぼ1本自分一人で飲む。つまり、ワインに時間をかけて量も沢山飲む訳だから、家飲みこそ至高のワインタイムであり、この時こそ高いワインを開けるべきである。そのように考えを変えました。
#シャトーオーブリオン(1964)
起業したての25歳の頃、初めてワインが美味しいと思った。インターQ(現GMO)熊谷社長に会食に誘われ、そこで飲んだ5大シャトーに驚いたからだ。確かラフィットだったと思う。それから20年以上、ボルドーからブルゴーニュに変われど熊谷さんにはひたすら美味しいワインをご馳走になっている。そしてコシュデュリやDRCの忘れ難き香りと共に(GMOは素晴らしい会社だ! )と無条件で思うようになった自分がいた。ワイン外交という言葉があるように、接待に有効であることに疑いの余地はない。自分もワインには十分金をかけようと心に誓っている。
#ビアンヴニュバタールモンラッシェ(2011)(2007) #ドメーヌルフレーヴ #マジシャンベルタン(2004) #ミュジニー(1994) #コンジョルジュドヴォギュエ #シャトーカントメルル(1983)
たまにクローゼットにある洋服を整理してみると、意外な発見がある。「俺こんな服持ってたんだ」とか「これ買ったのに全然着てなかったな」とか。下手すると持ってるのに同じのをまた買ってたりする。おそらくみんな多少なりとも経験のある話ではないだろうか。一方これは例外的な話だとは分かっているが、私の自宅には大小10台ものワインセラーがある。最近はワインを整理したり並べ替えてみたりするのが趣味みたくなってるけど、ワインもまた色んな発見と出会いがある。
#モンテプルチアーノダブルッツォ(2008) #ヴァレンティーニ
社外の人と飲んでいる時に、「藤田くんのところの、○○さんは優秀だよね」と社員を褒められてハッとする事がよくある。同じ会社で働いているのに、本当に優秀なのか、外から見てどうなのかは不思議と自分では確信が持てないのだ。これは私だけでなく、ほぼ全ての大企業の社長に共通する事だと思う。逆も然りで、「○○さんは問題だと思いますよ」なんて外から悪口を吹き込まれると、(そうかも…)なんて影響されてしまう社長もいる。そうやって大きな会社の人事が外からの評判によって左右される場面を何度も見てきた。その理由は、外からの意見の方が客観的に感じるのかも知れないし、人数が多くて一人一人が何をやってるかまでは分からないからかも知れないし、孤独な立場がそうさせているのかも知れない。いずれにしても大企業の社長になっても自分の見る目に確信を持つのは難しいということだ。
#メニルトラディション(1986) #アランロベール #コルトンシャルルマーニュ(2014) #シャンベルタン #ドメーヌルロワ
私の会食の大体3分の1は社員との社内会食である。去年はコロナ禍で私も社内は激減したけど、もともと社員とは全くご飯に行かないという社長も結構いる。理由を聞くと、不平等になるとか、相手がリラックス出来ないとか色々だ。私も、20代30代の頃はまだ良かったけど、だんだん社員と年齢が離れるに従って、相手が楽しめているか不安で注視している。本当は社長とご飯なんて憂鬱だよという感じを察したら、そっと身を引こうと思っている。しかし、その見極めは困難を極める。なぜなら、私自身も、気が進まない目上の人から誘われても断れないことがあり、それでも当日は全力で楽しそうに振る舞い、楽しそうだからまた誘われてしまうという、お互いにとっての負のループに陥ることがあるからだ。社長と会食しているうちの社員が本当に楽しそうなのか、それとも演技なのか、その真相を見破るのは難しい。とりあえず、社員には惜しみなく良いワインをご馳走することにはしています。
#コートロティラランドンヌ(1986)
年俸が高い人材を採用しても、その人が必ずしも仕事が出来るとは限らない。それは高いワインを買っても美味しいとは限らないのと同じである。創業間もない未熟だった頃、それが分からず外資金融やコンサル出身の人を高いということは何か仕事がデキるのだろうと適当に高給で採用して失敗した。年俸も需給バランスで決まってるので、たまたまその人の前職が希少性が高く需要が盛んで多く支払われていただけかも知れないのだ。
#ムルソーペリエール(2007) #コシュデュリ #drcラターシュ(2001)
Susumu Fujita
1973年福井県生まれ。青山学院大学を卒業後、インテリジェンスを経て’98年にサイバーエージェントを設立。2000年には東証マザーズに当時史上最年少での上場を果たした。’14年、東証一部へと市場変更。’16年にテレビ朝日との共同出資でABEMAを開始。’21年3月31日、時価総額が1兆円を突破した。