去る2022年1月7日、星野リゾートが運営する都市観光ホテルブランド「OMO」の新ホテルが北海道・小樽の地に開業した。全国的知名度を持つ港町の知られざる魅力を発信することをコンセプトとした当ホテルは、開業早々ユニークな取り組みを発表し話題を集めている。そのキーワードは「ニシン」!?
古き良き小樽の空気に触れ、水産業を支えたニシンを知る
星野リゾート代表・星野佳路氏の「観光客のことだけを考えたら、都市ホテルはどうかわるのか」という着想から至った、「旅のテンションを上げる都市観光ホテル』をコンセプトにしているOMOブランド。その都市のオリジナリティに寄り添う姿勢に徹し、食・文化・歴史といった魅力を新しい形で発信するユニークな都市型ホテルとして、北海道・旭川を皮切りに全国に拡大を続けているホテルだ。
そんなOMOブランドの新ホテルが、北海道を代表する港町・小樽にオープン。「ソーラン、目覚めの港町」をテーマにした「OMO5 小樽 by 星野リゾート」は、小樽市指定歴史的建造物の旧小樽商工会議所をリノベーションした南館と、機能性とデザインを追求した北館で構成。階段をはじめ、棚、鏡台、消火栓、鍵など、旧小樽商工会議所で使われていたものが館内に配置されているという。新旧が融合したハイカラな雰囲気は、北のウォール街と呼ばれた小樽の歴史と21世紀の今を感じさせるものだ。
札幌から日帰りでいける観光地として、すでに人気を集めている小樽ではあるが、「OMO5 小樽」は、他のOMO同様、小樽の新たな一面を宿泊者に提供するため、開業と同時にユニークなプロジェクトを打ち出している。
当ホテルのコンセプト「ソーラン、目覚めの港町」の「ソーラン」とは、古くから盛んなニシン漁で漁師たちが使う掛け声のこと。ニシンとは、北海道で広く流通している、旨みが濃くてごはんが進む美味な魚なのだが、とにかく骨が多いのが難点。それが原因のひとつとなり、漁獲量はここ5年で約3倍と増えているのにも関わらず、消費量は横ばいで、産業の維持への影響が懸念されているのだ。
「OMO5 小樽」は、そのニシンに着目。地元企業とタッグを組み、その魅力を再発見するためのプロジェクトを進めていく。最初の取り組みとして、特殊な技術を施し、ニシンを骨まで食べられるように加工。それをメインにしたパエリアを夕食のメインディッシュとしてゲストに届ける。ほかにもニシン料理を朝食ブッフェや夕食のコースで何品か提供予定だ。