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2022.06.20

消費・投資・仕事でも重要な、二兎を追う"ANDの才能"

新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載「アフターコロナのお金論」では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。【過去の連載記事】

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新しい資本主義から考えるANDの才能

前回の連載でも触れた岸田首相が掲げる経済政策「新しい資本主義」。最近ニュースにもよく取り上げられることが多くなりました。この構想の実行計画は2022年6月に決まり、岸田首相は自ら率いる岸田派の議員と5年前から練り続けた構想を結実させました。また、「安心して日本に投資をしてほしい。インベスト・イン・キシダ」と英国・ロンドンの金融街シティでの講演で世界中に呼びかけたのです。

お金のトレーニングスタジオ ABCashの新しい生徒さんにも、「ニュースで資産所得倍増をみました」「円安が止まらないニュースをみて不安です」という、お金について今までは興味関心の少なかった人が興味を持つようになっていると実感しています。

また、少しおさらいをしておきますと新しい資本主義とは、「人への投資」「科学技術分野への重点投資」「スタートアップの起業加速」「グリーントランスフォーメーション(GX)への投資」の4つの柱で構成されています。

さらに、岸田首相は「課題解決と新たなマーケット創出による成長の二兎を追う」と説明していて、就任前の自民党総裁選から訴えてきました。

この二兎を追うという考え方。二兎を追う者は一兎をも得ず、のようにネガティブに捉えられたりもすることもありますが、ビジネスシーンではまた違ってきます。

ビジネス書として世界的なベストセラーとなった「ビジョナリー・カンパニー」という名著がありますが、そこにも時代を超えて、100年、200年と存続し成長する偉大な企業の共通点として、「ANDの才能」があることをあげています。

AとBという選択肢があった場合、ビジネスシーンではそのどちらかではなく両方をどう得ようか、どう両立させようかと考える人こそが優秀であり、そういう企業こそが生き残っていくというのです。偉大な企業であるビジョナリー・カンパニーは、ORの抑圧に決して屈することはないのです。

このANDの才能は、ビジネスシーンはもちろんですが、お金についても同じことが言えます。

例えば投資です。投資は企業の株を購入して値上がりで利益を得ることだけが目的ではありません。その企業やサービスがもっと世の中に浸透してほしい、それを資金提供といういう形で手助けしたいという応援の気持ちこそが投資の本質なのです。なので、投資も応援の気持ちと利益を得ることの両立させることがANDの才能です。

特にヨーロッパではこの考え方が浸透しており、例えば環境保護活動に積極的だったり、SDGsの推進に貢献するサービスだったりすると投資マネーが集まります。その反面、儲かっていても地球環境を壊したりするようなサービスを提供する企業には資金が集まりにくくなっています。

それではお金のトレーニング。従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを、何投資というでしょうか?

答えは、ESG投資。企業も社会的意義が当たり前に求められる時代になりました。

フィンテックサービスで、「クラウドファンディング」という仕組みがあります。その仕組みでイメージすると投資の本質が分かりやすいと思います。「こういう商品やサービスがあったら世の中にとっていいのに」「だから自分がそれを作りたい」「でも資金がない」という人に対して、個人が資金を直接提供してその活動を応援するのです。その活動が成功すると、サービス利用が優遇されたり、製品が優先的に割安で購入できたりするメリットがあります。

また、お金を使う、つまり消費についてもANDの才能は発揮されます。

海外でエシカル消費、という考え方があるのをご存知でしょうか? エシカルとは、直訳では「倫理的な」という意味です。その「エシカル」と「消費」を合わせた「エシカル消費」というのは、環境や人権に対して十分に配慮された商品やサービスを選択して買い求めることをいいます。これまで多くの消費者は、自分が使う商品やサービスの裏側にどんな背景があるのか? どんな人がどのような場所でつくっているのか? あまり関心を示してこなかったのではないでしょうか。

ところが近年海外では、その商品をつくるために環境を破壊していたり、絶滅しそうな動植物が犠牲になっていたりしていることがわかると、その商品を買わないという選択をする消費者が増えてきているのです。

購入するだけで寄付ができる商品もミレニアル世代を中心に人気です。地球環境に貢献しながら、自分の欲しいものを購入する、これを両立させるANDの才能が、エシカル消費なのです。

金融教育サービスを提供するABCashも「大義と算盤」という大きな経営方針を掲げています。世の中のためになる大義のあることで、ビジネスを成立させる。ANDの才能を追求していく方針です。

毎日の消費、投資、仕事の中でもANDの才能が発揮されているところがどこにあるのか。もっと発揮すべきところはないのだろうか。そう考えてみると、よりお金の本質も見えてきて、正しいお金のスキルが身につくと思います。

お金のスキルは自分自身も、世界もより良くしていけるこれからの時代に不可欠なスキルなのです。

Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。

ABCashについて

【連載「アフターコロナのお金論」】

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