35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第78回!
ベビーカーは通じない!?
和製英語に大混乱
久しぶりに、外国人向け日本語のレッスンをオンラインで開講し、日本に住むアメリカ人の生徒さんと話していた時のことです。
「英語ネイティブにとっては日本語の『カタカナ英語』はすごく難しい。この前は、『ベビーカー』って言われてなんのことかと思ったよ」と流暢な日本語で言われました。
「ベビーカー」は、どうやら和製英語だそうで、英語では“stroller”というそうです。
私はずっと“buggy”だと思っていましたが、その生徒さんは「buggy? なにそれ?」とおっしゃっていました。アメリカ人でも“Baby buggy”などと言う人もおり定かでないのですが、その反応から見るとアメリカよりはイギリスで“buggy”と使われることが多いようです。イギリスでは他にも、“pram”という言い方もあるようです。
「ベビーカーって言われて、赤ちゃんが遊ぶ車のことかと思った。まさか赤ちゃんが乗るとは思わなかったよ」
とその生徒さんは言っていました。
このように、和製英語やカタカナ言葉は、英語ネイティブにとっては鬼門なのだそうです。
また、たとえ英語と意味が一緒の場合でも、ほとんどの英単語はカタカナとはまったく発音が違います。私は以前“what’s the theme?(テーマはなに?)”と言ったつもりでまったく通じなかったことがありました。「テーマ」を英語だと思ってそのまま発音していたからです。“theme”は「テーマ」ではなく「シーム」(カタカナにしてしまうとまた違ってしまうのかもしれませんが)に近い音だそうです。この時は、「テーマ!」と何度言っても通じず、結局紙にスペルを書いて伝え“Oh! Theme!!”と驚かれました。よく考えれば舌を噛むように、と散々言われている“th”で始まる単語なので「テーマ」なわけないなと後から納得しました。
うまくいかない関係性を語る
don’t see eye to eye
日本語を一生懸命勉強している生徒さんに触発されて、やっと重い腰を上げ、普段自分が教えているアプリで、今度は生徒として受講しました。久々の完全英語の会話に、あたふた、もともと自信がなかった発音も、練習をサボっていた時間の分だけ、筋肉が衰えていたように感じました。
英語教師の資格を持つ、ベテランイギリス人講師のおばさまと、ゆっくりと会話していくうちに、おばさまは、表情が陰ってきました。よく聞いていると、いつの間にか、自分の上司の悪口を言い始めているようでした。
We maintain a professional relationship, but we don’t see eye to eye on many issues.
「プロフェッショナルとしての関係を保っている」というのはなんとなくわかったのですが“don’t see eye to eye”の意味がわかりません。
仲が悪いから目を合わせないってこと? とも思ったのですが、調べてみると。
see eye to eye=意見が一致する、賛同する
ということだそうです。このおばさまの場合は
「プロとして、なんとかやっているわよ。でもほとんどのことで意見が合わないのよね」と上司のことをぼやいていました。
その意味がわかると、「ああ、上司との関係なんてどこもそういうものだなぁ」と共感、少しおかしくなって、しばしおばさまの愚痴を聞いていました。明るく楽しい話題ばかりより、ちょっと愚痴があった方が、大人の英会話は捗るな、と感じた瞬間でもありました。
Illustration=Norio