PERSON

2021.03.08

日本一夢を叶え続ける!? GMO熊谷正寿の夢手帳とは?

夢手帳

熊谷氏が実際に使う手帳。2021年版「夢手帳☆熊谷式」はKumagaiStyleで販売中。

「手帳に夢を綴り何度も想起することで実現への力が漲る」

夢手帳がなければ、今の僕はなかったーー。そう言い切るのは、GMOインターネット代表の熊谷正寿氏。今や10社の上場企業を率い、多忙を極めるなかで、大型自動二輪、1級小型船舶、PADIのレスキューダイバー資格、ヘリコプターのパイロット免許を持ち、現在はすでに所有するプライベートジェットを自ら操縦するために、飛行機のパイロット免許の取得にチャレンジする、アクティブという言葉だけでは語れない人物だ。

仕事においても、プライベートにおいても、常に夢を持ち続け、大勝負に挑み続ける熊谷氏。その原動力となっているのは“手帳”なのだという。

1985年のリストにはマイホームへの夢

1985年のリストにはマイホームへの夢が綴られている。

夢を何度も想起するため手帳に書いた文字を眺める

「夢や目標をかなえる力は、それを何回想起できるかに比例していると思う。でも人間の脳は忘れることができるような仕組みになっている。だから手帳に書き、繰り返し読み返すんです」

何かを犠牲にし、血を吐くような努力をしないと、夢はかなわない。自分がこうなりたい、こういうことを成し遂げたいとイメージを持ち続ければ努力が続くものの、人というのは辛いことをつい先送りにしがちである。脳は身体や心にストレスをかけ続けて壊れないよう“忘れられる”仕組みを持っているのだ。

「それを忘れず、辛くても努力を続けるためには手帳に書きとめ、何度も何度も想起するしかないんです」

ナッパレザーの手帳カバー

経年変化を楽しめる、ナッパレザーの手帳カバー。

熊谷氏の夢手帳は、6つ穴のリフィルを、クロムなめしのナッパレザーのバインダーに挟むタイプ。

「リフィルをどんどん足していけるバインダー式です。自分のやりたいことを書き、写真などのビジュアルも貼りつける。僕は20代の頃から『いつか手に入れるぞ』と、プライベートジェットの写真を貼っていました。そして手帳は毎年更新します」

毎年夢のリストの達成率を確認し、達成できなかったことは、次の年の強化目標として見直す。

「目指すべき姿をイメージし、その誤差を埋める作業を繰り返すことで、人は前進し、理想の自分をつくり上げるんです」

ガルフストリームG650ER

子供の頃からの、飛行機を操縦して世界中を飛び回る夢を実現するために購入したガルフストリームG650ER。機体名は「SKY KUMARKⅢ」。免許は取得途中だが、「鼻先に人参」と勉強や訓練のモチベーションを上げるためにぶら下げつつ、「背水の陣」として後戻りできないよう事前に購入。

最新のインターネットに長けた熊谷氏が、アナログの手帳に頼るのにも理由がある。

「ものを調べたり、記録するのはPCやスマホのほうが優れています。でもパソコンだとせっかく書いても、読み返す機会を失い、ブラックホールに吸いこまれるように溜まるばかり。手帳はパラパラッとめくれば言葉が目に飛びこんでくるんです。僕は夢や自分の仕事の改善点を、写経のように何度も書き写しています。繰り返す言葉で想いがより強くなるし、自分を奮い立たせる力が生まれます」

例えば2006年に、倒産の危機があった。400億円をつぎこんだグループ企業を、たった500万円で売却しなければならず、395億9500万円の損益を出してしまったのだ。

「その時は手帳に『弱気にならない、諦めない』という言葉を毎日書き、繰り返し読み、歯を食いしばりました」

プライベートジェットの写真

「いつか購入する」と30年前に手帳に貼ったプライベートジェットの写真。

手帳に書くことで踏みとどまり、’20年には、グループ全体の時価総額が1兆7000億円を突破した。

「さまざまな判断を行う時も、自分の直感をそのまま口にするのではなく、一度手帳に書き、絶えず反復します。そうすることで直感が自分の心と合致し、軸となる。僕は26年間、一度たりとも言ったことにブレはありません。手帳に書くことで遠くの灯台が見えているから、真っ暗な海でも船の針路が逸れない。手帳に書くということは、そういうことなんです」

今や辞書のような厚さになった手帳。その厚みは、熊谷氏の人生の豊かさそのものだ。

 

Masatoshi Kumagai
GMOインターネット代表取締役会長兼社長・グループ代表。1963年長野県生まれ。’91年、ボイスメディア(現・GMOインターネット)を設立。現在は東証一部上場のGMOインターネットを中心に、上場企業10社を含む、グループ103社、パートナー6180名を率いる。

KUMAGAI’S TURNING POINT

20歳 2、3年かけて自分の夢を全部手帳に書きだし、未来年表を作った。
30歳 何かの分野で日本一の実業家になると決めインターネットに出合う。
32歳 社名を「インターキュー」として、インターネット事業を開始。
36歳 インターネット系独立企業として、日本で初めて店頭公開。
42歳 東証一部に上場。直後金融業に進出し、損失を出し、倒産の危機。

TEXT=今井 恵

PHOTOGRAPH=古谷利幸(熊谷氏)、滝川一真(手帳カバー)

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