京都にホテルは数あれど、清水寺へと続く参道のひとつ、清水坂の途中に2020年に誕生した「ザ・ホテル青龍 京都清水」ほど、個性的なホテルも他に類を見ない。京都随一の繁華街である四条河原町の繁華街にも徒歩圏内であるにもかかわらず、八坂神社や清水寺にもほど近い。新たな京都の魅力を体感できるホテルライフをご紹介する。
観光に事欠かない、どっぷり京都の風情に浸る
いまだかつて、こんなホテルがあっただろうか。清水寺まで徒歩8分。一部の客室やゲストラウンジ、ルーフトップバーから法観寺境内にそびえ立つ五重の塔「八坂の塔」を間近に望み、緑溢れる山並みや京都市街を一望できる絶好のロケーションを誇る立地。
また、建物は閉校した小学校をコンバージョン(用途変換)したもので、外観の装飾、内装デザインは昭和8年当時、最先端だったモダンさを携えた唯一無二の空間を受け継ぎ、現代と融合させ、まるで時空をつないだかのような空間。生まれ変わった元校舎はどこか温かでノスタルジックな雰囲気に満たされる。古き良きものと心地よい機能性や洗練されたデザインが絶妙に融合し、なんとも心地よい。
そんな京都でも希少な体験ができるのが「ザ・ホテル青龍 京都清水」だ。
「記憶を刻み、未来へつなぐ」というホテルコンセプトのもと、歴史的な趣のある西洋建築と内部空間に最大限に敬意が払われて誕生した「ザ・ホテル青龍 京都清水」。
東山に訪れたら一度は行くべき名物ルーフトップバー&レストラン
オープン以来、東山の新名所となったホテルの屋上4階に位置するルーフトップバー&レストラン「K36 Rooftop」は圧巻!ホテルは4階建てだが、東山の中腹に立つゆえに、街中と比べると高さは15階ぐらいの位置に値するので、高い建物が少ない東山では360度のパノラマビューを楽しめる。八坂の塔や清水寺などの歴史的名所が臨めるほか、夏は「五山送り火」で船形、左大文字が見える。夕方から夜にかけては、U字型のバーカウンターが照明により幻想的に浮かび上がり雰囲気は抜群で、この絶景を堪能しながらのカクテルは格別だ。
カウンター席、ソファ席、ハイチェア席など席も豊富。1日を通して、四季のさまざまな表情を感じながらカクテルを楽しめるバー。
このバーのお楽しみは絶景だけではない。季節の果物を丸ごと使ったフレッシュジュースカクテルやK36ジントニックなど、ここでしか飲めないオリジナルレシピばかり。それもそのはず「K6」などを手掛ける名バーテンダー西田稔氏がプロデュースに参画していて、味は折り紙付きな上、あそび心に溢れたメニューで男女ともに楽しめる。同階の屋内にはオーセンティックなメインバー「K36 The Bar」もあるので、伝説のカクテルを楽しむのも一考だ。
また食事も想像以上に充実していて、熟成肉の盛り合わせ、ケイジャンシュリンプなどのシーフード、本格的なピザやパスタも豊富に揃い目移りするほど。実際、「K36 Rooftop」と「K36 The Bar」ともに、常連が多くいることも納得のサービスだ。
左:「セックスオンザルーフトップ」¥1,200、右:「K36ジントニック」¥1,200
また、ホテル2階に位置する小学校の講堂だった場所を改装した「restaurant library the hotel seiryu」も世界観が素晴らしい。4mほどの天井高を存分に活かした本棚がずらっと並び、大きな図書館のようで美しい。ホテルステイのお楽しみである朝食はここが舞台。朝はアメリカン・ブレックファストか、和朝食が選べ、京都の風土に根差した地産地消の食材が提供される。10月1日からは、ウェルビーイングをテーマに朝食メニューのメインディッシュに医師監修による医学的根拠を元にした食材の説明を用意し、卵料理のほか数種から選び、学べるという新たな取り組みもスタートした。
元講堂を保存・活用し、1,100冊もの書籍が並ぶ図書館を彷彿とさせる空間に生まれ変わった「restaurant library the hotel seiryu」。屋内44席、屋外テラス22席。朝食営業(7:00〜L.O.10:00)で喫茶営業(12:00〜L.O.15:00)で、喫茶は宿泊者のみならず外来の利用も可能。
「しば漬け入りリゾット 卵かけご飯風 京の銘柄鶏のそぼろ味噌風味」。完全栄養食の卵と赤米の美肌効果、黒米の抗酸化作用がある。
「ラタトゥイユと卵のそば粉ガレット チーズ風味 生ハム添え」。ルチンでサビない体とビタミンB群で代謝をサポートする。
トリを飾るのは、ホテル敷地内の別棟にあるアラン・デュカス氏が設立したデュカス・パリがプロデュースするフレンチレストラン「ブノワ 京都」。一歩足を踏み入れると、正面の大きなガラス張りの窓からは法観寺「八坂の塔」を間近に望み、圧巻の一言。日本的な建築でありながら、コンテンポラリーな内装はもとより、アラン・デュカス氏自らが選んだ家具や雑貨により、温かな雰囲気が育まれている。100年以上愛されてきた老舗ビストロの定番料理はもちろん、京都の季節やテロワールが感じられる料理の数々を、一流のサービスマンとの会話とともに味わってほしい。
