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2020.09.12

【那須大亮】イニエスタ、大久保、里崎etc.視聴数100万回越えの理由

アテネ五輪代表ではキャプテンとして活躍、Jリーグ、AFCアジアチャンピオンズリーグ、ナビスコカップ(現ルヴァンカップ)、天皇杯、と数々のタイトルを獲得した元Jリーガー・那須大亮。ヴィッセル神戸時代に、YouTubeを開設。現在、チャンネル登録者数約25万人を誇る。新境地を切り開いた人気ユーチューバーの短期連載3回目。

那須大亮_プレイ中03

常に本質を見失わなければ、批判に負けることはない!

現役選手がいわゆる競技以外の活動を行うことは、諸刃の剣だ。広報活動としての影響力を増すことで、自身や所属クラブ、ひいてはその競技への関心度を高めることができる。しかし、常に競争の場に身を置くアスリートは、日々の結果によって、競技以外の活動を不謹慎だと責められたりすることもある。

2018年夏にYouTuberとして活動を開始した那須は、ヴィッセル神戸に所属する現役選手だった。しかし、試合出場機会を失ってもいた。

「誰もやっている人がいなかったので、やってみようと思ったんです。幸い、ヴィッセル神戸も認めてくれたし、後押しまでしてくれたので、感謝しています。現役選手は試合の勝ち負けもあるから、毎日投稿できないという難しさもありましたし、実際なにを投稿すればいいのかもわからない状態でしたから(笑)。もう試行錯誤、トライ&エラーの繰り返し。『どうしたの?』って思われる企画もありました。サッカーファンに限らず、枠を広げたいという気持ちがあったので、サッカー以外の趣味の延長上のことをやったりしていました。歌ったり(笑)。歌うのが悪いわけではなくて、投稿するタイミングが難しいんです。『シーズン中、試合に出ていないのに……』という声も含めて、いろんな声が飛んできました。自分の幹になる部分の作り方については、悩みましたね」

那須大亮_ラフ03

自身を取り囲む、多くの声。賛否両論のなかには、誹謗中傷だってあったに違いないが、那須がブレなかったのは、サッカー選手としてのキャリアが影響していた。

「始めたころは、賛否の『否』ばかりでした。『なにをやってるの?』という声ばかりで。だけど、活動を続けて、コンテンツがいいものになれば、ポジティブな声も増えてくるようになりました。

ただ、考え方の問題だと思うんです。大切なのは“本質”だと思うんです。たとえば、サッカー選手としての本質は、勝利です。勝つことが目的なんです。そう考えると、ひとりの選手のミスは枝葉の一部でしかない。もちろん枝葉も大事だし、ミスだってないほうがいい。だけど、いつまでもミスを引きずってしまうと、本質を見失いかねないし、目的地へたどり着くにも遠回りしてしまう。だから、常に本質と向き合い続けるべきなんです。

僕がYouTuberとして活動しているのは、「サッカー界の発展」という部分が本質にあって、そういう僕に批判であっても意見が飛ぶというのは、僕自身に注目してくれているから。そういう風にも考えられるわけです。捉え方次第で、批判もネガティブなことではなく、自分が目的へ向かううえでのモチベーションにもなるわけです。だから、だんだん、批判が来ても、ラッキーだなと思えるようになりました。僕はYouTuberになることが目的じゃなくて、YouTubeはひとつの手段だという本質は見失わないように。まあ、現役時代にもいろいろな声を聞く機会は多かったので、耐性があるのかもしれませんね(笑)」

現役時代に登録者数10万人を目標に掲げていた那須。チームメイトであるスペインの至宝アンドレス・イニエスタ選手にも出演してもらった。

「イニエスタ選手に出演いただいたときは、ニュースサイトでも大きく取り上げてもらって、認知度が上がったきっかけになりましたね。イニエスタほどの選手になれば、自分が発信することの価値を理解し、どういう人が喜び、どういう影響が生まれるのかを知っている。同時に自身のブランディングを考慮したと思うんです。そのうえで、僕がYouTubeをやる意義や本質を理解したうえで、快諾してくれたことが嬉しかった」

イニエスタ選手の出演動画同様に、視聴が100万回超えたのが人気YouTuberとJリーガーとのサッカー対決企画だった。

「YouTubeの面白いところは、関連動画から視聴する方が多いことです。だから、他のYouTuberの方とコラボすることが、視聴の輪を広げるきっかけになるんです。だから、YouTuber同士はライバル関係というよりも、助け合える仲間という意識なんです」

そして、2019年12月の引退発表(会見も自身のYouTubeで放送)を前に目標となる登録者数10万人を超えた。

しかし、イニエスタ選手との動画よりも視聴回数が多いのが、ともに日本を代表するサッカー強豪校・国見高校出身の大久保嘉人選手との対談企画だ。

「【普通にどっちも地獄】国見と鹿児島実業って実際どっちがキツかったの?」

それにつぐのが、千葉ロッテマリーンズで活躍した里崎智也との対談企画「【同じプロでこんな差が!?】野球選手とサッカー選手の内部事情が違い過ぎる...!」である。

両方ともに140万回前後の視聴回数を誇っている(2020年8月末現在)。

「どういう企画がいいのかをスタッフと話し合うんですが、僕の提案に対しても『それではダメでしょう』と言われることも少なくありません。ちくしょうって思いながら、また新しい思考が生まれるんです。どうしても僕が考えると、サッカー寄りの企画になる。サッカーが好きな方は見てくださるだろうけれど、それ以外ということを考えると、なにかフックになる話題やテーマが必要です。最初は楽しければいいみたいな気持ちでしたけれど、今はそのフックにこだわるようになりました。ヒットした比較対談はそういうフックが明確だったからこそ、数字に表れたんだと思っています」

ステイホームの影響もあり、YouTubeを始めるサッカー選手も増えた。那須が感じていたスポーツとYouTubeの相性の悪さは解消されつつある。それでも、TV番組『やべっちFC』の打ち切り話が取り沙汰されるなど、サッカー専門番組の立ち位置は危うい。

「難しさというのは感じています。ただ、これは人生にも通じることですが、難しいからこそ、誰もやっていないからこそ、やり甲斐を感じるし、やる意味があるんだと思っています。『無理だよ』と言っている人には無理なんです。やるかやらないかなので。僕はやれると思っている。サッカーの価値を高め、人気を上げていくためにYouTubeを使っていく。目的を達成するうえでどうすべきか、逆算しながらやっています。もちろん行き詰ること、困難は多々ありますが、それも枝葉の部分。本質、目的から目をそらさないことがだ大事だと思っています」

過去連載記事

DAISUKE NASU
1981年鹿児島県生まれ。鹿児島実業、駒澤大学を経て2002年に横浜F・マリノス入団、翌’03年に新人王。’04年アテネ五輪に主将として出場。6シーズン在籍した横浜で2度のJリーグ優勝。その後、東京V、ジュビロ磐田、柏レイソル、浦和レッズ、ヴィッセル神戸でプレー。’19年に引退。那須大亮のYouTubeチャンネル

TEXT=寺野典子

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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