35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。【英語力ゼロレッスン】「人のEnglishを笑うな」第81回!
わかる人にしかわからない、ハイレベルな味!?
「大人の味ですね」。洗濯ものを畳みながら見ていたテレビでグルメリポーターがそう言っているのが聞こえてきました。――「大人の味」。ながら見のテレビでしたが、なぜかその時、その意味をじっくり考えてしまいました。「わかる人にしかわからない、ハイレベルな味」という意味だと思うのですが、それは一方で「わからない人にはわからない」、つまり万人ウケする味ではないということでしょう。
小さい頃嫌いだったピーマンをいつの間にか食べられるようになった時、大人になった気がして、同級生にツウぶってピーマンの魅力について語るなどしていた小学生時代を思い出しました。そして、これは英語でも言えるのか、調べてみました。
acquired taste
どうやらこれが近い気がします。
「最初は嫌いだったけど、何回かトライするうちに好きになってくる」という時に使われるフレーズだそうです。
ケンブリッジの英英辞典にはこのような例文がありました。
Olives are an acquired taste.
オリーブって確かに、子供が好きだとは思えない、おつまみ的な味ですし、初めて食べた時はそんなに美味しいとは思わなかった気がします。しかし慣れた今、ビンごと買うことも多々あります。
“acquire”は「獲得する」という動詞です。まさに「この味覚を獲得できたものだけが楽しめる」ということで、まさに「大人の味」といえるでしょう。
同じような言い方で“grow on me”というフレーズも発見しました。
ケンブリッジ英英辞典の例文をご紹介します。
I wasn't sure about this album when I bought it, but it's really grown on me.
(このアルバムを買った時はよくわかんなかったけど、だんだんほんと、好きになってきた)
ということだそうで、「最初よりも好き」「だんだん好きになった」というような意味合いのようです。余談ですが、私は「最初はよくわからなかったが、だんだん好きになってくる音楽」のことを「スルメ」と呼んで、中学生の時に仲間内で「ブルーハーツってスルメだよね」とか嘯(うそぶ)いていました。口に入れた時よりも、噛めば噛むほど味がわかる、聞けば聞くほど、好きになる、というようなことを表現したかったのだと思います。
ちなみにこちらは人にも使えるそうです。
You grew on me.
と言われたら、「好きになっちゃった(最初より)」という意味なので、( )内の「最初」がどの程度のもので、どのくらいまで「好きになった」のかぜひ確認しておいてください。場合によっては「嫌いだったけど慣れた」ということもあり得るみたいです。
Illustration=Norio