アラン・デュカス氏が選んだダイニングの家具やカウンター、バーカウンターもフランスの蚤の市で選んだアンティークをそのまま、または修復したものを使用。カール・ハンセンのチェアがコンテンポラリーな雰囲気を演出している。
左:「パテ・アン・クルート ルシアン・タンドレ風」、右:「京都産ポークのシャルキュティエール、トウモロコシ」
ホテル内に点在する、バーとレストランは全く異なる景色、内装、食事を体験できるのでどこも外せない。宿泊客以外からも人気が高い話題のスポット。このほか、四季折々の自然や「八坂の塔」を眺めながら、宿泊者がゆったりとくつろげるゲストラウンジがある。時間帯によっては、京都の地酒が飲めたり、抹茶体験ができたり、コーヒーミルによる挽きたてコーヒーが楽しめる。
ゲストラウンジは宿泊者専用。抹茶の点て方を教えてもらい、自身で作る茶道体験も。京焼・清水焼きの器など、こだわりの器でいただける。
京都の息吹を感じるまるで博物館のような館内
「ザ・ホテル青龍 京都清水」に訪れたら、ぜひいつも以上にホテル館内を散策してほしい。外観や客室、廊下、階段などの至る所に校舎の特徴を残しながら、快適性を併せ持ち、ホテルでありながらその存在自体が博物館のようだからだ。
鉄筋コンクリート造り4階建ての校舎は、アーチ型の窓や軒下の腕木装飾といった特徴ある外観に、スパニッシュ瓦葺き屋根やスクラッチタイルなど、細やかな意匠が凝らされている。
階段の手すりに刻み込まれたいたずら書き、建物の外壁を内装として活かしている箇所、そして子供たちを見守り続けてきた郵便ポストなどが残されている。また、至る所に新進気鋭のアーティストらによる芸術作品が客室やパブリックスペースに散りばめられ、その数およそ280点にも及ぶ。
子供たちが駆け上がっていた階段や手すりはよく見ると、擦り減っていたり、文字が刻まれていたり。
もともと、元清水小学校は明治2年に開校した下京第二十七番組小学校が始まりで、学び舎としての機能のみならず、地域自治の拠点やコミュニティの中心施設としての役割を果たし、昭和8年に現在の地に移転新築されたもの。京都の街づくりの一つとして、地元の人々が資金や知恵を出し合い、想いを込めて作り上げられた校舎だったそう。それゆえ、画一的ではない魅力的な建築となっている。
そんな建物を有する敷地には、コの字型の既存の校舎、増築した客室棟、「ブノワ 京都」が入る別棟レストランがある。サッカーコート1面ほどの約7,000平米の敷地面積であるにもかかわらず、ゲストルームは48室のみという贅沢なつくり。法観寺「八坂の塔」や京都の街並みを一望できる部屋から、校舎のクラシカルな雰囲気のなか中庭を望む部屋や、テラス付きの部屋などバリエーション豊かで全15タイプもある。
古来より東山の護り神として信じられてきた「青龍」の名を冠した「ザ・ホテル青龍 京都清水」。スクラップ&ビルドからの脱却は、価値あるものの継承だ。清水の地のありし日々を未来へとつなぐホテルとして、この地で見守り続けてほしい。
かつての教室を感じる客室の窓枠。校舎の中庭に面した既存改修部客室「スーペリアキング」45.2平米。2,000×2,000㎜のキングサイズベッドを備える。清水寺や元校舎の中庭、そして法観寺「八坂の塔」など異なる景色を楽しめる部屋が15タイプある。
客室のバスルームは広々とした空間で、レインシャワー、チェア、バスタブがついて、ゆったりと過ごせる。
旅の疲れをさらに癒したいなら、元講堂を改装した「桜」「山鳩」「清水」の3つのプライベートバス(90分6,000円)を利用するのも手。7時から22時までの予約制で利用可能。3m以上の天井高がある広々とした空間で開放感溢れるバスタイムを。
ザ・ホテル青龍 京都清水
住所:京都府京都市東山区清水二丁目204-2
TEL:075-532-1111
客室:48室
部屋タイプ:「スタンダードキング」「スタンダードコーナーキング」「スーペリアキング」「スーペリアキング パゴダビュー」「スーペリアツイン パゴダビュー」「デラックスツイン」「デラックスツインDEN」「デラックスツイン パゴダビュー」「プレミアムコーナーツイン」「「プレミアムツイン パゴダビュー」「テラスツイン」「テラスツイン パゴダビュー」「ジュニアスイート クラシック」「ジュニアスイート モダン」「パノラミックスイート 」の15タイプ
料金:¥39,388~(1名当たり1泊朝食つき、税・サ込)
施設:フィットネスジム、プライベートバス
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