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2021.08.08

出会える場、リノベるの新本社

ゲーテは、ここ2年の間に新たに誕生したオフィスを取材。そこから見えてきたのは、最先端のオフィスは単に生産性が高いだけではない。ここに来れば仲間に会え、アイデアが生まれ、クリエイティブな働き方ができる場所であるということ。それは、行かなければいけないではなく、行きたくなるワークプレイスだ。

RENOVERU

通路である「みち」にせり出したデスク。歩いている人と気軽にコミュニケーションが取れる仕掛けだ。

「うち」、「みち」、「まち」に分けた人と交わるための空間づくり

リモートワークの定着で、オフィスを移転・縮小する企業が増える昨今。3ヵ所に分散していたオフィスをひとつに束ねる形で青山・骨董通りに本社を移し、計300坪だった総床面積を2倍以上の730坪に拡大したのが、ワンストップ・リノベーション会社のリノベるだ。建物の契約をしたのは2019年12月。翌春のコロナ禍以降は日々状況が変わり、先の読めないなか、当初の計画を修正しながら、築約50年のビルをリノベーション。地下1階から3階までの4フロアからなる新本社を、’20年11月に始動した。

社長室

開放的な社内にあって、重要な話をするために敢えて緊張感を出す仕様の社長室。入り口で靴を脱ぎ入室する。

新たに働く環境をつくるにあたって、山下智弘社長がコンセプトに掲げたのは“Crossing Field 「その先の暮らし」に出会う場所"。正方形をしたフロアの中心にカフェやライブラリーなどを配置して「まち」とし、その周囲を「うち」として作業スペースに。さらにそれらをつなぐ空間を「みち」とし、このいわば通路に最大のスペースを割いているのが特徴だ。

ミーティングルーム

「みち」に解放されたミーティングルーム。

これについて、山下社長は「作業だけなら自宅でもできる時代だからこそ、社内にみんながクロスする場として『みち』をつくり、そこで偶然に出会い、会話を交わすことで、新たな気づきを得られることを意図した」と話す。そのため「みち」にはいたるところに椅子やハイテーブル、棚などが配置され、立ち止まって話がしやすい仕掛けが施されている。

ミーティングルーム

ミーティングルームは家具や色がさまざま。

また、「うち」のエリアの床は「みち」よりも高く設計されているため、座って作業をしている人と歩いている人の目線の高さが近くなり、互いに目が合い、話しかけやすいという工夫も。

ステージ

右側はイベントなどのステージで、左奥には雑誌や書籍が並ぶ本棚が設置されている。

「弊社の社員の職種は、建物の設計や不動産、金融、ITエンジニアなど30以上にわたります。そのため、例えば、設計担当者とエンジニアが話せば、まったく異なる視点や思考からの知見を得やすいんです」

地下1階

地下1階は、「b1./ビーワン。」と名付けられたモノづくりの原点に立ち返るフロア。試作品もつくれる工房と、ギャラリーを兼ねたスペースで、家具メーカーなどとコラボし、プロダクトができるまでのストーリーを展示する。

クロスするのは山下社長と社員も同様だ。社員が使うロッカーは社長室の目の前に置かれ、トイレは社長室から離れた場所に設置。山下社長が「みち」を歩き、社員と言葉を交わすことで、会社の状態を感じ取ることができるようにもなっている。

植物園

植物園と名付けられたスペースには、立ち止まって話がしやすいように椅子やバーテーブルが置かれている。

移転前に比べて、本社の広さは倍になったが、仕事の状況や気分により、社員は新宿や渋谷などのショールームや自宅での作業も認められている。だからこそオフィスは、人とクロスする場所として最大限の役割を求められたのだ。

 

エントランス

エントランスは内と外がつながるイメージでデザイン。

COMPANY
リノベる

EMPLOYEES
約270名

OFFICE SPACE
4フロア、約2,400㎡

KICK OFF
2020年11月

会社は2010年に設立。コロナ禍のため、オフィスや自宅のリノベーション需要が多く、実績は好調。この新しいオフィスはショールームでもあり、見学希望のオファーが引きをきらない。

TEXT=石川博也

PHOTOGRAPH=高島 慶〈Nacása & Partners〉

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