「“現場”に立ち続け、戦うためのスイッチ」
日本一予約の取れない美容師といわれ、OCEAN TOKYOを率いる髙木琢也氏の左腕には4本のブレスレットが巻かれている。
「単にファッションとしてつけているのではなくて、髪を留めるダッカールを挟んでおくための道具として使っているんです」
いつもつけているのは、クロムハーツとエルメスのバングル、カルティエのゴールドのチェーン。12年前、スタイリストに昇格した時に、2本のクロムハーツを買ったのが最初だ。
「昇格の記念として、一生使うつもりで買いました。自分にとってはお守り的な意味も持っているバングルです」
ブレスレットやピアス、時計を休日につけることはほとんどないという。
「家に帰った瞬間に外します。僕にとってはスイッチみたいなもの。若い頃は自分を大きく見せたくて高価なアクセサリーをつけていましたが、最近はつけないほうがカッコいいかもと思えるようになりました」
29歳の時に月間の客数900人、1200万円の売上げを達成し日本一に。現在も8店舗を経営しながら、毎月500人以上の髪を切り続けている。
「新しいアイデアは現場に転がっている。若いお客さんが何を求めているかを知ることが最大のマーケティングですし、お客さんの喜んでいる顔を見るのが一番嬉しいんです。自分の“武器”を持っているのだから、それを置くことはしません」
ヨウジヤマモトのコレクションには、山本耀司氏から直々の指名を受けてショーモデルのヘアスタイリングを担当した。
「ヘアアーティストではなく、美容師の代表として参加している。耀司さんに『琢也なら大丈夫』と言われて、背中を押された気分になりました」
Takuya Takagi
OCEAN TOKYO代表取締役社長・美容師。1985年千葉県生まれ。2013年OCEAN TOKYOを設立し、ホットペッパービューティーアワードのメンズスタイル部門で史上初の3連覇を達成。美のミシュランKAMI CHARISMAメンズ部門では日本唯一の三つ星を2年連続で受賞。東京で6店舗、大阪で2店舗を運営する。
TAKAGI’S TURNING POINT
23歳 早稲田美容専門学校卒業後、都内の店舗でスタイリストデビュー。
28歳 OCEAN TOKYO本店を原宿にオープン。
30歳 1ヵ月に900人の顧客を担当、月間売上げ1200万円を記録する。
34歳 ホットペッパービューティーメンズベストスタイル部門で3連覇。
35歳 ヨウジヤマモトのコレクションでヘアスタイリングを担当。