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2021.04.15

スポーツライブエンタテイメントアプリ「Player!」で自宅がスタジアムになる!

尾形太陽氏

熱狂的なファンコミュニティが作られる

プロ野球、Jリーグ、Bリーグ、大相撲、競馬……新聞やテレビといった大手メディアが追いかけるスポーツだけが、スポーツではない。スポーツライブエンタテイメントアプリ「Player!」を手がけるookamiの代表取締役・尾形太陽氏がそのことに気がついたのは、現在の会社を創業してから2年目のことだったという。

「IT企業で1年間働いたあとに今の会社を起業したのですが、最初は試行錯誤の連続でした。でも『Player!』を立ち上げて2年目に高校バスケの全国大会の速報をやったら、アクセス数が一気に伸びた。アプリ内では、サッカー日本代表戦よりも人気があったんです。代表戦ならどんなメディアでも速報をやっている。でも高校バスケの速報をやっているのはうちだけだった。ここにスポーツ界の解決すべき課題がある。そして、自分たちが勝負するならここじゃないかと思ったんです」

「タメスエ」ルーム

一軒家のオフィスの中にある通称「タメスエ」ルーム。最初に会社を支援してくれた為末大氏がソファなども寄贈してくれたという。

「Player!」のアプリを開くと、驚くほどの数の競技が並んでいる。野球やサッカー、バスケットボールはもちろんのこと、ラクロス、卓球、ホッケー、重量挙げ、弓道……なかにはパデル、クィディッチ、ウィッフルボールといった聞き慣れない競技名も。

また、都道府県ごとの小規模の大会の速報や試合結果を知ることもできる。さらに試合中にはファン同士がチャット機能を用いてチームを応援することも可能。自宅など試合会場ではない場所にいたとしても、同じチームを応援する仲間とともに盛り上がることができるのだ。

スポーツの価値を高め、可能性を追求する

「今は、年間で2万以上の試合を追いかけています。自分たちで試合速報をすべて発信することは不可能なので、チームの広報の方など配信パートナーに試合の状況をアプリに入力していただいています。その協力によって膨大な数の試合速報が成り立っているんです。アプリを利用する方は、スポーツファンはもちろんのこと、自分の子供たちの試合が気になる親御さんや、母校を応援したいOB・OG、あるいは他校が気になる現役の学生アスリートなどです。『Player!』を始めてわかったのは、世の中にマイナースポーツはないということ。メジャーとかマイナーとかは、メディア側の区分でしかない。競技を行っているアスリートや応援する人たちにとっては、それぞれがオンリーワンのスポーツなんです」

2015年のサービス開始以来、元陸上競技選手の為末大氏やサッカー選手の本田圭佑氏からの支援も得て、順調に利用者数を増やしてきた。現在、月間利用者数は400万人以上。しかし昨年春、コロナの影響で全国的に多くのスポーツ大会が自粛に追いこまれ、「Player!」も一時はピンチとなった。

ookamiという社名の由来は、「狼のように少数精鋭のチームをつくりたい」から。

「スーパーマーケットで例えるならば、店に並べる“商品”がゼロの状態でしたからね。でもだからこそ、多くのチームや大会関係者がデジタルで何かできないかと考えてくれました。試合以外でファンとつながる方法がないかと、オンラインのファンミーティングを開催するなど、このアプリの新しい使い方を開発するきっかけをつくってくれたんです」

逆にそうした困難な状況下だからこそ、「Player!」は同じスポーツ、同じチームを愛する人たちのプラットフォームとして、可能性が広がっていったのだ。

勝つことだけがファンサービスではない

数あるチームのなかでも、特に「Player!」をファンとの交流の場として有効活用しているのが、ラグビートップリーグに所属する三菱重工相模原ダイナボアーズだという。チームの広報を務める、佐藤喬輔(きょうすけ)氏はこのアプリがチームづくりの新しい一手になると話す。

「自分自身が選手や監督だった時は、勝つことがファンサービスだと思っていました。でも広報という視点で見ると、それだけではないことに気づきました。今は、『強くなくても魅力的』なチームをつくっていくにはどうしたらいいかということを考えています。その意味で『Player!』との取り組みは、新しいファンサービスとして大きな可能性を感じています」

昨季の自粛期間中には選手参加のオンライントークセッションを行い、ファンから大きな反響があったという。

SAGAMIHARA DYNABOARS

【SAGAMIHARA DYNABOARS】ラグビートップリーグで活躍する三菱重工相模原ダイナボアーズは、1971年創部。地元・神奈川県相模原とのつながりを大切にし、「ヨーロッパのチームのように地域に密着したチームを目指したい」(佐藤氏)。

