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2018.04.09

野水重明×吉井信隆 ~相師相愛 vol.22「特別な存在」(WEB特別版)

師匠か、恩師か、目を掛ける若手か、 はたまた一生のライバルか。 第22回は、ツインバード工業代表取締役社長 野水重明氏とインターウォーズ代表取締役社長 吉井信隆氏のおふたり。先代社長がつなげたご縁とは?

相師相愛22

野水重明が語る吉井信隆

私の結婚式の披露宴に、先代社長の父が招いたのが吉井さんでした。かつてふたりの間にいろいろなドラマがあったことを聞いていましたが、私も応援してくださって。「経営者は大変なこともあるが楽しめ、新しい事業の創造に熱狂しよう」と教えてくれたのも吉井さんでした。

ジェントルでにこやかで私欲のない、起業家精神に溢れた人。言葉づかいもとても丁寧なんですが、私は一度だけコテンパンに叱られたことがあるんです。社長になった年、政府がエコポイント制度を実施して、家電業界には神風が吹きました。売り上げも利益も大きく伸びて。ところが翌年、業績に苦しむことになるんです。

ある時、40度の熱を出して寝こんでしまいました。電話をくださって思わず弱音を吐いたら、携帯電話のスピーカーが壊れるくらいの大きい声が飛んできて。経営者が何をやっているんだ、と。30分くらい説教されて、やっと立ち直れました。自分なりの成長戦略を考えているうち、夕方には熱が下がっていました(笑)。

(これよりWEB版限定テキスト)

いろいろな方に教えをいただいていますが、吉井さんは突出する存在。今は月一度、コーチングの時間をいただいています。利害も何もないこともあって、フラットに本気でぶつかれるんですよね。だから、ついつい熱狂してしまって、時間が経つのを忘れてしまいます(笑)。

1000人以上の錚々たる企業の方が帝国ホテルに集った吉井さんの会社の20周年パーティの鏡割りで、もう肩書きのない私の父を指名してくださったのも本当にうれしかった。この人は恩師だから、と。何かの損得を考えたりしない。吉井さんらしいなぁ、と思いました。

吉井信隆が語る野水重明

リクルートの新潟支社の営業として新規開拓で出会ったのが、先代社長でした。初の大卒採用のお手伝いをさせていただいたのをご縁に、以来ずっとお付き合いをくださって。突出したインパクトと強烈な個性を持ったカリスマ社長。仕事では本当に厳しい方でしたが、たくさんの学びをいただきました。

息子さんを紹介されて最初の印象は、お父さんとずいぶん違うな、と(笑)。誠実でまじめでやさしくて。ただ、この人のために何か力になりたいと誰もが思ってしまう、不思議な吸引力があるのが、野水さんなんです。磁力に吸い寄せられてしまう。そして見ている世界が、とても大きいんですね。私も同じような景色を見ていて、大いに共感しますし、その具現化を少しでもサポートできたら、と思っています。

月に一度の定例コーチングは、熱くなって1時間の予定がついつい3時間になったりします。他にない特別な空気感のある、頭のボクシングの時間。私もとても楽しみにしています。

(これよりWEB版限定テキスト)

 ツインバードは女王蜂のような存在であってほしいんです。地場の技術を吸引してまとめて集大成にして商品化し、世界に打ってでていく。以前、声を荒げたのは、経営者は短期の結果で一喜一憂したりしてほしくなかったから。新潟を代表する会社の社長。もっと遠くを見てほしかった。先代社長にずいぶんいじめられましたが、そのお返しではないですよ(笑)。
 それにしても、他にはまずない特別な存在。いつか、この稀有な関係から何か事業が生まれたら、と思います。それが、未来のツインバードの成長エンジンになってくれたらいいなぁ。

Shigeaki Nomizu(右)
ツインバード工業代表取締役社長。1965年生まれ。’89年ツインバード工業入社。’11年厳しい業績が続くなかカリスマ経営者だった父に申しでて社長就任。経営改革によって会社を蘇らせた。

Nobutaka Yoshii(左)
インターウォーズ代表取締役社長。1954年生まれ。’79年リクルート入社。首都圏営業部長を経て’95年インキュベーション事業で起業。企業内起業家育成「イントレプレナー塾」は11年目に。

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連載
相師相愛

師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ、相“師”相愛ともいえるふたりの姿を紹介する。

TEXT=上阪 徹

PHOTOGRAPH=太田隆生

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