プッシュスライスを直すために必要なリリース動作【ゴルフレッスン】

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム99回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

「右に出て右」はカットスライス解消の通過点

新型コロナウイルス感染拡大を防止するための非常事態宣言も解除され、久しぶりのゴルフを楽しんだ人も多いと思う。久しぶりにコースに出たとき、みなさんは思うようなプレーができていただろうか。体がスイングを覚えているつもりでも、ドライバーショットでボールが大きく曲がったり、アプローチで距離感が合わなかったりと苦しんだアマチュアも多かったのではないだろうか。

先日、私が一緒にラウンドした知人も、右に飛び出したボールがどんどん右に曲がっていくプッシュスライスでスコアメイクにかなり苦しんでいた。彼はもともとカットスライサーで、ボールが左に出て右に大きく切れていく球筋だった。インサイドからクラブを振り下ろすようアドバイスをしてカットスライスが解消し、昨年にはスコアも90前半でラウンドできるようになっていたのだが、今度はボールが右に出て右に曲がるプッシュスライスが出るようになっていた。

しかし、プッシュスライスは、カットスライスを直すための通過点。スイングの方向性は間違っていない。彼と同じ悩みを持つアマチュアのために、今回はカットスライサーだった人がプッシュスライスを直すために必要な感覚について説明したい。

リリースは腰を通過したあたりから

もともとカットスライスを打っていた人はアウトサイドイン軌道でボールをとらえていたので、インパクトでフェースを開く習性がある。アウトサイドイン軌道でフェースを閉じればヒッカケが出て大けがをするためだ。そのような習性をもった人がダウンスイングでインサイドからクラブを振ろうとすると、今までの習性でフェースを開いたままボールを打ってしまう。そのため、インサイドアウト軌道でフェースが開いた状態となり、右にボールが出て右に曲がっていくプッシュスライスが起きる。カットスライサーはスイングの軌道を直すとともにフェースの向きの修正が不可欠なのだ。

開いていたフェースを閉じるといっても、インパクトで手を返したりして無理にフェースを閉じようとしてはいけない。急激に手でフェースを閉じようとすると、手に余分な力が入り、また別の問題を引き起こしてしまう。あくまでも、スイングの動作の中で自然とフェースが閉じていくことが必要だ。

カットスライサーだった人がインパクトでフェースを閉じるために、クラブをリリースする動作が必要になる。カットスライサーはヘッドを走らせることが苦手だ。なぜなら、ヘッドが走った状態になると、フェースが閉じてヒッカケが出てしまう。そのため、腕や手元を先行させる動きによってフェースを開く動作を行う傾向がある。カットスライサーによくみられる、フォローでひじが引ける「チキンウィング」などは、軌道の問題もあるが、ヘッドが走らないために発生する。

そのため、カットスライサーだった人は、軌道が適切になったらフェースを閉じるためにクラブをリリースする意識が必要になる。多くの人はインパクトの瞬間にクラブをリリースするものだと思っているかもしれないが、それではタイミング的には遅い。

ボールを投げるときの感覚を思い出してみよう。ボールを離す場所をリリースポイントというが、その時点でいきなり手を離すのではなく、既にボールは指先に引っかかっているだけの状態のはずだ。リリースポイントの手前からボールを放し始めている感覚になるだろう。

投球動作と同じで、クラブもインパクトの瞬間にいきなりリリースするのではなく、リリースの動きはもっと手前から始まる。クラブが地面と平行になるあたりまで下りてきたら、リリースを始めるのが正しい感覚だ。安全が十分確保できる場所があれば、実際にクラブを投げてみてほしい。クラブヘッドが目標方向に腰の高さよりも低く飛んでいくように投げられれば適切なリリースができ、自然にフェースローテーションされている状態だ。リリースが遅い人は左上にクラブが飛んでいくだろう。この時に手首を過剰に使わないようにしてほしい。右手の平が上を向いたり、下を向き過ぎたりしないように気を付けよう。クラブヘッドのトゥが上を向き、リーディングエッジが地面と垂直になった状態でクラブが飛んでいくようにしてほしい。リリースのタイミングをつかむことができれば、自分でクラブをコントロールしようとしなくても、自然とフェースがボールをとらえてくれる。

極端なフックグリップなどでクラブをリリースすることが難しい場合もある。その場合は、ダウンスイングでフェースを閉じる動きを行ってほしい。インパクトでフェースを閉じようとしてもクラブは高速で動いているため間に合わない。ダウンスイングでクラブが地面と平行になったあたりで、クラブフェースが斜め下を向いているように下ろそう。右手の平が下を向いている感覚で行うといいだろう。

カットスライスで悩んでいた人は段階を踏んでステップアップしてほしい。軌道とフェースの向きをセットで修正できれば、勢いのあるドローボールを打つことができるようになるだろう。


Text=吉田洋一郎 Photograph= 小林 司  Cooperation=取手桜が丘ゴルフクラブ

吉田洋一郎
吉田洋一郎
欧米のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。世界4大メジャータイトル21勝に貢献した世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターを2度にわたって日本へ招聘し、世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。また、欧米の一流インストラクター約80名に直接学び、世界中のスイング理論を研究。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上にのぼる。シングルを目指すアマチュア、トップアマ、ツアープロまでアスリート志向のゴルファーを指導。2019年ゴルフダイジェスト・レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。
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