"なにわラグジュアリー"を合言葉に、"笑い"と"おせっかい"を採り入れたおもてなしと、星野リゾートならではの上質で贅沢なステイを体験できる最新都市型ホテル「OMO7(おもせぶん)大阪 by 星野リゾート」。世界各国を旅してきたホテルジャーナリスト・せきねきょうこを虜にした"なにわステイ"の魅力に迫る!
病みつきになる、地元人が築き上げた"なにわ魂"
長引くコロナ禍にもめげず、星野リゾートが活気づいている。世間のビジネス停滞などを横目に個性溢れる施設が元気だ。とりわけ、ここにきて「OMO」ブランドの開業も相次いでいる。2022年4月22日に開業した「OMO7大阪 by 星野リゾート」(以下OMO7大阪)は、観光目的の人々が特別感のある滞在ができると、星野リゾート代表の星野佳路氏がその魅力を力説している注目のホテルなのだ。
「OMO」は、旅のテンションを上げる都市型ホテルブランドとしてデビューした。2018年4月28日に開業した「OMO7旭川 by 星野リゾート」に始まり、あっという間に11施設(2022年7月現在)まで増えている。"旅のテンションを上げる"カジュアルなホテルとして全国に点在し、その名も徐々に知られるようになってきた。
ではなぜ、大阪に生まれた「OMO7大阪」がそれほどに特別感があるのだろう。筆者は編集者とともに、現在のホテルの様子をうかがうべく大阪へ赴いた。実はホテルのロケーションである新世界エリアは、大阪でも観光開発が遅れやや置き去り感のある場所であったと言われてきたのだ。実際に歩いてみると、確かにディープな大阪の雰囲気を宿す空気感が漂い、まだ、"大阪の観光地"としては知られていない、しかし、もっと知りたい"なにわ文化"が色濃く残る地域であることも肌で感じたのである。散策をするだけでなにわの今昔が早くも見えてきた。
人懐っこい人々が行き交う新世界エリア、シャッター通りにぽつんと開くアニマル柄のアイテムが揃うブティックの名物マダム、昔ながらの暖簾を守る老舗鰹節店の3代目や4代目も元気だ。本物の"食い倒れ"文化もこの地域に残っている。地元に歓迎されないホテルはいずれも厳しいスタートとなるものだが、ここ「OMO7大阪」の開業は、地元の人々が心待ちにしていたというから嬉しい限りだろう。そして、ラグジュアリーには縁がなかったという地域に堂々と生まれたホテルが掲げるのは、"なにわラグジュアリー"。観光の達人である星野リゾートが、この地域にどう光を当てるか、なにわのホテルとしての成長が楽しみである。
ホテルに滞在し、周囲をアクティビティのひとつである「OMOレンジャー」とともに歩いてみると、この地域は実に観光にもショッピングにも便利であり、気取らない優しい人々が暮らす昔ながらの大阪が見える地域であることも一目瞭然だった。そこに生まれたスマートなホテル「OMO7大阪」は、新世界エリアとの相性も抜群によさそうである。
「OMO7大阪」の掲げる"なにわラグジュアリー"の真髄
ホテルに到着してまず驚くのは、そのスケールの大きさだ。これまでの星野リゾートそれぞれの宿とは異なり、聞きしに勝る大きさとその開放的な空間造りに驚かされる。アライバルエリアの1階からチェックインスペースが設置された2階へと上がると、その奥に広がるレストランを含め、フロアの奥行き約85mという圧巻の空間に思わず立ち止まる。館内の部屋数は8タイプ、436室。その客室階の廊下はなんと約100mもの長さを誇っている。
さらに2階からアプローチ可能なガーデンエリア「みやぐりん」(その敷地面積はなんと約7,600㎡!)は起伏のある形状の庭で、さまざまなデザインの椅子やベンチ、休憩処が点在し、気分の赴くままに過ごせる開放感が魅力的だ。またこの庭がJR新今宮駅に向かい合うように広がっており、駅のホームを利用する人々との距離が近く視線が合う高さにある。今の時期は通勤客も、ホテルの壁面を覆う外装膜に映し出される光の花火「PIKAPIKA ファイアワークス」の様子が毎晩楽しめる。こうして行き交う地元の人々と自然に接することで、ホテルに興味を抱いてもらえる効果もあるのだ。ガーデンエリアの一角には大浴場「湯屋」も造られ、地元の人々はその外観を見ると、大阪の風呂屋文化を思い起こすという。大浴場の天井には雨も降り注ぐ天窓(雨は壁を伝わるので濡れない設計)が造られている。
一方、「OMO」の楽しみのひとつであるではOMOレンジャーとの散策も健在だ。近隣を周る「ご近所アクティビティ」はいくつか用意され、参加者は、まず2階レセプション前に貼られた巨大なご近所マップの前に集合。説明を聞き、いざ出かける前には、レンジャーとともにゲスト全員が「ほな、いこか!」とポーズしてから散策へと出発する。まずは"食い倒れの街"の食文化を支えてきた伝統の新世界エリアの市場巡り。生活感溢れる市場の活気に、大阪観光のスタートはこれであろうと肌で感じる散策が始まった。
ホテル内では「ライブラリーラウンジ」や、「OMOカフェ&バル」「OMOダイニング」という食が充実したエリアも体験してほしい。なかでも「OMOダイニング」で味わえるディナーの美味しさは格別だ。大阪の食文化に新たなアレンジを加えた、いずれ劣らぬ絶品のメニュー。箱寿司や船場汁など大阪の郷土料理を美しく艶やかに料理した「Naniwa Neo Classic」と、下町の大人気郷土食の串カツを新たな料理へと変化させた「Naniwa Kushi Cuisine」の2種類のコースは、プレゼンテーションの斬新さ、美しさ、そして美味しさも期待を裏切らない。
滞在し、楽しみ、発見し、食べて、寝る。"なにわラグジュアリー"の真髄は、星野リゾートとローカルの文化が織り成す、新しい"なにわ文化"の体感である。
OMO7大阪 by 星野リゾート
住所:大阪府大阪市浪速区恵美須西3-16-30
TEL:0570-073-099(OMO予約センター)
客室数:436室
料金:1泊¥61,000~(1室あたり・税込み・夕朝食つき)
せきねきょうこ
ホテルジャーナリスト。仏国アンジェ・カトリック大学留学後、スイスの山岳リゾート地の観光案内所に勤務。期間中に3年間の4ツ星ホテル居住。仏語通訳を経て1994年、ジャーナリズムの世界へ。ホテルの「環境問題、癒し、もてなし」の3テーマで現場取材を貫く。世界的ブランドホテル「AMAN」のメディアコンサルタント、他ホテルのアドバイザーも。連載・著書多数。