35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第173回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
日本人選手の英語インタビューが刺激的!
サッカーワールドカップ、試合だけではなく、日本人選手たちが英語でインタビューに答えているのを見るのも、実はとても刺激的です。
ドイツ戦のあと、吉田麻也選手が勝利について聞かれて、こう答えているのがとても印象的でした。
Massive win
マッシブウィン。
Massiveとは、量がとても多い、サイズがとても大きいといった意味で使われ、「大規模な」と訳されることが多い形容詞です。吉田選手は「この勝利は、とても大きなものだ」という意味で使っていました。全体のセンテンスはこういうものです。
Big big win, Massive win. But just one win, so still we have to make good games to get to more games. It’s still tough so we need to get a good recovery and be prepared well.
「大きな、大きな、本当に大きな勝利だ。けれどたった1勝だ。だからもっと戦うためには、まだいいゲームをしないといけない。それは大変なことで、だからきちんとリカバリーし、備えたい」
最初にBig winと言ってからMassive winと言っているので、強調しているかたちになります。ちなみに私もイギリスにいた頃、このMassiveはわりと日常でよく耳にしていました。
I went to Emily’s house yesterday. Did you know she has a massive house?
「昨日エミリーの家に行ったんだけど、あの子、すんごいでかい家持っているって知ってた?」
とか、若くして亡くなった国民的歌手の説明をする際に、
She died after taking a massive overdose of drugs.
「ドラッグの過剰摂取のあと、彼女は亡くなった」
とか、やはりサイズや量が大規模な時に使っていた印象でした。
それを「勝利」を形容するのに使うのは、なんだかおしゃれでいいなぁなんて思ってしまいました。
場合によっては、
I had a massive argument with her. (彼女とひどい口論をしてしまった)
といったようなネガティブなことを強調する時にも使うそうです。
また、最近だと、屋外で夜間楽しむパーティー、レイヴパーティのこともMassiveと言ったりするようなので、文脈によっては注意が必要かもしれません。
一方でASローマのジョゼ・モウリーニョ監督も日本対ドイツ戦のあとにインタビューに答えていて、この時の英語もなんだかいいなぁと思いました。
I have to tell the truth. The television was on but I was sleeping.
I was in bed waiting to watch the game but I collapsed. I just fell asleep.
「真実を言わないとなりません。テレビはついてましたが、寝てました。
ベッドでゲームを見るために待ってましたが、ダメでした。寝ちゃいました」
英語ネイティブではないため、非常にわかりやすい単語を選んでくれて、ゆっくり話してくれるので英語力0.5でもとても聞きやすいありがたいVTRでした。Collapseという単語は、「崩壊」とか「倒れ込む」というふうに覚えていましたが、「我慢できず寝てしまった」状態を表すのに使うのにもぴったりな単語だなぁと、モウリーニョ監督のコメントを聞いて思いました。
まだまだ続くワールドカップ、世界の選手や監督のコメントを、なるべく翻訳ではなくその人の言葉で聞くことでもっと楽しめるかもしれません。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。