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TRAVEL

2023.01.28

窓の外にはサーキット! 噂の「富士スピードウェイホテル」に泊まってみた

Hyatt(ハイアット ホテルズ コーポレーション)の「アンバウンド コレクション by Hyatt」が日本に初上陸を果たした。それが2022年10月にオープンしたホテル「富士スピードウェイホテル」。今回は、世界中を駆け巡るホテルジャーナリスト・せきねきょうこが実際に宿泊し取材を敢行。富士でしか味わえない特別な体験とは。

huji-hyatt

「モータースポーツとホスピタリティーの融合」に、興奮冷めきれぬ滞在

"ストーリーのあるホテル"としてHyattが打ちだしたのは、他に類のないホテルの集合と謳う「アンバウンド コレクション by Hyatt」である。そのメンバーの日本初となる「富士スピードウェイホテル」が、2022年10月7日に開業した。名前の通り、ダイナミックな富士山に手が届きそうなほど近い距離にあり、日本を代表するサーキット「富士スピ-ドウェイ」に隣り合う貴重なロケーションにある。アンバウンド・コレクションとしては、'23年、すでに日本二番目となるホテルが東京に誕生するとの発表も有り、今後もブランドの躍進には目が離せない。

富士山ビュー デラックス キング
大きな窓が特徴的な約55㎡の客室からは、豊かな自然と雄大な富士山が望める。洗練されたインテリアや、深めのバスタブとレインシャワーのスタイリッシュなバスルームなど、ゆったりとくつろげる。

アンバウンド コレクションのホテルは、それぞれが唯一無二の存在として、そこに行かなければ決して体験できない特異なデスティネーションや、その場の類まれな特徴などをコンセプトとしたストーリーのあるホテルの集まりだ。ここ「富士スピードウェイホテル」も同様であり、ラグジュアリーホテルとしての門出を飾ったばかりである。その特別感を紐解いてみよう。

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富士山側の客室からは、目の前に迫りくる富士山を拝むことができる。

ホテル客室は全120室(スイート21室、5室のヴィラを含む)。客室は廊下を挟んで両側に造られ、それぞれの窓からの景色は同じホテルかと思うほどに全く対照的だ。サーキット側の部屋のバルコニーからは当然、サーキットが間近に見え、レース開催時にはクルマの甲高いモーター音に包まれ、臨場感に興奮冷めやらないことになる。もう一方の客室から見えるのは、勇壮な姿の富士山。この特別な山の放つオーラに包まれながら静かに憩う室内である。雄大で壮麗な、美しい富士山の姿はいつ見ても感動に満ちている。

huji-hyatt

ホテルのエントランスではドアが開くと「富士モータースポーツミュージアム」に展示されるクルマが見え、ワクワク感が高まる。

師走のある日のこと、すでに'22年のすべての公式レースは終わっていたと聞かされていたが、ホテルエントランス前でクルマを降りた途端、たまたま特別な大会が開催されていたサーキットからは、話し声など聞こえないほど、想像を遥かに上回るレースのマシン音に包まれ、胸が高鳴り、しばし立ちすくんでしまった。瞬間的に脳裏に浮かんだのは、かつてモナコの街中を走る"F1グランプリ・モナコ"をホテルのバルコニーから眺め、鳥肌の立つ思いで"爆音"に包まれた時のこと…。実際にこの日も興奮が冷めやらぬままホテルのスタッフに促され通された私の部屋はサーキット側だった。思わずテラスに出て、しばしそのレース音に浸っていた。

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ホテルの離れには専用ガレージつきのヴィラが3棟5室点在する。ヴィラでは、大型犬の宿泊も可能で愛犬と一緒に特別な滞在が可能。

その日、館内の1階から2階にかけて誕生した「富士モータースポーツミュージアム」を訪れた。数々のレーシングカーや歴史的なクラシックカー、世界の名車を見ながら、モータースポーツ黎明期から時代を先導してきた匠の技術者たち、世界的な名声を手にした人気ドライバーらの危険と隣り合わせの極限の世界を想像しながら臨場感に包まれた。

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ホテルに入ると、すぐにトヨタ7がお出迎え。富士スピードウェイホテル棟の1〜2階は、モータースポーツをテーマとした「富士モータースポーツミュージアム」になっていて、約130年にわたるモータースポーツの歴史を、多くのレーシングカーの展示でたどれるようにレイアウトされている。3階にはテラスとミュージアムが運営するショップとカフェがあり、窓とテラスから富士スピードウェイを眺めることも可能だ。

これほど世界の名車が、ブランドの垣根を超えて展示されているミュージアムを見たことがない。この日、今に至るクルマの物語や歴史をわかり易く説明してくれたのは副館長の冨岡修氏であった。氏と共に、馬車の時代から自動車レースへ、そして発展に継ぐ発展を遂げてきた自動車業界やレースの歴史などについて、予定時間を遥かに超えて話が弾んだ。興味深い貴重なミュージアムである。

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富士スピードウェイホテル内にある炉端焼きレストラン「Robata OYAMA」。駿河湾の魚介や御殿場の鶏肉、旬の野菜など食の宝庫・静岡の素材を使った逸品が供される。厳選された日本酒は静岡のものを中心に、全国各地から仕入れたものをラインナップ。ワイングラスに注がれる静岡県産の冷茶も絶品。

翌早朝、外に出てみると雲一つない快晴の空に朝陽が昇ろうとしていた。身近に聳える暗闇の中の富士山は、あっという間に群青色へと変わり、やがて美しいモルゲンロートを魅せながら、神々しい陽差しに照らされ刻一刻と色を変えていった。世界文化遺産である富士山の圧倒的な雄姿と、世界中のモータファンを熱狂させる老舗サーキットの存在、この究極の"静"と"動"の共存に、ハイアットの"ホスピタリティー"が重なり合う「富士スピードウェイホテル」に、特別感やストーリーが透けて見えてきた。ここでしか味わえない、まさに他にはない存在が"アンバウンド・コレクション"としての意義のある姿なのだと納得したのである。

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上:24時間営業のジムでは、プロ仕様のドライビングシミュレーターの体験も可能。選ぶ車種により異なるリアルな音や振動を楽しめる。
下:長さ20m・深さ1.2mの屋内プールは年中遊泳可能。広々としたジェットバスも備えている。

富士スピードウェイホテル
住所:静岡県駿東郡小山町大御神645
TEL:0550-20-1234
客室数:120室(うちスイートルーム21室)
料金:ビュールームツインタイプ45,991円~(1室2名利用時、食事なし、税サ込、入湯税別)

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト。仏国アンジェ・カトリック大学留学後、スイスの山岳リゾート地の観光案内所に勤務し、3年に及ぶ期間、4つ星ホテルに滞在。仏語通訳を経て1994年、ジャーナリズムの世界へ。ホテルの「環境問題・癒し・もてなし」の3テーマで現場取材を貫く。世界的ブランドホテル「AMAN」のメディアコンサルタント、他ホテルのアドバイザーも。連載・著書多数。【せきねきょうこ公式HP はこちら】

TEXT=せきねきょうこ

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