スタイリッシュかつ落ち着いた空間で豊富に揃った最新のスキー板やスノーボード、ウェアやブーツを眺めていると、まるで青山や六本木にあるショールームにでも来たかのような気分になる。世界初の最新かつハイエンドのスキーレンタル。日本のウィンタースポーツの景色を変えるために動いたふたりがそのサービスに込めた思いを語り合った。
常識を覆した、新しいスキーレンタル
世界屈指の雪質を求めて国内外からスキーヤーが訪れ、新しいスノーリゾートとして注目される安比高原スキー場。
その安比で2023-2024年シーズンにオープンした「エグゼクティブラウンジ」は、アメアスポーツが取り扱うサロモン(SALOMON)、アトミック(ATOMIC)、アルマダ(ARMADA)、ピークパフォーマンス(Peak Performance)など人気ブランドの最新ハイエンドモデルをレンタルできる、日本初の“ラグジュアリー”レンタルステーションだ。
広々とした空間に最新かつ最上級なギアやウェアが並び、そこはまるでショールームさながら。ギアを熟知したスタッフと相談しながらじっくり選ぶこともできる。
売れ残った「型落ち」が並ぶのが一般的だった日本のスキーレンタルの常識を覆すこのサービスを実現させたのは、安比高原スキー場のスキー事業統括本部統括の皆川賢太郎さんとアメアスポーツジャパンのショーン・ヒリアー社長。
この取り組みは、皆川さんからアメアスポーツへのアプローチをきっかけにスタートしたという。
皆川 本当に素晴らしいラウンジができました。ありがとうございます。アメアスポーツ、ショーンさんをパートナーに選んでよかったと心から思っています。
ヒリアー ここまでトップブランドの最新作が揃うレンタルステーションは、おそらく世界初。すごく雰囲気もいいし、リラックスもできる。こういったラグジュアリーな空間でスキーやスノーボード、ウェアに触れれば、また安比に来たいなと思ってもらえるはず。
皆川 最初にショーンさんに提案したときには、まだボロボロのスキー場でしたけどね(笑)。施設は古くて、手書きの看板とかが貼ってある状態で。
ヒリアー でも皆川さんや安比高原のみなさんのやりたいことはしっかり伝わってきました。この状況を変えようとしていたし、熱意もあった。僕は日本の雪資源にはすごくポテンシャルがあると感じていたので、面白くなりそうだと思ったんです。
皆川 日本のウィンタースポーツの業界は、’90年代をピークにずっと右肩下がりの状況。安比を変えていくためにはグローバルな目線が欠かせない。だからパートナーとして、世界的ブランドであるアメアスポーツと組みたいと思いました。
エグゼクティブラウンジのここに注目!
1.トップブランドの最新ギアがレンタルできる
エグゼクティブラウンジの魅力は、サロモン(SALOMON)、アトミック(ATOMIC)、アルマダ(ARMADA)、ピークパフォーマンス(Peak Performance)などトップブランドの最新のモデルを体験できること。スキー板なら1日に2種類まで借りることができるので、ここで試してから購入を決める客も多いのだとか。
2.ラグジュアリーな空間にハイエンドなギアが並ぶ
広々としたラグジュアリーな空間で、ギアや雪質を熟知したスタッフと相談しながらじっくり選ぶこともできる。
3.Peak Performanceのレンタルは世界初!
スウェーデンのプレミアムアウトドアブランド「ピークパフォーマンス(Peak Performance)」のウェアをレンタルできるのは世界でもこの安比高原スキー場だけ。
安比は体験価値の宝庫。選択肢のあるスキー場へ
ヒリアー 日本は雪質だけなら間違いなく世界一なのに、残念ながらホスピタリティが追いついていない。
皆川 そうなんですよね。日本のスキーリゾートは、ガラパゴス的に発展してきてしまったんです。大きなホテルを作って、温泉と宴会場があれば稼げる時代が長かったから、海外からの目線がまったく入ってこなかった。
スイスとかオーストリアで自国民だけ来ればいいなんていうスキーリゾートはないですよ。常に外国からのお客さまを意識している。その目線がない日本は独自の発展をし、そしてスキーブームが去ったら人が来なくなってしまった。
ヒリアー 海外のスキーリゾートに比べるとホテルも食事も選択肢がない。
皆川 「スキー場だから高い、スキー場だからまずい」「しょうがないよね、スキー場だから」と、お客さまも経営する側も考えてきた。その結果が現状です。僕はなにがなんでもラグジュアリーなものを作ればいいと思っているわけではないんです。
今まではあまりにも選択肢がなかった。数日間滞在して安くスキーをしたい学生と、1日しかいられないけど効率よく快適にスキーを楽しみたいビジネスパーソンに同じようなサービスしか提供できていなかった。
その幅を広げて、多くの人に刺さるさまざまな体験価値を提供できるようになればいいなと思っています。
ヒリアー 僕も同じです。お金をかけること、ビジネスとして成功することだけが大切ではない。僕はいま自然のなかでのスポーツがトレンドだと思っているんです。コロナ禍を経て、身体を動かすこと、自然のなかに行くことの気持ちよさにみんなが気づいた。そうやってみんなが健康に自然を楽しめるようになればというのが一番の願いです。
皆川 そういう意味では、安比は体験価値の宝庫です。雪の季節だけでなく、グリーンシーズンの自然も素晴らしい。
ヒリアー 皆川さんの提案は、冬だけでなく、夏なら登山とかトレッキングとか1年を通して考えられていたのも共鳴した点です。単なるスキーシーズンだけの提案ならタッグを組もうとは思わなかった。
皆川 理想は、スキーリゾートではなく1年間楽しむことができるマウンテンリゾート。これまでのスキー場は、夏にお客さまが来ないからゴルフ場とかテニスコートとか、あるいは遊園地とか作って集客しようとしていた。自然そのものを楽しむという発想がなかったように思います。そこを安比で変えていきたい。
ヒリアー トレッキング、登山、マウンテンバイク……夏でも提供できる商品はたくさんあります! そうやって山を楽しむコンテンツがどんどん増えていけば、間違いなく安比も賑わうはず。
皆川 安比再生は、まだ理想の20%程度の状態ですが、このエグゼクティブラウンジがきっかけになってお客さまだけでなく、働く人達の目線も変わっていけばいいなと思っています。「こういう場所で働きたい」「こういうサービスをやってみたい」と感じてもらえれば、他のショップや飲食店のホスピタリティも変わる気がするんです。
ヒリアー 安比が成功すれば、日本のスキー場が変わる。世界中から人が集まるようになると思います。だからこそ皆川さんをはじめとする安比のみなさんには頑張ってほしいんです。
皆川 まだ時間がかかると思いますが、これからもよろしくお願いします。
安比高原スキー場
APPI Snow Mountain Resort
岩手県北東部に広がる安比高原は、パウダースノーで知られる日本を代表するスキー場のひとつ。世界に誇る新しいスキーリゾートの魅力を発信している。「WORLD SKI AWARDS 2023」において、「Japanʼs Best Ski Resort 2023」最優秀賞を受賞。