1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウエアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた熱き男たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「男を起動させる眼鏡#21」。
PERSON 21
クリエイティヴディレクター/佐藤可士和
学生時代から眼鏡をファッションアイテムとして活用してきた佐藤可士和氏。
「1980年代の頃、美大生の間で黒縁フレームが流行りまして。それまで堅い印象かつ年配のイメージが強かった黒縁型を、あえてハズしの感覚で楽しむ流れがあったのです。僕は当時視力が2.0と良かったため、レンズを取り払いフレームだけでかけていましたね」
以来、現在までいろいろな眼鏡を試してきた佐藤可士和氏。しかし約10年前からは視力補正の必要も出てきたとのこと。
「子供が生まれた時に、じっくり表情を見ようと顔を近づけてみたのです。けれど、どうもぼんやりピントが合わない。あれ? オレ老眼!? とそこで初めて気がついて(笑)」
読書用などは軽量なメタルフレームを使用する佐藤氏だが、人前に出る場合の眼鏡は、今までセルフレームを選んできたという。
「メタル系は何となくかけこなす自信がなかったのです。しかし今回選んだメタルのオクタゴン型は、ピタリと自分のスタイルや気持ちにハマりました。フォルム自体も新鮮ですが、色を替えたダブルブリッジなど繊細な作りこみも気に入っています」
眼鏡はギアであると同時に、気分を変えるアイテムでもあると佐藤氏は強調する。
「だから複数の眼鏡を用意しておくことが理想的だと思います。このオクタゴン型にはカラーレンズを入れており、そういった要素も気分を変えてくれるものだと感じます。薄いカラーはなんというか非常に視界を落ち着かせてくれるんです」
取材も終盤に差しかかり、今回の撮影は新鮮づくめだったと振り返る。
「まずメタルの多角形フレームが、こんなに自分にハマると思いませんでした。そして被写体になるということもフレッシュ。普段、フォトスタジオ内ではカメラマンの脇などにADとして立つことがほとんどだから。しかも今回はいろいろなポージングまでトライしてみたり。蹴りのポーズなどもリクエストいただきましたが、長年仕事でご一緒している操上さんでなければ、おそらく“えーっ!?”と困っていたでしょう(笑)」
Kashiwa Sato
1965年東京都生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科を経て博報堂へ入社。2000年に独立し、SAMURAIを設立。ユニクロ、楽天、セブン-イレブン、TSUTAYA、日清食品など数多くの大手企業の商品デザインやブランディングなどを手がけている。慶應義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授も歴任。’21年2月3日から国立新美術館にて『佐藤可士和展』が開催予定。
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