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2021.04.20

「アメリカを中心に広がるFIRE運動とは?」ABCash児玉隆洋

新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。アフターコロナのお金論22回。

お金

自分自身の人生の価値を明確にする

アメリカのミレニアル世代を中心に広がりをみせているFIRE運動、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

FIREとは、Financial Independence , Retire Earlyのことで、経済的自立を手に入れることで早期リタイヤし、お金に束縛されることなく、自分が望む活動をしたり夢の実現のために挑戦したりといった、人生の選択肢を広げる活動のことです。アメリカでムーブメントとなりつつあるFIRE運動ですが、この考え方は日本のビジネスパーソンにも徐々に普及してきています。

それではお金のトレーニング。FIREですが、達成するには2つの条件が必要と言われています。まず一つめの達成条件は、貯蓄額です。日々の生活費の「何年分」を貯蓄できるとクリアとなるでしょうか?

答えは、25年分といわれています。難易度の高い貯蓄額ですので、アメリカのFIRE運動に参加しているビジネスパーソンも、仕事終わりに集まり、ファイナンシャルリテラシーについて勉強したりしています。またアメリカでも金融版のジムが誕生、「ファイナンシャル・ジム」というサービスです。メリルリンチでファイナンシャルアドバイザーとして働いていたシャノン・マクレー氏が創業しています。

では続けてお金のトレーニング。FIREの二つめの達成条件、生活費を投資元本の「何%」におさめるとクリアとなるでしょうか?

答えは4%。これは4%ルールと呼ばれていて、FIRE運動をしている人にとっては有名はルールです。毎年生活費を投資元本の4%におさめることができれば、運用益だけで生活していくことができるという考え方で、アメリカ トリニティ大学が研究した金融理論も参考にしています。

FIRE運動がアメリカで広がっている背景には、アメリカのビジネス環境も影響しています。まずアメリカは終身雇用ではないので人生で何度も会社を変える必要があり、そこにストレスを感じている若者も多いのです。さらにアメリカのビジネス環境は、日本とは比較にならないほどの競争環境。常に成果をあげることが求められるので、常に自分のスキルもアップをしていかないと競争に取り残されるというハードな環境です。そういう超競争環境に対して嫌悪感を持った若いビシネスパーソンが増えたことで、FIRE運動も加速されているのです。

人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものであると仮定し、人間の欲求を5段階に理論化した心理学者はアブラハム・マズロー氏。彼は人間には5段階のピラミッド階層の欲求があるという「マズローの欲求5段階説」を提唱しました。

第1段階は生理的欲求。つまり食欲などの生きていくために必要な、基本的で本能的な欲求です。第2段階は安全欲求。安心安全な暮らしへの欲求です。第3段階は社会的欲求。友人や家庭や会社から受け入れられたい欲求で、この欲求が満たされない状態が続くと孤独感や社会的不安を感じやすくなり、鬱などに陥るケースもあります。第4段階は承認欲求。尊敬されたい認められたいと願う欲求を指します。出世欲もここに該当します。他者からの名声や地位を求める欲求もそうですし、自分の能力やスキルを高めて自分で自分を承認するという自己承認欲も含まれます。そして第5段階は自己実現欲求。ありのままの自分で創造的な活動をしたいという欲求です。

FIREの先には、この第5段階の欲求を満たしたいという願望もあるのではないでしょうか。

「SDGs」や「サステナブル」などの言葉も頻繁に耳にするようになりましたが、ソーシャルグッドな活動に自分の人生の時間を使いたいと願う流れに世界中が徐々に変わってきていると思います。経済的利益だけを追求すればいいという時代ではなくなっているのです。

FIRE運動の火付け役とされるヴィッキー・ロビン氏。彼は、経済的自立によって手に入れた自由は、社会をより良くするために使うべきだという明確な考えを持っています。

コロナウイルスの感染拡大という人類の危機に直面したことで、生き方を見つめ直した人も多いのではないでしょうか。経済的に自立するために、お金を稼いで貯めて増やすこともとても大事なことですが、もっと大事なのは、その先にある自分自身が何を大切にしたいのか、何を実現したいのかという、自分自身の人生の価値観を明確にしておくことなのだと思います。

Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。

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