滝藤賢一の映画独り語り座 Vol.04

今月の1本は『グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~』。

ワンシーンに才能の限りをつくす脇役の存在感

今、ある作品で新聞記者を演じている滝藤です。だから、というわけではありませんが、今回は社会派の題材を扱う『グッド・ライ~いちばん優しい嘘』を面白く拝見しました。

1983年のスーダンの内戦に巻き込まれる子供たちの13年にわたる物語です。親を亡くし、国も失くした彼らを「ロストボーイズ」というそうです。

でも、いかにも苦しい、悲しいという描き方ではない。社会問題をポップに扱って、悲劇に笑いを交えている。だから、逆にジンとくるんですよね。

それと、前半と後半のトーンが全然違うのもよかったです。前半はひたすらヘビーな描写。水も食糧もない砂漠を横断してケニアを目指すんだけど、途中で北軍の兵士が待ち受けていて、丸腰の子供たちを平気で撃ちまくる。映画は背景を敢(あ)えて説明しないから、実に怖いです。

後半は一転、内戦から13年後に主人公たちが移民としてアメリカへ行くんですが、受け入れ側のアメリカ人たち、びっくりするほど軽いんです(笑)。職業紹介所の職員をリース・ウィザースプーンが演じているんだけど、元カレが経営するバーガーショップに移民たちを押しつけようとする。彼女の上司も「深入りすると厄介だぞ」なんて言うし。みんなスーダンのことを知らないし、アメリカに来たからには慣れてよね、という対応で、コミカルに描かれています。

でも、ロストボーイズの人柄を知るにつれ、アメリカ人たちが真剣になっていく。この変貌をコメディエンヌのリースが演じているから効くんでしょうね。

大人になったロストボーイズは、実際にスーダンからの難民や少年兵だった人が演じているそうです。もう、役の説得力が違いますよね。実際に経験している訳だから。すごく魅力的で、もう放っておけない! そして、この映画、脇にいたる人すべてが見事に役の責任を果たしている。意地悪なスーパーの店長、リースの元カレ役……。僕も役名がつかない脇役時代、懸命に演じましたけど、本作も脇役の心意気が作品を底上げしている。素敵なコラボレーションを満喫しました。

DATA
2014年/アメリカ
監督:フィリップ・ファラルドー
出演:リース・ウィザースプーン、アーノルド・オーチェン ほか
配給:キノフィルムズ
TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中