十和田八幡平国立公園を流れる奥入瀬渓流。その渓流沿いにある唯一のリゾートホテルが「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」だ。ここでは2022年6月30日まで、大自然のなかで3密を回避しながら贅沢な時間を過ごす「ワンランク上の奥入瀬おとな旅ステイ」というプランが用意されている。“ワンランク上”という言葉に惹かれ、実際にリゾートライフを体験してみると……。
リゾート地で楽しむ岡本アートの数々
東京からだと羽田から空路、青森県の三沢空港まで75分のフライト。そこからクルマで1時間ほどの場所に「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」がある。周囲を緑に囲まれ空気は澄み、聴こえるのは鳥のさえずりと渓流のせせらぎ。ヒーリング効果はすでに始まっている。
チェックイン後通されたロビーには、大暖炉「森の神話」がそびえ立つ。これは大阪万博の「太陽の塔」や渋谷駅の「明日の神話」で有名な芸術家・岡本太郎の作品で、ブロンズ製の筒は高さ8.5メートル、重さ5トンにもなる大作。奥入瀬の美しさに魅了された岡本太郎は、生前、ここを幾度となく訪れたそうで、館内には遺作となる大暖炉「河神」を含め、3点の岡本作品を見ることができる。
露天風呂テラス付きの客室にはゴージャスな銘醸ワインも
このプランで用意されるのは、広さ60平米の客室「渓流和室 露天風呂テラス付」。テラスの向こうはブナやカツラが生い茂る森林で、眼下には奥入瀬の渓流がさらさらと流れている。
そして客室に設置された小型ワインセラーの中には、ソムリエがこのプランのために厳選した銘醸ワインが。つねにグラン・クリュ、すなわち特級畑のワインが2本用意され、この日はシャンパーニュがピエール・トリシェの「ブラン・ド・ノワール・グラン・クリュ」、赤はブルゴーニュで、ドメーヌ・フォラン・アルベレの「コルトン・グラン・クリュ2016」だった。
どちらも生産量の限られた希少な銘柄で、有名どころはほぼ制覇したと豪語するワイン通さえ「おお」と唸る逸品。シャンパーニュはピノ・ノワールのコクが引き出された力強いタイプ。2016年の赤は豊かな果実味でもうすでに楽しめる。
渓流のせせらぎを聞きながら露天風呂にぽちゃりと浸かり、汗が引いたらよく冷えたシャンパーニュを一杯、もう一杯。赤ワインはディナーの後、ナイトキャップに取っておくことにしよう。
ディナーはオプションになるが、メインダイニングのフレンチレストラン「Sonore(ソノール)」で。渓流沿いのテラスでアペリティフを楽しんだ後、いざ、テーブルへ。岡亮佑シェフが創意工夫をこらしたコース料理をいただく。地元の旬な食材を用いたモダンなフレンチで、青森の郷土料理「イガメンチ」にインスパイアされた一品などじつにユニーク。それぞれの料理に合わせ、鈴木良隆ソムリエが選んだワインとのペアリングがおすすめだ。
ストップと言えない朝食のトリュフトースト
翌朝5時、お日様が顔を覗かせる前に「渓流露天風呂」で一番湯に浸かり、前夜のアルコールを抜く。源泉は猿倉温泉混合泉で泉質は単純泉。筋肉や関節の痛み、胃腸機能の低下、冷え性、疲労回復、うつ状態などに効くそうなので、食べ過ぎ、飲み過ぎの翌朝にはぴったりだ。
朝食は昨晩、アペリティフをいただいた渓流沿いのテラスで。スタッフが手に下げてもって来たのは、リンゴの木から製作した特別な朝食ボックス。メイクボックスのような仕掛けを開くと、ほうれん草とベーコンのキッシュ、生ハムのクロワッサン、ソーセージやミネストローネなどが詰められている。そしてこれこそ大人の味わい。朝から魅惑的な香りが漂うトリュフトーストだ。トリュフバターが塗り込まれたトーストの上に、こちらが「ストップ!」と声をかけるまで、トリュフがすり下ろされる。なんとも贅沢極まりない朝のひととき。
奥入瀬渓流のプライベートツアーこそ最高のヒーリング体験
いくら素敵なホテルライフが送れるとはいえ、せっかく奥入瀬まで来たのに、ホテル内で過ごすだけではもったいない。朝食が済み次第、プランにある渓流プライベートツアーに参加しよう。通常の団体ツアーとは別に、専属ガイドが行程をアレンジのうえ案内してくれる。
ブナの木が生い茂る森の中、水が穏やかに流れる場所もあれば、強いしぶきを上げて流れている場所もある。渓流の中の大きな岩も苔に覆われていて美しい。奥入瀬渓流は十和田湖がクッションとなって水量が安定し、岩にむした苔が水の流れで剥がれてしまうこともないそうだ。おみやげとして売られている「苔玉」は、この奥入瀬渓流の苔むした岩をモチーフにしているという。
杉苔や蛇苔などさまざまな苔の説明を受け、実際に手で触れてみると、苔に対する愛着がじわじわと湧いてきて、実に癒される。
さらに渓流沿いには、「雲井の滝」や「銚子大滝」など、フォトジェニックな名所もたくさん。次回は三脚を持参して、長時間露光にチャレンジすることにしよう。
露天風呂付きの部屋に銘醸ワイン、渓流沿いのテラスでトリュフトーストの朝食をいただき、締めにはプライベートな渓流ツアー。ワンランク上のおとなのリゾートライフを満喫した2日間だった。
ワンランク上の奥入瀬おとな旅ステイ
期間:〜2022年7月1日チェックアウトまで
料金:¥84,150〜(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込)
内容:渓流和室 露天風呂テラス付客室への宿泊、ソムリエ厳選の銘醸ワイン2種、ビュッフェレストランでの夕食、渓流テラスでの朝食(トリュフトースト付)、プライベートツアー
定員:1日1組限定(1〜5名)
予約:2週間前までに公式サイトより要予約
星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル
住所:青森県十和田市大字奥瀬字栃久保231
TEL:0570-073-022(予約)
客室数:187室
アクセス:三沢空港からクルマで約1時間