リアルスポーツの成績で競う!
1960年代にアメリカで生まれた「ファンタシー・スポーツ」。参加するユーザーそれぞれが、実在するプロ選手を好きに選んで架空のチームを結成し、その選手たちの実際の試合成績をポイント化して集計。その合計点を競い合うというゲームだ。
チーム結成以外に、1対1の対決結果を予想する「ネメシス・タイプ」や規定のミッションを連続でクリアする「ストリーク・タイプ」など、さまざまなスタイルがあり、チームスポーツだけでなく個人競技でも行われている。ネットの普及で愛好家は世界に広がり、アメリカでの市場規模は2兆円を超える一大産業へと成長した。
その劇的な面白さにいち早く魅了され、日本で普及すべく、Neo Sportsを立ち上げたのが、代表取締役社長を務める島田佳和氏である。
「ファンタシー・スポーツを知ったのは今から20年ほど前。NBAやNFL、MLBを観戦するのが好きでアメリカのスポーツ専門サイトをよくチェックしていたのですが、そこで目にしたのがファンタシー・スポーツのバナーでした。試しにやってみたら、とにかく面白い! たちまちハマりました」
魅了された理由のひとつは、自分だけのドリームチームを結成できるという点。例えばMLBなら、投手はエンゼルスの大谷翔平選手で、外野手にシンシナティ・レッズの秋山翔吾選手をセレクトといった具合いだ。
「勝てるチームをつくるために前シーズンのデータや評判を自分なりに分析するのですが、それ自体すごく楽しいんですよ。選んだ選手が活躍したり、ポイントが貯まって賞品が得られるのも嬉しいですね。選手のケガなど運も関係するなど、データだけでなく、自分の直感が試されるのも魅力だと思います」
シーズンオフに選手の情報を収集して分析し、シーズン中は試合観戦はもちろん、試合終了後に“自分だけのドリームチーム”所属選手の成績をチェックするなど、「一年中そのスポーツを楽しめるようになった」とも。島田氏はこうした自らの体験から、「ファンタシー・スポーツが日本で広まれば、日本のスポーツ界がもっと活性化するのでは」と考え、そのサービスを提供する会社を起業したのだ。
“スポーツ好き”以外をファンに取りこむ手段に
「ファンタシー・スポーツは、知識や情報を収集し、分析し、推理するという知的なゲーム。なので、それまでスポーツと無縁だった方々にも関心を持ってもらえると思います。実際アメリカでは、ファンタシー・スポーツを通じてスマホ世代の若者たちがゴルフに興味を持つようになったと言われているんですよ。従来のファンにしても、好きなチームや選手以外の情報を入手すべく、各チームの公式サイトや試合をまめに見るなど、業界自体が盛り上がるのではないかと期待しています」
そんな島田氏の想いが伝わったのだろう。会社設立翌年の2019年には、Bリーグ、日本プロゴルフ選手権、RIZINを舞台にファンタシー・スポーツのシステムを開発。’20年に、読売新聞社との共催で立ち上げた巨人戦リアル予想ゲームは、今シーズン、さらに内容を充実させて展開するなど、順調に進んでいる。
「クリアすべき法律は多々ありますが、いずれは参加費を募って大きな賞金が得られるようにし、集めた参加費をチームや選手に直接還元できる仕組みをつくりたいと考えています。ファンタシー・スポーツを普及させることで、自分を楽しませてくれたスポーツに少しでも貢献できれば嬉しいですね」
Policy of Shimada
01. 変化を起こしながらビジネスチャンスをつくる
02. 経歴などだけでなく直感を信じてチームづくりを
03. 利益追求よりも社会のためになる仕事を志す
Yoshikazu Shimada
Neo Sports 代表取締役社長。1970年神奈川県生まれ。アメリカ・ユタ州立大学に留学し、帰国後ワーナー・ミュージックやレッドブル・ジャパン等に勤務。2012年~’17年衆議院議員を二期務め、’18年から現職。