「選手たちはいきいきと本音を話していたし、ファンの方のチームに対する思い入れ、情熱のようなものを直接感じることもできました。自分が現役の時もこんなサービスがあったらなとうらやましく感じたくらい(笑)。イベントの回を重ねるごとに、常連の方だけでなく、新しい参加者が増えていったことも嬉しく思いました」

野球やサッカーのように地上波放送を求めても難しい現状のなか、試合に足を運んでくれるファンを増やすために模索していると話す佐藤氏。「Player!」はそのきっかけもつくってくれるのではないかと期待している。

「『Player!』を通して、新たに応援してくれるようになったファンの方もだんだんと増えているんです。今後、そのファンの方々が、試合の観戦に来てくださるようになったらいいなと思っています」

注目されればプレイにも気合が入る

選手たちにとってもファンとの絆を深めるために「Player!」は大事な存在だとダイナボアーズで活躍するプロップの成昂徳(そんあんど)選手は言う。

「昨年、なかなかファンの方と会うことができない状況が続きました。そのなかで企画されたオンラインのトークセッションは、選手としてすごくやる気が出る企画でした。個人的に意識したのは、とにかく見にきてくれた人を笑わせること。僕はチーム最年長であり、近年のラグビーブームが起こる以前の観客席ガラガラのなかで試合をしていた世代です。なので、とにかくどうしたらファンになってもらえるんだろうということをいつも必死で考えているんです。映画泥棒とかアニメ映画『ファインディング・ニモ』のキャラクターの被りものを身につけてイベントに登場するなど、インパクトを大事にしています(笑)」

ありとあらゆるスポーツの試合を速報する

「Player!」の大きな魅力は、メジャーからマイナー、地方の小さな大会まで年間2万以上の試合の速報を行っていること。ラグビーもトップリーグはもちろん、大学ラグビー、高校ラグビーなどの地方大会の1回戦からくまなく速報。試合会場に足を運ぶことができない選手の親やOB・OGなどが試合経過をチェックしている。

トークセッションを行ったことで、ファンとチーム間だけでなく選手間のコミュニケーションも深まった。

「選手同士でも、どうやったらイベントを盛り上げられるか話すこともあります。ファンの方もまじめに話すより、ざっくばらんに話したほうが喜んでくれる。また、プレイにも気合が入りますよね。トークセッションで注目されても、試合でミスばかりしていたらカッコ悪いですから(笑)」

これからは他のチームともコラボレーションし、ファンが喜ぶイベントを企画していきたいと考えている。

試合がない時でもファンとつながることができる

コロナ禍をきっかけに広がったのが、デジタルを通したチームとファンのコミュニケーション。ダイナボアーズでは、自粛期間中の金曜日に「Player!」アプリを利用して「ダイナボアーズ ナイト」という選手参加のトークセッションを開催。ファンからの質問に選手が本音で答えるなど、新たなファンサービスとして大きな注目を集めた。

「ボクシングの試合前の会見みたいな煽りあいを、相手チームとしてみたいですね。これからも『Player!』を活用しながら、ラグビー界を盛り上げていきたいと思っています」

アプリを利用するチームやファンのスポーツへの熱い思いは、アプリの可能性をますます広げていくと尾形氏は話す。

「これからは、ファンの思いがチームに還元される仕組みをつくっていきたいと思っています。また、コンテンツも増やして、試合以外の情報もどんどん伝えていきたい。でもまずは、現在、全国で1000チームほどの試合速報を手伝ってくださっている配信パートナーを1万、10万と増やしていくというのが目標です」

チャットを通してファン同士もコミュニケーション

「どんなスポーツにも熱量を持ったファンがいる」(尾形氏)。「Player!」では、チャットでコメントしたり、声援を送ったりすることも可能。ここでしか速報されない試合が多いため、メジャースポーツをしのぐほどのファンが集まることもあるという。ここでのコミュニケーションを通してファン同士がつながることもあるとか。

今はまだ尾形氏の目指す場所の“1合目”だという。

「まだまだ可視化されていないスポーツやスポーツイベントが世の中には山ほどあり、そこにはプロにも負けない熱量があるんです。『Player!』はこれからもスポーツの価値を高め、その可能性を追求していく。日本だけでなく、世界にも広げていきたいと思っています」

 

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01. 常識を疑い、新しい常識をつくりだす

02. 少数精鋭で、強いチームを築く

03. ささいな挙動や疑問を見逃さず、貪欲に追求していく

 

Taiyo Ogata

Taiyo Ogata
1989年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、ソフトバンクに1年間勤務。24歳の時に仲間とともにookamiを起業。目標は、「スポーツカンパニーとしてNIKEを超えること」。

TEXT=川上康介

PHOTOGRAPH=野﨑慧嗣

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