歴史に裏づけられた伝統の技が光る日本の誇り
歴史を経て継がれるものには力が宿る。京友禅とともに呉服の代表格とされる西陣織の源流は、古墳時代にまで遡り、平安時代には綾や錦など豪奢なものが造られたという。
現在では機械織が主流になるなか、熟練職人の手織りで帯をつくるのが、西陣きっての老舗・服部織物だ。「南蛮交易図」を再現した袋帯は見事のひと言。その細密で端正な彩に魅せられる。
一方で、仏教伝来とともにもたらされた珠数もまた、歴史とともに歩んできた仏具。東大寺・正倉院には聖徳太子が愛用した珠数が残る。そんな珠数づくりが根づく京都の神戸珠数店には幻ともいえる血赤珊瑚の珠数が存在する。
高知県沖の深海で百年以上生息した血赤珊瑚を珠にして絹の組み紐でつないだもの。ここまでの大きさの珠が揃うことは今後ないだろうと神戸伸彰社長は言う。いずれも日本が誇る最高峰の逸品である。