2022年12月10日にオープン予定の今シーズンから「生きるを、感じる」を新たなコンセプトとして標榜する岩手・安比高原スキー場。極上の自然環境をより生かした抜本的改革を進めているこの地はアジアで最高峰、かつ唯一無二のリゾート地へと変革する未来を目指している。今回は“極上のシルキースノー”と国内外から注目される、雪質について紹介する。【特集 絶頂スキーリゾート】
唯一無二の軽量の雪
安比高原は岩手県北西部にある十和田八幡平国立公園に隣接している地。実はこの北緯40度の内陸部という立地は、オーストリアのアルベルクやアメリカのアスペンなど、世界で有名なスキーリゾートと同じでもある。そして、標高が高く気温が低い地域に降るサラサラした“極上のシルキースノー”を求める国内外の熱狂的スキーヤーから注目を集めている。そんな世界屈指といわれる雪質とは? 全日本スキー技術選手権大会で3連覇中の武田 竜選手に聞いた。
「安比高原はシーズン初めに人工降雪機で雪を敷いていて、下地がしっかりしている上に、粒が小さく、水分少なめのさらっとした天然雪が積もります。その雪質ですが、圧雪バーンでは滑って曲がる際に高いグリップ力を実感でき、非圧雪バーンでは最上のパウダースノーを体感できる。降雪量が多く、常にいい状態の雪質を保っていると感じます」
時にその雪質は、水を加えないと雪の玉が握れないというほどさらりとしている。
「もうひとつの魅力は、コースの長さですね。ゴンドラを1本登るだけで5km以上滑れるスキー場は日本でも数少ないのでは」
総滑走距離は4万3100m。全21コースで、最大斜度34度のコースから極上のパウダーバーン、モーグルレーンやツリーランとバリエーション豊か。日本有数の山岳景観と原生林が残る大自然はとてもダイナミックだ。
「外国人スキーヤーが徐々に増えてはいますが、まだ、今年は狙いめではないでしょうか。どのバーンも滑り応えがあるので、安比ならではの雪を味わえると思いますよ」
東北のなかではアクセスもよく、上海と台湾からは、最寄りのいわて花巻空港に直行便が就航した。さらに東北自動車道に八幡平スマートIC設置が発表され、開通すると今後は東北道から約10分で安比高原に到着できるようになる。今や安比高原のシルキースノーは行政をも動かし、海外からも大注目を浴びる自然の資源となっている。