2022年も仕事人たちの趣味部屋を数々と取材。好きなことに没頭できる3つのこだわり空間をまとめて紹介する。※GOETHE2022年12月号掲載記事を再編。
1.フランフラン創業者の創作意欲を高めてくれるキッチン
料理に専念できる無駄のないキッチンが欲しかった
理想のキッチンとは何か? インテリアのフランフラン創業者で、現在はホテル、アート、ヴィンテージカーなどの分野で新しいビジネスを創出する髙島郁夫氏はこう答えた。
「素晴らしいキッチンとは、料理をつくる意欲が湧いてくるキッチンです。家庭のキッチンって初めはきれいにしていても徐々に乱れが出てきます。引きだしに便利グッズがごちゃごちゃと入っていたり、冷蔵庫に緊急時の連絡先が貼ってあったり。それでは料理に集中できません。僕は料理を一番身近な楽しいクリエイティヴだと考えている。創造性を高めてくれる究極のキッチンが欲しくなったんです」
髙島氏は広尾に見つけたヴィンテージマンションをキッチン部屋に改装。2ゾーンのうち、片方にはキッチンと来客をもてなすためのダイニングテーブルを置き、もう片方には食後にくつろぐためのサロンスペースを設置。キッチン部屋には日当たりのいいテラスも備えられている。
「部屋には僕が好きな現代アーティストの作品を飾りました。今は水戸部七絵さん、佐藤翠(みどり)さん、飯田美穂さんなど日本の若手作家の作品を飾っています。刺激的で色彩に溢れた作品は、料理の作り手の気分を上げてくれるし、会話のきっかけにもなってくれます」
2.レイザーラモンRGの激レアスニーカーコレクション&収納部屋
約400足が収納されるこの部屋で、毎朝2時間かけてセレクト
赤、青、黒……。色鮮やかなスニーカーのボックスが積まれた部屋で自撮りするレイザーラモンRG。
「2021年にスニーカー部屋をつくるために引っ越しをしました。400足くらいありますけれど、以前は寝室に積んでいたんですよ。週に4足ペースで買っていったら、すぐに天井まで届いてしまいました。湿気で箱がゆがむと土台が傾き、雪崩(なだれ)のように崩れます。地震で崩れてドアがふさがり、外へ出られなくなったこともありました」
スニーカーのボックスはカラーを意識して積んでいる。
「ナイキ、アディダス……。インスタ映えするように、メーカーごとに揃えて積みます。スニーカーショップみたいでカッコいいでしょ? インテリアというか、アートを意識しています」
3.写真家・平間至の進化を続けるオーディオ部屋
音楽でインプットし、写真でアウトプットする
「ある時ピンと閃くんです、あのケーブルをつないだら、いい音になるんじゃないかと。もう降りてくる感覚ですよ」
写真家・平間至氏の自宅、音響機器とレコードがずらっと並べられたオーディオ部屋で平間氏は微笑む。25年前からオーディオ機器を集め始め、今ではケーブルを自作し理想の音を追い求めるという、もはやプロフェッショナルの域にまで到達。
「ただお金を出して機材を買っても自分の好きな音にはなりません。ケーブルや電源タップひとつでも音は変わりますから、それぞれの特性を頭に入れセッティングを常に更新していく。今朝も電源タップを変えてみました。なかなかいい音になりましたよ。1日にほんの少しでもよくなれば、20年かけたら大きな変化になりますし、オーディオのセッティングが進化すると自分が成長するような感覚があります」
1970年代後半からパンクにニューウェーブ、ポストパンクと聴き続けてきたが、ここ最近60年代のサイケデリックロックに目覚めた。なじみのレコード店に週2回通い店主が平間氏のために選んだレコードを視聴、気に入ったものを毎回入手しているという。