2月14日に六本木 蔦屋書店でオンラインイベント「佐藤可士和×二本柳陵介」が開催された。GOETHE2021年3月号の『総力特集 必勝請負人、佐藤可士和』をプロデュースした編集者・二本柳陵介と佐藤可士和さんによる企画の裏側や、仕事の取り組み方など貴重な話が明かされた。そんなオンライン配信イベントの一部を特別に公開!
佐藤可士和の来歴に触れる特別フェア
前身である「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」のショップブランドロゴや、「T-POINT」のロゴマーク、ショップ全体のデザインを佐藤さんが手がけるなど、かねてより親交がある六本木 蔦屋書店では、2月21日までの期間限定で「佐藤可士和展」の開催を記念した特別なフェアが開催された。BOOK&CAFEの先駆けとして2003年に開業した当時に製作されたグッズや告知のポスターなど他では見ることのできない貴重な品々を展示。「佐藤可士和展」の図録やオリジナルグッズだけでなく、産経新聞の『本ナビ+1』で紹介された佐藤さんによる選書なども販売した。
2月14日、この開催記念フェアに際して、特別に対談イベント「佐藤可士和×二本柳陵介」がオンラインで限定配信された。数年前からGOETHE本誌で取材をするなど、佐藤さんの仕事に対する姿勢や情熱を探ってきた二本柳。この対談では、GOETHE3月号の『総力特集 必勝請負人、佐藤可士和』が完成するまでの裏話や、G-SHOCKとのコラボモデルと「DWE-5600KS」の誕生秘話、そして現在開催中の「佐藤可士和展」への想いが明かされた。
「佐藤可士和展」がすべての起点
国立新美術館のロゴをデザインした時から個展を開催したいと思っていた佐藤さんだが、初めは広大な展示スペースに自身の作品をどう展示するかプレッシャーだったという。しかし、大人から子供までどこかで興味を持てる展示になるよう、企業のロゴだけでなくブランディングプロジェクトの説明やロゴデザインの設計図など、これまでの仕事をさまざまな観点から展示し試行錯誤。初日から多くの人が「佐藤可士和展」を訪れ、「気持ちが上がった」や「元気をもらった」などの口コミが広がっている。その声を聞いた時は喜びを感じると同時に安堵したそうだ。
遡ること、約1年半前。GOETHEから総力特集のオファーの依頼があった時は、自分がGOETHEという雑誌に合っているかどうか疑問に感じてしまったという。だが、二本柳は「これまで“熱”のある人をとりあげてきたGOETHEで、クールなイメージのある可士和さんの情熱や凄さを改めて紹介したかった。世の中の可士和さんに対するリスペクトが麻痺している気もしていて」と語る。そんな佐藤さんの新たな一面を探った特集では、あえて笑顔の写真を誌面で使い、クライアントが求めるものを引き出す技術やアイデアの厳選、名だたる経営者に信用される人間性などを徹底的に取材した。
多くのメディアに取材されてきた佐藤さんだが、GOETHEの特集には衝撃を受けたそうで、「構成を見た時に予想外な驚きがありました。ひとつの特集企画でユニクロの柳井さん、楽天の三木谷さん、日清食品の安藤さんの対談を3連発で実現したのはGOETHEが初めてです」と語った。特に巨匠の写真家・操上和美さんが撮影した佐藤さんの表紙写真について「操上さんとは一緒に仕事をしたことはありますが、自分を撮ってもらえる機会が来るなんて」と改めて感激。
コラボ商品への圧倒的こだわり
GOETHEの企画のひとつとしてカシオとのコラボモデルをデザインした佐藤さんは、対談会場に完成した腕時計を装着して登場。「第一回目の二本柳さんとの打ち合わせでG-SHOCKの腕時計をしていたことをきっかけに、プロダクトができると思いませんでした」と振り返る。「最初の打ち合わせの時から、ゲーテとしてもこの展覧会に何とかアイデアで絡みたい。そう思ったので G-SHOCK コラボを提案しました」と、二本柳は当時の思いを語った。
限られた時間の中でカシオと綿密にやり取りし何度も試作を重ねて色を決定した腕時計は、「佐藤可士和展」が半年延期になったこともあり、開催寸前に完成。限定100本の佐藤可士和展限定モデルは展覧会がオープンする前に完売してしまったが、パーツを付け替えられる「DWE-5600KS」は3月5日から発売を予定しているのでチェックしてほしい。
実は、対談当日に佐藤さんが着用していたD-VECのグラフィック入りのポケッタブル ウィンドジャケットとネックバッグもDAIWAとのコラボ商品。オーバーサイズで着心地のいい素材を使用した特製品で、「佐藤可士和展」に合わせて制作したそう。デザインのこだわりや完成までのプロセスを語る姿は楽しくて仕方ないという様子で、「以前から軽い素材のウィンドジャケットが欲しくて、DAIWAはフィッシング用品などを扱っているので水に強く機能的で気に入っています!」と熱を帯びる。
視聴者からの質問に佐藤可士和がアドバイス
対談終盤では視聴者からの質問をオンラインから募集。普段では聞くことができない質問ができる貴重な機会に、多くのコメントが寄せられた。
「デザインのためのインプットで、普段からやっているルーティーンはありますか?」という質問に、佐藤さんは「多くの企業や業界との仕事を通して日本の経済などの問題を多角的に知ることや、ネットやYouTubeを見ていて気になったものや逆に興味が持てなかったものを客観的に分析することでアイデアに繋げています」と返答。
また、「余分なものを減らしてシンプルにしていくことの重要性を会社の上司に伝え、説得するにはどうすればいいか?」というコメントには、「積み重ねて上手くいくならそれも大事ですが、人間のダイエットと同じで太り過ぎると動きづらいように、痩せすぎず適度に余分なものを排除していけば調子がよくなりパフォーマンスも上がりますよ」とアドバイス。
どんな問いかけにも、真摯に答え、想像力をどこまでも広げる佐藤さん。一時間に及ぶ贅沢な対談イベントだったが、あっという間に終了の時間を迎えた。
佐藤さんの仕事力、デザイン力、表現方法を全身で感じ、新たなインスピレーションを受けられるのが「佐藤可士和展」だ。合わせて、人間・佐藤可士和の多くの一面を垣間見られる「GOETHE3月号」もぜひ楽しんでほしい。
六本木 蔦屋書店
場所:東京都港区六本木6-11-1 六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り
TEL:03-5775-1515
営業時間:7:00〜22:00 ※予告なく変更の可能性あり
休業日:年中無休
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佐藤可士和展
会期:2月3日(水)~5月10日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2)
TEL:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:火曜、2/24(2/23、5/4は開館)
入館料:¥1,700
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※日時指定入場制。ウェブにて事前に要予約