35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第77回!
ホットデスキング? ホットドック?
先日、駅のホームでとても上手な英語でビデオチャットをしているサラリーマンを見かけました。帰国後、英語力ゼロに戻った今の私に彼の英語が理解できるのか、耳をすませてみたら。おそらく、その方は、オンライン英会話のレッスンをしていました。先生に自己紹介をし、英語を勉強する理由のようなことを語っていたのだと思います。駅のホームで電車を待つ時間も、英会話のレッスンにあてる。素晴らしい努力の方だと羨望の眼差しで見つめ、さっきまで夢中で読んでいた芸能人の不倫報道の記事(もちろん日本語)がどうでもよくなりました。
焦った私は、さっそく久々にオンライン英会話にアクセス、そのサラリーマンのことを先生に話しました。「スマホがあれば、どこでも仕事と勉強できるもんね〜」と先生はおっしゃったあと、こう言いました。
Also, Hot-desking is an office trend.
(ホットデスキングも、オフィストレンドよね)
ホットデスキング? ホットドック的ななにか? オフィスで流行っている?
よく聞いてみると、これはオフィスで個人の席が決まっておらず、好きなところを使っていいという、日本でいう「フリーアドレス」のことのようでした。
「ああ、フリーアドレスか」と言っても先生にまったく通じなかったので、おそらくこれは和製英語なのだと思います。
なぜ、“Hot desk”(あたたかい机)が、フリーアドレスなのか。聞いてみると、もとは“Hot racking”という、海軍の船で使われていた、簡易ベッドからきているそうです。船の中はスペース節約のため、簡易ベッドは船員の数より少なく、交代で寝ていたそう。「前の人のぬくもりが残っている簡易ベッドに寝る」から“Hot racking”と呼んでいたということです。
確かにフリーアドレスも、前の人のお尻の温もりが残っている席に座る、ということで“Hot desk”なのでしょう。
わたしは残念ながら“Hot desking”を取り入れている会社に勤めたことがないのですが、イケメン社員の温もりが残っている椅子、少し座ってみたいような気もします。
「靴下を上げろ!」と言われたら怒られている!?
オフィスで使う“Hot desk”を覚えたついでに、先生は「これもオフィスで使うんじゃない?」と教えてくれました。
Pull your socks up
直訳すると「靴下を上げろ」ですが、これは「現状いまいちだから、もっと努力しろ」というような意味だそうです。
ケンブリッジの英英辞典にはこのように例文が紹介されていました。
He's going to have to pull his socks up if he wants to stay in the team.
(もしこのチームに残りたいなら、彼はもっと頑張らないといけない)
オフィスでよく使う、と先生はおっしゃいまいしたが、まぁ確かに使われているような気もしますが、あまり言われたくはないフレーズです。
しかし、もしこのフレーズの意味を知らなかったら、言われた時に本当に靴下をひっぱってさらに怒られる気がするので、ぜひ覚えておきたいところです。
Illustration=Norio