北海道の大地の恵みが織りなす自然に身を置き、動物・植物に耳を澄ませば、眠っている野性的感覚が呼び起こされるはず。大人こそ嗜むべき圧倒的な遊びから、今回は「ホースセール」をご紹介。【特集 北海道LOVE!】
ホースセールに情熱を燃やす
競走馬の育成を許されている牧場の約75%は北海道にあり、馬を競りにかける「ホースセール」が、毎年5回(内1回は札幌開催)、日高にある北海道市場で行われている。ここは未来のGI馬を発掘しに、日本中から馬に情熱を燃やす人々、馬主が毎回多く訪れる、いわば戦いの場ともいえる場所だ。
競りに参加する馬主は、馬の血統を事前に確かめつつ、実際に会場を闊歩する馬の姿を見て、ビットを決める。1頭で長くても競りは2分間ほど、その短い時間で550万から、時には7,000万円以上の値で馬が落札されていく。
会場はあくまで厳(おごそ)かで、静かな熱狂に満ちている。馬を育てあげた牧場の人々が見守るなか、競りは進んでいく。馬主の多くは、自身の馬の調教師、そして獣医とともに参加し、どのような馬が強く、健康に育つのか、自らのチームで話し合いながら、ビットを決める。
時には競り負けることもある、時には、「なぜあの馬主がこの馬を!?」と、他の馬主の策に混乱することもある。その様子はまるで、戦を勝ち抜いてきた武将たちが、一堂に会し戦術をさぐりあっているかのよう。まさに知的興奮に溢れた場だ。
そもそも馬主には、厳正な審査を通過した者しかなれない。この競りに参加を許されるのは、資産と品格、そして馬への情熱を持ち合わせた者だけ。ここは猛者たちが集まり、出会う場でもあるのだ。ただし競りに参加しない場合でも、北海道市場に訪れることは可能。歴戦の競走馬たちが、どこで余生を過ごしているのかなどの情報もここには保管されているので、馬とレースを愛する人なら、楽しめるはずだ。
最強の馬を手に入れるべく、北海道市場で静かな戦いに参加する。北海道を訪れる理由のひとつに、ホースセールを加えてみるのもいいだろう。
ホースセール@北海道市場
市場開催の15日前までに購買登録手続きを済ませて参加が可能。新規で馬主として登録する場合は、事前に審査機関の審査を通過している必要がある(所得金額1,700万円以上、継続的に保有する資産額が7,500万円以上であることなど、条件は多々ある)。
▶︎ 競走馬ふるさと案内所 uma-furusato.com
2023年度開催日程
8月21日(月)~25日(金)|サマーセール(サラブレッド1歳)
9月19日(火)~21日(木)|セプテンバーセール(サラブレッド1歳)
10月16日(月)~17日(火)|オータムセール(サラブレッド1歳)
この記事はGOETHE2023年9月号「総力特集:北海道LOVE!」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら