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2021.05.21

「なぜNFTは世界中で注目を集めるのか」ABCash児玉隆洋

新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。アフターコロナのお金論24回。

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NFTは新たなデジタル経済圏をつくれるか

NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)について、メディアのトップニュースとしてもよく取り上げられるようになりました。NFTはブロックチェーン技術を使っており、所有者の情報や取引履歴を管理することができます。そうすることで、容易に複製することができたデジタルコンテンツを「世界に一つだけ」にすることができるようになったのです。NFTの取引は2017年頃から広がりをみせ、アート、音楽、ゲーム、映像からtwitterの投稿まで、さまざまなものをNFT化することができます。

これからますますデジタル資産が、NFT化することで信頼性があるものとして取引されていく可能性が高くなっているのです。

それでは、お金のトレーニング。Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏が2006年3月21日に投稿した初ツイートが、2021年3月にNFTとしてオークションに出品されました。落札価格はいくらいだったでしょうか?

答えは、291万ドル(約3億円)にもなります。

落札したのはマレーシアのIT企業経営者。落札した後のTwitterに「みんな何年もあとに、このツイートの真の価値に気が付くだろう。それはモナリザの絵のようである」と書き込み話題になりました。また、販売したジャック・ドーシー氏はその競売で得た利益を、アフリカで貧困支援などを行う団体に寄付しました。

また、驚異的な取引のニュースとして、Beepleとして知られるアーティストが、クリスティーズ・オークションハウスでNFT化した「Everydays.The First 5000 Days」を売却しました。Beepleの作品は入札額は100ドルから始まり、2週間にわたりオンラインで出品されました。それを購入したのは、世界最大のNFTファンドであるMetapurseの創設者であるメタコバン氏です。

お金のトレーニング。その落札価格はいくらでしょうか?

答えは6,900万ドル(約75億円)。NFTとしては過去最高額である上に、彼らが入札を開始したのはオークション終了時刻の5分前。そのとき2000万ドル未満だった価格は一気に6000万ドル超に跳ね上がります。オークション終了時刻のわずか5分間で、ここまで価格が上がったのは誰も想像できなかったことでしょう。

さらに、これは1766年に創業したオークションハウスとして老舗であるクリスティーズオークションハウスが、デジタルアートの出品をはじめたという点でも大変注目されています。

また、その他にもNFTの市場を盛り上げているのは「NBA Top Shot」。ブロックチェーンを活用し、ダッパーラボが開発したデジタルゲームカードです。ユーザーはNBA選手たちの名プレイシーンや歴史的なシュートシーンをカードで購入したり、売買したりする事ができるのです。ファンと選手を近づける新たなマネタイズ方法となっています。

この会社はマイケル・ジョーダンをはじめとするNBA選手や本田圭佑氏のDreamers Venter Capitalから、3億500万ドル(約335億円)もの資金調達を実施したことでも話題になりました。

日本のゲーム業界をみると、「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエストシリーズ」で知られるスクウェア・エニックスが、ブロックチェーンアプリ開発企業doublejump.tokyoと組み、ブロックチェーン技術を活用したNFTの開発を始めると発表しました。

他にも、暗号資産事業で実績のあるGMOインターネットグループはNFTを活用した事業へ参入を決定。希少性が証明されたアートや音楽作品などの流通プラットフォームを数ヵ月以内に構築することを目指すことを表明しています。

このように企業の参入も相次ぎ盛り上がっているNFT市場ですが、反面、過熱感が懸念されています。まだまだ規制が未整備の部分も多く、投機的な側面もあるのです。

今後、NFTを活用したビジネス展開として、ブロックチェーンを活用することで代替不可能であるという特徴を生かし、身分証明が必要な分野、著作権・アートの分野で、より実用化が進んでいくと思います。

新たに登場したNFT市場。NFTは、今までのお金の価値やものの価値を変えてしまうのか――。

テクノロジーによりお金の仕組みが劇的に変化してる現在、これからのお金のことを考えるにはテクノロジーを無視することができない時代へと突入しているのです。

Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。

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