これまで650名を超えるパーソナル・トレーナーを世に輩出し、プロのアスリートやモデル、芸能人など、幅広い業界から支持を得ているパーソナルトレーナーの元祖、ケビン山崎。現在も「毎日に活気をもたらすカラダへ 最短で最大の結果を出す」を理念に、新しいフィットネス文化を世に広めている“筋肉伝道師”の筋肉論を、新刊『MUSCLE BIBLE 筋肉伝道師の最終解答』を抜粋、一部編集して紹介する。
筋肉があれば、笑顔が輝く
実年齢よりも若く見える人は、表情が豊かだ。
そこには、筋肉量も関係している。身体中の大きな筋肉が増えると、小さな筋肉も刺激されて、顔の表情のバリエーションも増える。
まず、目の動きが活発になる。明るい人、前向きな人、笑顔が魅力的な人は、例外なく目が輝いている。まぶたが活発に動くからだ。
やや専門的な話になるが、まぶたの開閉は主に次の4つの筋肉で行っている。
① 眼瞼挙筋(がんけんきょきん)
まぶたの後ろ側にある。まぶたを上げるときの主動筋肉。
② ミュラー筋
眼瞼挙筋の裏にある筋肉。眼瞼挙筋を補助している。怒ったとき、驚愕(きょうがく)したとき、まぶしさに目を細めるときなど、無意識に目を開閉するときに働く。身体全体とつながっていて、目が疲れると、肩が凝ったり、腰が痛くなったりするのは、ミュラー筋の作用。
③ 前頭筋(ぜんとうきん)
眉毛のあたりから上に向いて伸びている筋肉。眉毛を上げたり、目を見開いたり、眉間にしわを寄せるときに働く。
④ 眼輪筋(がんりんきん)
まぶたを囲むような、円状の筋肉。眼輪筋が収縮するとまぶたが閉じる。
このようなまぶたの開閉に使う筋肉を直接鍛えるのは難しい。しかし、スクワットやベンチプレスで、大腿筋、大殿筋、大胸筋のような大きい筋肉に負荷をかけると、まぶたの筋肉も刺激される。
“表情筋”という言葉を耳にしたことはあるだろうか。
顔には30種類を超える筋肉があり、たがいに作用し合って表情をつくっている。これが表情筋だ。
主な表情筋は次の通り。
① 眼輪筋
目の周囲にある筋肉。まぶたを開閉したり、涙を集めたりする機能を担っている。瞼板前(けんばんまえ)、隔膜前、眼窩部(がんかぶ)に分かれていて、複雑に連携している。意識的にまぶたを開閉するときと、無意識のときとでは、それぞれの役割が微妙に異なる。
② 頬筋(きょうきん)
上顎(うわあご)、下顎の関節から口角へ向かって伸びる筋肉。この筋肉が衰えると、頬がたるんだり、口角が下がったりして、年老いて見えるようになる。
③ 前頭筋
上記参照。
④ 上唇挙筋(じょうしんきょきん)
両目の下部から口にかけて伸びる筋肉。鼻翼や上唇を引き上げる。
⑤ 大頬骨筋(だいきょうこつきん)
両目の外側から口の両端に伸びる筋肉。口角を外側に引き上げる。
⑥ 咬筋(こうきん)
口の両側、頬骨のあたりで上顎と下顎をつないでいる。噛む筋肉。
⑦ 口輪筋(こうりんきん)
口の周囲にある筋肉。口元の表情をつくっている。衰えると、口まわりにしまりがなくなったり、たるんでしわができたりする。
⑧ 笑筋(しょうきん)
口角から耳の下のあたりにある。えくぼをつくる筋肉。
⑨ 頤筋(おとがいきん)
口から顎に伸びる筋肉。この筋肉が衰えると顎の下の皮膚がたるんで二重顎になってしまう。
これらの筋肉は複雑に動き、作用し合っている。表情筋が発達していると明るく活発に見えて、表情筋が動かないとのっぺりとした能面のような顔になる。
身体の主要な筋肉は骨とつながり、手や足を動かしている。しかし、表情筋は皮膚と連携しているものが多く、顔に微妙な変化を生んでいる。
ほかの筋肉と異なり、表情筋は意識しないと動かさなくなってしまう。動かさなくても、生活する上ではとくに支障がないからだ。一日中表情を変化させていることは多くないので、ほかの筋肉よりも衰えやすい。
人の顔つきは骨格だけで決まるものではない。筋肉を活性化すれば、笑顔が輝く。いつも笑顔でいる人は、それだけで魅力的だ。そこにも、筋肉が深く関係しているのだ。
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