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2022.10.06

【マネー対談】IPO請負人・丸尾浩一×ABCash児玉隆洋「起業家に必要なのは”やりきり力”」前編

お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営し、新刊『未来のお金の稼ぎ方』を出版した起業家、児玉隆洋氏が「未来のお金」についてさまざまな分野の賢人たちに問う対談シリーズ。対話から見える、お金、経営、事業で成長するために持つべき視点とは――。

マネー対談7

金融リテラシーが人生に差を生む時代に

500社以上の企業を上場させ、特にIT業界の経営者で知らぬ者はいないとされる元大和証券エグゼクティブアドバイザーで、Major7th代表取締役の丸尾浩一氏。スタートアップから、超大手企業まで「経営者」を知り尽くすIPO(新規上場株式)のプロに、金融教育の起業家がこれから成長していくために持つべきものを尋ねた。

児玉 丸尾さんに初めてお会いしたのは3年前。まだ創業してまもなく、社員も6人しかいないときだったにもかかわらず、オフィスまで足を運んでくださって感激しました。当時からとてもフランクに、いろんなお話を聞かせていただきましたが、なかでも励みになったのが「金融教育はドメインとして間違っていない」とおっしゃっていただけたことです。あの頃はまだ金融教育についての理解がほとんどなく、周囲もかなり否定的な意見ばかりだったので。

丸尾 実践的な金融教育は必ず求められると思っていました。日本人の金融教育は世界と比べてだいぶ遅れています。ようやく高校で金融教育が必修化されましたが、そもそも投資に対するイメージが悪かった。私は大和証券出身ですが、昔はそれこそ「株なんて悪」という目で見られていましたしね。それが今は、就活でも人気企業になっている背景には、お金に対する興味があると思います。今の若い人、特に女性はお金を増やすことに積極的だし、証券会社を含め投資のイメージも変わった。実践的な金融教育があれば、前のめりに学ぶはずですから。

児玉 おかげさまで、だいぶ風向きが変わってきました。この前も、金融庁から金融教育を国家戦略として掲げると発表がありましたが、お金について学ぶことが社会的に当たり前になってきている気がします。それこそ3年前には想像もできませんでしたが。

マネー対談8

KOICHI MARUO
大阪府生まれ。新卒で大和証券に入社し、事業法人第七部長、事業法人担当などを経て2012年より常務執行役員、2015年より専務取締役を歴任。2021年4月より同社初となるエグゼクティブアドバイザーに就任。大和証券在籍中、500社以上のIPOを手掛ける。2021年5月、Major7thを設立し、代表取締役に就任。現在に至る。

丸尾 英語と同じで、金融教育も学べる環境に身をおけるかが重要。そういう意味で、学校で学べる今の高校生は非常に恵まれています。金融リテラシーが上がることで、これから出てくる学生起業家もよりレベルアップしてくるでしょう。起業家だけでなく、金融の知識はあらゆる業界、立場で必要です。英語ができる、できないで選択肢が変わるように、今後は金融のリテラシーの差が、キャリアにも影響を与える時代になっていくと思っています。

上場は誰でもできる。ただ、やりきれるかどうかだけ

児玉 もうひとつ3年前におっしゃっていただいたことで胸に刻んでいたのが、「上場は入学。上場してからの成長が大事だ」と言ってくださった言葉です。これは今、自分の大事な指針になりました。

丸尾 もちろん上場は素晴らしいことですが、そこからが本当の勝負ですから。というのも、上場すると満足して「どっこいしょ」と座っちゃう人が多いんです。区切りとして祝うのは悪くありませんが、半年のんびりしていたら世の中は変わってしまう。リターンを出して株主に還元していくためには、「おめでとう」が続いている間も手を休めるべきじゃない。特にスタートアップはどうしても上場ゴールのマインドになりやすいので、そういう言葉をかけたのだと思います。

児玉 ありがとうございます。丸尾さんから見て、上場後も成長する経営者にはどのような共通点があるのでしょうか。

丸尾 これはもう、「やりきり力」ですね。今の時代、起業して真剣にビジネスに取り組めば誰でも上場までいくポテンシャルはあるんです。でも、実際できるのは一握り。その差を分けるのは、何があってもやりきれるかどうか。これに尽きます。

マネー対談8

TAKAHIRO KODAMA
ABCash Technologies代表取締役社長。2007年、サイバーエージェントに新卒入社し、AmebaBlog事業部長、AbemaTV局長などを歴任。2018年、日本の金融教育の遅れ・お金の情報の非対称性に大きな課題を感じ、ABCash Technologiesを設立。趣味はサーフィン。

児玉 なるほど。やりきり力とは具体的にどのような力ですか?

丸尾 言い換えるなら、挑戦を諦めず、修羅場に耐える力です。これがないと上場も難しいし、上場できたとしてもその後が続きません。上場前も上場後も、経営者にはリスクが常に降ってくる。それらをひとつずつ解決することで経験として積み上がり、経営者として磨かれていくのですが、疲れ果てて降りる人もいます。それが悪いわけではありません。ただ、そのぐらい十字架を背負う覚悟がいる。

児玉 成功している経営者は、どうやってそういう力を身につけているのでしょうか。

丸尾 ある意味、訓練です。持って生まれた気質もあると思いますが、大きく成功している人ほど、私生活でも限界に挑戦して「やりきる」ことを自分に課す人が少なくない。私が知っているなかでも、トライアスロンやウェイトトレーニング、登山に取り組む人は非常に多い。しかも「普通」のレベルじゃ満足しません。

児玉 たしかに、アスリートレベルでマラソンや登山に挑戦する経営者は多いですね。

丸尾 このぐらいはできなきゃダメだ、成長が止まったら負けなんだと、何歳になっても自分を厳しく追い込んで乗り越えることを繰り返す。こういう努力が、起業家スピリッツを強くし、強靭な「やりきり力」を作るのだなと思うことが、多々あります。

後編に続く(10月7日公開予定)

 

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TEXT=大上ミカ(カクワーズ)

PHOTOGRAPH=太田隆生

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