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2026.05.04

すべてはライオンズから始まった。ドジャース契約の舞台裏

ドジャースとkanzai、大正製薬とプロゴルファー、MLBとセブン-イレブン――。数々の大型スポンサー契約を単独で実現してきたスポーツエージェント・金子真育。難題大型契約をたった一人で締結してきた、その信頼はいかに築かれたのか。著書​『GRIP MLBやドジャースから全幅の信頼を得た「ザ・エージェント」​』から一部抜粋して紹介する。今回は、日本管材センターとドジャースのパートナーシップ契約の舞台裏②。【その他の記事はこちら】

すべてはライオンズから始まった。ドジャース契約へ続く“野球の力”
ドジャースのロバーツ監督を囲んで(著者提供)。

西武ライオンズとの契約で野球の力を知る

――編集部 「(プロゴルファー)植手(桃子)選手との契約締結後、次はいよいよロサンゼルス・ドジャースとのパートナーシップ契約に向かうわけですが、野球関連では、その前に埼玉西武ライオンズをスポンサードしていますね。それはどうしてですか。先にその話を聞かせてください」

――関根(日本管材センター社長) 「両親が埼玉出身で、私も小学1年から高校卒業まで東村山市に住んでいて、所沢の西武ライオンズ球場が近くにあったため、よく観に行っていたのに、日本管材センターは埼玉県に貢献できていませんでした。埼玉に営業に行くと、何で東京の会社が埼玉に来るんだ、埼玉の業者から買うから来なくていいと言われたものです。両親は埼玉出身なんですと話しても効き目がありませんでした」

「そこで埼玉西武ライオンズをスポンサードすることにしたわけです。父には、そこまですることはないんじゃないかと言われましたが、親戚がみんな喜ぶよ、と話して納得させました。最後は、会社の代表のお前が決めろということになって」

日本管材センターは2016年に埼玉西武ライオンズのオフィシャルスポンサーとなった。所沢市にある本拠地、ベルーナドームのカメラマン席のフェンスに広告看板を掲出。さらに2023年にはキャップ広告スポンサーとなり、チームのキャップの右横に大きく「kanzai」のロゴが入った。ライオンズの試合のテレビ中継では必ず、このロゴが映る。露出効果は計り知れない。

――関根 「これで潮目が大きく変わりました。取引しているお客さんたちから、日本管材センターさん、すごいじゃないか、埼玉にお金を落としてくれているんだね、と盛んに言われるようになったんですから。あのキャップが欲しい、選手のサインボールはもらえないか、チケットを手配してくれないかと大変でした。ベルーナドームでのイベントに招待すると、めちゃくちゃ喜んでくれます」

――編集部 「そういう意味では、野球の力を実感していたわけですね」

――関根 「そうなんです。野球の試合は生中継で放送されていますし、試合後もニュースなどの報道で流れます」

埼玉の取引先の心を一変させた埼玉西武ライオンズとの契約。この愉快なエピソードを打ち明けながら、関根社長の顔がほころんだ。関根社長は埼玉西武ライオンズの今井達也投手とゴルフをともにする仲。この対談が行われた2025年10月、その今井投手がメジャーリーグ挑戦を表明していた。「今井選手が移籍したらどうするんですか」と関根社長に振ると、「ドジャースに行ってくれるといいんですが」と返ってきた。「そうなったら面白い展開ですね」と金子。「他のアメリカの球団に移籍したら、どうします?」という意地悪な質問には「ドジャースやめようか?(笑)」と関根社長。そんなジョークで金子の顔をうかがう。金子に新たなビジネスの可能性が膨らむ?(※この対談は2025年10月17日に行われた。その後、今井投手はヒューストン・アストロズへ移籍が決まった。関根社長は今井投手を応援したいという想いからヒューストン・アストロズとのパートナーシップの可能性を調べてほしいという依頼を金子にした。2026年の2月上旬に金子は、ヒューストン・アストロズの担当者とすぐにコンタクを取り、交渉を始めた。日本管材センターがドジャースとパートナーシップ契約を結んでいるという前例もあり、交渉はスムーズに進み、球場内での固定看板や今井選手のボブルヘッドデーを実施するなどの内容で、2026年の3月上旬に契約をまとめることができた)

エンゼルスとの契約を探る

――編集部 「ここでドジャースとの話に戻します。契約に進む発端は何だったのですか」

――関根 「ライオンズのキャップスポンサーまでしたので、日本のプロ野球でこれ以上の効果を望むのは難しいと感じました。とはいっても、野球が大好きなので、よく観戦していました。大谷翔平選手がアメリカに渡ってからはロサンゼルス・エンゼルスの試合も現地で13回、観ています」

「ほかにニューヨーク・ヤンキース、サンフランシスコ・ジャイアンツ、ボストン・レッドソックスも観に行きました。そんなアメリカでの観戦談を交えながら金子くんと食事をしているときに、ぼそっと言ってみたんです。メジャーリーグは難しいと思うけど、契約できないかなあと」

――編集部 「ぼそっとですか。新たな展開ですね。それを聞いて、金子さんは?」

――金子 「何より驚きました。そして大至急、調べたうえで、ぜひご提案させてくださいと言って、さっそく自社のネットワークで最大限のリサーチを進めました。今思うと夢のようなお話をいただいたと感じます」

――関根 「でも、結局、エンゼルスは難しいという回答だったよね」

――金子 「当時大谷選手がプレーしていたので日本企業がたくさんエンゼルスをスポンサードしていて、広告掲出枠に空きがない状態でした。ウェイティングリストに7社か8社が載っていて、入る隙がありませんでした」

大谷移籍の噂がチャンス到来を告げる

――関根 「そういうやりとりの中で、大谷選手がFA(フリーエージェント)になるね、移籍したらチャンスがあるかもしれない、じゃあ、そのチャンスを探ろうかという話になりました」

――金子 「移籍先として噂されている一つがドジャースでした」

―― 関根 「あの頃、MLB評論家のAKI猪瀬さんがテレビで、大谷は70%の確率でエンゼルスに残ると話していたんですよ。当社にチャンスが訪れるかどうかで、神経がピリピリしているときに、いい加減なことを言うんだから(笑)」

「私は、移籍したらまた、身体に負担の掛かる投打の二刀流に挑む大谷選手にとって、温暖で過ごしやすい気候のチームが好ましいと考えていました。だからアメリカ東海岸のチームには行かない。噂されていたトロント・ブルージェイズなんて絶対ない。ドジャースしかないと予想していました。ロサンゼルス近郊には日本人が生活しやすい環境が整っていますから」

――編集部 「そこまで考えを巡らせていたんですね。行方が気になってハラハラしますよね」

複数のアメリカメディアが大谷選手の移籍先候補としてドジャース、ブルージェイズのほかにシカゴ・カブス、サンフランシスコ・ジャイアンツなどを挙げていた。ドジャースとの契約発表直前には「大谷がトロント行きの航空機に搭乗した」という怪情報が流れ、騒然とした。大谷擁するドジャースは2025年のワールドシリーズで2連覇をかけてそのブルージェイズと対戦した。

TEXT=金子真育

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