MAGAZINE &
SALON MEMBERMAGAZINE &
SALON MEMBER
仕事が楽しければ
人生も愉しい

PERSON

2017.08.09

【松浦勝人】充実したエンタメ街とは?

素人目線

無謀な発想がないと新しいものはできない

5月27日に、東京・お台場海浜公園でSTAR ISLANDというイベントを開催した。ULTRA JAPANを仕かけているチームが企画した、花火と3Dサウンドとテクノロジー、そして東京湾に浮かぶロケーションを組み合わせた未来型花火エンタテインメントだ。今までにあった花火大会というのは自治体が主催し、入場料は無料というものが多かった。でもこのチームは、もっと内容を価値あるものにし、入場料をきちんと取るイベントにしようと考えた。

無理、ダメと言っていたら何も新しいことはできない

基本になったのは「花火エンタテインメントを多種多様な視点で体験しよう!」という考え方。一般席のSTAR SEATは8000円で、実質的な指定席。ゆったりと見ることができ、席取りの必要もない。さらに、寝そべって見ることができるBED席、食事やお酒を楽しみながら見ることができるDINNER席、そして限定席のBIG CUSHION席を用意した。さらに、ULTRA JAPANで好評だったVVIP席のような限定席を、STAR ISLANDにも設けた。チケット代は高価にはなるけど、それ以上に価値のある環境でイベントを楽しんでもらえる。

もちろん、花火なので、会場の外から見ることもできてしまう。外から見るのだったらタダ。でも、そっちは混雑してぎゅうぎゅう詰めだし、道端にでも座り込むしかない。自分のクルーザーで海浜公園近くまでやってきて花火を見物したり、ヘリコプターをチャーターして空中から楽しんでいた人もいたそうだ。でも、外から見たら、STAR ISLANDの本当の楽しさはわからなかったと思う。会場に約230台のスピーカーを配置して、3Dサウンドを流し、音楽とパフォーマンスと花火をシンクロさせた。会場の外では、音楽が聴こえないし、花火の音にかき消されてしまう。会場の中にいる人だけ、完璧なパフォーマンスを楽しめる仕かけだ。

イベントは、入場料とスポンサーシップで採算が成り立つようにしたので、会場の外にタダ見の人が何人いても関係ない。むしろ、「来年は会場の中で見たい」と思ってくれただろう。それでいい。

最初に企画がでてきた時は、「お台場海浜公園を丸ごと借り切るなんて、無理じゃないか」と思った。周辺への騒音対策が不可能なんじゃないかという話があったからだ。でも、無理、ダメと言っていたら、何も新しいことはできない。無理なことをどうやれば可能にできるかと考えていかなければいけない。やってみれば、簡単ではなかったけど、STAR ISLANDもこうして成功させることができた。

エイベックスの企業理念を表現してくれていた

このイベントはまさに、エイベックスの企業理念「Really! Mad+Pure」を表現してくれていたように思う。ものすごく好評だったので、来年もまず間違いなく開催するし、毎年恒例の息の長いイベントになっていくと思う。それだけじゃない。僕は、STAR ISLAND inドバイとか、inマイアミとかをやりたいと思っている。ULTRA JAPANも大成功だったけど、これはあくまでも海外から輸入したイベント。でも、STAR ISLANDは日本から世界に輸出できるイベントになる。花火の技術だったら、日本は頭抜けているんだから。

今、僕はスポーツチームを丸ごとブランディングできないかと考えている。プロスポーツは、本来エンタテインメントなんだから、もっとエンタテインメントに振り切っていいのではないかと思う。例えば、テレビCMに出演しているプロスポーツ選手は、意外に少ない。出演しているのは、世界的に活躍をしているアスリートばかりで、国内のプロスポーツ選手からももっと人気者がでてきてもいいのではないかと思う。

そして、スタジアムの建設に関わりたい。最初から、そのスポーツに特化し、なおかつ音楽イベントにも使えるような設計にすれば、観客は、そのスポーツ、音楽の神髄を楽しむことができる。近隣への騒音問題も、最初から防音を考えた設計にしておけば問題ない。

コンサートでもそうだけど、野球などのスポーツエンタテインメントでは、9回の表ぐらいから観客が帰り始めたりする。帰りが混雑するなどというのが嫌なのだと思う。その気持ちはわかる。でも、エンタテインメントをつくっている僕たちからすれば、残念だし、悔しくもある。むしろ、早く帰ったらつまらないと観客に感じさせなければいけない。

仕事の時間を短くするのではなく充実した人生を送る

イベントが終わっても、さっさと家に帰る必要がないように、例えば近隣にホテルも建てればいい。夜遅くまで遊べるクラブをつくればいい。昼間は、別のイベントを楽しめる小劇場をつくればいい。レストランをつくればいい。テーマパークもつくればいい。そうやって朝から夜まで楽しめるエンタテインメントタウンをつくりたい。

そんな街をつくるのに、いったいいくらかかるのか。僕たちの財力では到底無理な話だし、無謀な発想だとは思う。でも、無理だと思ったら、絶対無理になる。どうしたら実現できるのかと考えたら、そういう施設をつくれる企業や自治体と組めばいい。彼らは施設はつくれるけど、中身についての発想をあまり持っていない。僕らは、施設はつくれないけど、中身をどうするかについてはノウハウがある。どっちが上とか下ではなく、対等なパートナーシップを築けるのではないかと思う。

世界から見ると、日本のナイトライフは充実しているとは言えない。2020年に向けて、ひとつの課題になっていると思う。今、話題の「働き方改革」だって、仕事の時間を短くすることが最終目的ではなく、余暇の時間を増やし、充実した人生を送ることが本来の目的。だとしたら、のんびり、ゆったり遊べる場所が少なすぎる。地方都市の郊外にエンタテインメントタウンを建設して、その地方の特色を打ち出していくようにすれば地方創生にもなる。

プロスポーツチームとブランディング契約を結び、それに合わせてスタジアムを建設し、エンタテインメントタウンを建設する。全然無理じゃない。全然無謀じゃない。実現に向けて、僕はもう動き始めている。

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2024年6月号

ボルテージが上がる! 魂のハワイ

2024年6月号表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

MAGAZINE 最新号

2024年6月号

ボルテージが上がる! 魂のハワイ

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ6月号』が4月25日に発売となる。今回のテーマは、安息と刺激が共存するハワイ。オアフ島に加え、ハワイ島、ラナイ島と3島にわたるアイランド・ホッピングを総力特集! 知る人ぞ知る、超プライベートリゾートから、新しくオープン&リニューアルしたホテル情報、最旬グルメ、死ぬまでに一度はみたい絶景、最新ゴルフ場事情など、今知りたいハワイを完全網羅する。 表紙は、ソロアーティストとして新たな道を突き進む、三宅健と北山宏光のふたりが登場。

最新号を購入する

電子版も発売中!

定期購読はこちら

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる