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2022.08.20

投資詐欺を避けるために大事な金融リテラシーとは。──アフターコロナのお金論

お金とは何か、投資とは何かを考える、連載「アフターコロナのお金論」とは……

makemoney

お金のスキルは攻めだけでなく守りも!

最近、有名芸能人が投資トラブルに巻き込まれてしまったニュースを見て、金融リテラシーを持つことの大切さを再認識した方人多いのではないでしょうか。今回の投資詐欺トラブルも、もしかしたら基礎的な金融リテラシーがあれば回避できたかもしれません。

政府も「貯蓄から投資へ」とスローガンを打ち出しているくらい、貯金だけではなく自分自身で「資産形成」をして将来に備えることが大事な時代です。そしてそれは日本経済の活性化にとっても大事なことですし、経済が活性化すると消費が活性化されて結果給与アップにもつながります。

ただ、こういった有名人の投資詐欺のような事件が起きることで、投資に対する「怖い」「怪しい」というイメージが強まってしまい、投資を始めようとしている人の大きなブレーキとなってしまうのではないかと危惧しています。それは、ひとつの危険運転の自動車事故のニュースをみて「怖い」となり、もう一生自動車の運転はしない、と思うのと同じだからです。もちろんリスクはありますが、過度に恐れすぎると身動きが取れなくなり、それが人生のリスクにもなります。

リスクを知った上で、正しい金融リテラシーを身につけて、資産形成をスタートすること、それが大事です。「投資詐欺になんてあわないから大丈夫」と慢心することでもなく、「投資は危険なので考えることもやめておこう」と思考停止することでもなく、正しい金融リテラシーとお金の相場感を養い、自らの身を自分で守れるようになることです。その前提でいくつか過去の投資詐欺を振り返っていきましょう。

例えば、以前もご紹介したポンジ・スキーム。その詐欺スキームを利用したマドフ事件は世界的に有名な投資詐欺事件です。

それではお金のトレーニング。上述のポンジ・スキームを利用した投資詐欺、マドフ事件の被害総額はいくらだったでしょうか?

答えは約7兆円です。被害者には映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏、メジャーリーグ球団のオーナー、日本でも有名な証券会社や銀行など、米国内外の著名投資家や金融機関が名を連ね、マドフ・ファンドへの投資家数は延べ約4万人、130カ国にのぼりました。

マドフ氏は金融業界では非常に有名人でしたが、そういう人が運営しているからといって、それだけで信頼できるわけではありません。また、日本でも過去にニュースになった投資詐欺事件があります。

疑似通貨、円天を使った健康寝具販売会社L&Gによる詐欺事件では、組織犯罪処罰法違反が問われました。L&Gは1000億円以上を集めたといわれ、「年36%の利息と元本を保証する」と一部で説明していたことも明らかになっています。

投資での利回りの基礎的金融リテラシーをもっていれば、被害は避けられたのかもしれません。正しい相場観を持っていれば異常に高い利回りは、ファーストインプレッションで違和感を覚えるからです。もしまだ相場がわからないのであれば、「相場がわからないものには手を出さない」ことを徹底することもおすすめです。その場合はまずは相場を中立的な立ち位置の人から学ぶといいでしょう。

また、1985年。3万人から2000億円以上を集め、当時戦後最大の詐欺被害と言われたのが、豊田商事事件です。金の地金を用いた悪徳商法(現物まがい商法)で、当時はまだインターネットなどがなかったため、高齢者などへの警戒を促すことができず日本全国の金融商品に詳しくない高齢者中心に被害が広がりました。

円天事件も豊田商事事件も冷静な時に見ると、自分は大丈夫と思う人も多いのではないでしょうか。それでも被害総額が物語っているとおり相場感や金融リテラシーがないと、いつの間にか詐欺にあっていることもあるのです。今のような個の時代では、自分から知識を増やし、相場感を養うことが身を守る上でもとても重要になってくるのです。

そして、世の中には詐欺に限らず、さまざまなお金の情報が溢れています。それは必ずしも中立的な情報ではなく、金融商品を売り込むための「誘導情報」の場合もあるので注意が必要です。

溢れる情報を取捨選択するためには、まずは情報をシャワーのように浴びること、その情報が中立的かどうか見極めること、そして相場感やスキルが身についたら少しでも資産形成を実践してみることが重要になります。

そして「中立的な情報」を見抜くには、表面的な言葉に流されず、その人の行動をまず見ること。その裏にはどんな動機があるのか? どうなればその人は満足するのかを見ることです。お金の情報への触れ方をアップデートすることで、確実に中立的な情報を見抜く目は磨かれていきます。

お金の情報を見る目が磨かれれば投資詐欺事件に巻き込まれる可能性も低くなるでしょう。お金のスキルはアップサイドを得るためだけのものではありません。ダウンサイドリスクを回避することも大事なお金のスキルです。攻めだけではなく守りのスキルを身につけることも忘れてはいけません。

例えて言うなら、守りのスキルを身につけないのは、ガードの練習をせずに、楽しいパンチの練習だけして、ボクシングの試合のリングに上がるようなものです。ノックアウトされる可能性が高いことは容易に想像がつくでしょう。

お金のスキルはバランスよく総合的に身につけることで、詐欺などの事故に遭わずに、正しく増やしていくことができます。「お金のスキルは投資のスキルだ!」と意気込んでいる友人がもしいたら、ぜひ守りのスキルの大切さも教えてあげてください。

連載「アフターコロナのお金論」とは……
お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。

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Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。著書に『未来のお金の稼ぎ方 お金が増えれば人生は変わる』がある。

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