読者に薦めたいとっておきの1冊を、京大卒のオタク女子・三宅香帆が毎月ピックアップ! 今回は、『新しい英語力の教室』をご紹介。もっとも効率的な英語学習とは?
人によって目指すべき英語力は違う!
英語を話せるようになりたいが、勉強がなかなか習慣化しない……。そんな悩みを持つビジネスパーソンに朗報。これまでの英語学習本とはひと味もふた味も違う、画期的な本が誕生した。
本書は、英語のフレーズや文法解説などを集めたテクニック集ではなく、コミュニケーションツールとしての英語を使いこなすための考え方やプロセスを示す内容になっている。著者は、天皇皇后両陛下やダライ・ラマ、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカムといった錚々(そうそう)たる人々の通訳を経験してきた、同時通訳者の田中慶子さん。
長年英語通訳の最前線で活躍してきた田中さんが主張するのは、勉強を始める前にまず「自分にとっての英語ができることの定義」について考えてみること。自分に本当に必要な英語力を把握することが、一番効率的な英語学習につながっていく。それを踏まえたうえで、英語の勉強を習慣化するために必要な仕組みづくりや具体的な方法論について、丁寧に解説してくれる。また、英語に限らず習慣化のコツも学ぶことができるだろう。
今まで英語学習に挫折してきた人にこそ、この本はよきコーチになってくれる。そんな風に感じられた1冊だ。
『新しい英語力の教室 同時通訳者が教える本当に使える英語術』
田中慶子 著/インプレス ¥1,650
Kaho Miyake
1994年高知県生まれ。書評家、作家。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。著書に『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『女の子の謎を解く』等がある。