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2017.07.03

山中伸弥「研究者魂 経営者脳 ~iPS細胞実用化を目指して~」Study9

iPS細胞を使った再生医療研究について話をすると、「人間は永遠に生きられるようになるのでは?」という質問をされることがよくあります。事実、世界には老化を防ごうと本気で研究している人たちがいますが、私はiPS細胞研究によって不老不死を目指しているわけではありません。

研究者魂9

Study9「iPS細胞で寿命を延ばす!?」
なんとかしなければと心配で夜も眠れなくなります

日本は世界と比べ、高齢化のスピードが断トツに速く、人口構成がこれからどんどん不安定になっていきます。また、新しい医療技術によって、さらに平均寿命が延びる可能性があります。私たちの研究も含めた科学技術の進展が、若い世代の年金負担額だけでなく、国民医療費の増大を招くのではないかと考えはじめると、心配で夜も眠れなくなり、なんとかしなければという想いに駆られます。

iPS細胞技術は健康寿命を延ばすことにもつながる

研究者魂9-1

(C)京都大学iPS細胞研究所 第三研究棟の竣工式当日は、晴天にも恵まれ、素晴らしい式典となりました。iPS細胞発表から10周年の記念すべき幕開けです。

そこで考えたのが、"健康寿命"を延ばすということです。"健康寿命"とは健康上の問題がなく、日常生活を制限なく楽しんで過ごせる期間のことです。"健康寿命"と"本当の命"の間には、約10年の差があると言われています。高齢化に伴う病気やケガによって生まれるこの差は、ご本人を苦しめるだけでなく、周囲の方にも介護等で負担がかかります。

この差を1年でも2年でも縮め、国民医療費の削減に貢献したい、というのが私の願いです。現在行われている研究が進展することで、iPS細胞技術は健康寿命を延ばすことにもつながると考えています。

もちろん人間ですから、年を重ねれば何らかの病気になる可能性が高まるのは自然なことだと思っています。例えば、高齢になるとパーキンソン病の症状が出る方が増えると言われています。私は今50代で、幸い健康でマラソンを走ることもできますが、自分自身にとっても決して他人事ではありません。もちろん、医学だけで高齢化の問題がすべて解決されるわけではなく、iPS細胞技術だけですべてを改善することはできません。ただ、iPS細胞技術が社会全体にとっても有益であるように、これからも自分にどんなことができるか考え、そして実行していきたいです。

山中伸弥の今月のひと言。
米・サンフランシスコにあるグラッドストーン研究所にも研究者として所属しているため、月に一度はサンフランシスコに行っています。
7月はタイミングよくサンフランシスコマラソンが開催されるため、今回初めて出場することにしました。

iPS細胞研究所
公式Facebook:https://www.facebook.com/CiRA.KyotoUniv/
公式Twitter:https://twitter.com/cira_ku_j/

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