幾多の試練を乗り越えながら、着実にスーパースターへの階段を上り続けているメジャーリーガー・大谷翔平。彼がアメリカ全土でも絶大なる人気を誇る理由は、その実力だけが要因ではない。ビジネスパーソンが見習うべき、大谷の実践的行動学とは? 日本ハム時代から"大谷番"として現場で取材するスポーツニッポン柳原直之記者が解き明かす。
明るく屈託のない笑顔にチームメイトも虜
エンゼルス・大谷は先輩、そして後輩からも慕われる男だ。
もちろん、投打に抜きんでた才能のおかげもあるだろうが、明るく、屈託のない笑顔にファンだけでなくチームメートも虜になる。
中継ぎ右腕のN・ラミレスも「いつも笑顔を絶やさないところが良い」と話していた。ただ、こうも言った。「でも、"行くぞ"という時になると表情が変わるんだ。かっこいいよね」と、二刀流にほれ込んでいるようだった。
大リーグ公式サイトが選ぶプロスペクト(若手有望株)全体5位にランクする20歳の外野手アデルも"大谷信者"の一人だ。
「キャンプ中、翔平はいつも早く球場に来て、遅く帰る。どれだけ努力をしているかが分かる。まだまだ上手くなりたい欲がある。こんな凄い選手のそばにいれてうれしい」
アデルは現在、開催中の野球の国際大会「プレミア12」に米国代表の一員として出場中。大谷の投打の能力だけでなく、愚直な練習姿勢が尊敬の念を集めている。
日ハム時代から変わらない面倒見の良さ
日本ハム時代からそうだった。大谷は自身と同じく「外出制限」が敷かれた2学年下の浅間の兄貴分的役割を果たしていた。外出する際は栗山監督にメールで報告することがルールだが、ある日、浅間が「コンビニに行くときはどうすればいいですか?」と大谷に相談を持ちかけたという。すると、すかさず「コンビニはさすがに監督も(返信が)面倒くさいでしょ」と返答。後輩を優しく気遣う一面もあった。
2015年5月14日の西武戦(札幌ドーム)で大谷の登板中に、右翼手・浅間がダイビングキャッチを試みて打球を後逸したことがあったが、その時は「あの打球は難しいよなあ」と試合後の車中ですかさずフォローしたという。
大谷は「あまり気にならない」と、「外出制限」をそもそも苦にしていなかった。チームメートと外食に出かける際も、先輩であろうが2軒目以降の誘いは断っていた。
大谷の番記者を務めて6年目のシーズンが終わったが、間違いなく言えるのは大谷は努力の男だということ。それも努力し続ける才能がある。誰にも慕われるにはワケがある。