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2020.09.20

「キャッシュレス時代のお金の形」ABCash児玉 隆洋

新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。アフターコロナのお金論8回。

アフターコロナのお金論

貝、塩、布、米、金、銀、銅、紙、デジタル

8月29日は、お金を学ぶ日。実はこの日、日本最初の流通貨幣「和同開珎」がつくられたとされている日なのです。発行されたのは約1300年も昔になります。

まず、お金の起源について話します。大昔、人々は自分のものと他人のものとを直接交換することが主流でした。物々交換です。しかし、欲しい物が手に入らなかったり、交換する物の価値が異なったりと不便なやり方だったので、物々交換は少なくなり、やがて物品貨幣と呼ばれるものに変わっていきました。

この物品貨幣の中で有名なものとして、貝、塩、布、米などがあります。なかでも貝を用いたものがメジャーでしたので、お金に関する漢字に「貝」が多く使われているといわれています。「財」「貯」「貨」「買」などです。そしてやがて、物品貨幣の中でも金属が広く用いられるようになり、金貨、銀貨、さらにその後紙のお金、紙幣が登場しました。

そして現在、デジタル通貨が誕生し、新型コロナウィルス感染拡大を契機に、デジタル通貨によるキャッシュレス決済が一気に広がっています。

ということで、今回のテーマは「キャッシュレス決済」です。

皆さんはキャッシュレス決済と聞いて、どういう決済方法が思い浮かぶでしょうか?

キャッシュレス決済は前払い、即時払い、後払いという、支払いが発生するタイミングで3種類に分けられます。前払いは電子マネー、即時払いはデビットカード、後払いはクレジットカードがその代表格です。また、ここ最近急速に普及が進んでいる決済方法として、QRコード・バーコード決済があり、スマホ1台で決済が完結するという手軽さで注目されています。

それではここで、お金のトレーニング。

日本におけるキャッシュレス決済比率、2008年から2018年の10年間で2倍に増えた。◯か✕か?

答えは「◯」です。日本におけるキャッシュレス決済比率は2008年には11.9%でしたが、10年後の2018年には24.1%まで上昇しました。さらに、消費税増税によるキャッシュレス決済時のポイント還元キャンペーンや、新型コロナウィルス感染拡大を契機に、非接触で決済できるキャッシュレス決済の利用が普及しています。

世界主要各国ではキャッシュレス決済比率は40~60%と言われており、日本も将来的には80%以上を目指しています。急激に利用が拡大しているわけですが、ではなぜ国はキャッシュレス決済を推進するのでしょうか。

消費者側と店舗側の両面からみてみましょう。まずは消費者のメリット。それは利便性向上です。小銭の管理が不要になったり、高価なものを購入する時でも大金を持ち歩く必要がなくなったりと手ぶらで簡単に買い物が可能になりました。また、買い物の際の消費履歴の管理が簡単になったこともメリットだといえます。

次に店舗側のメリット。それは、店舗運営の効率化や売上拡大につながることです。例えば、レジ締めにかかる時間はレジ1台あたり25分といわれています。レジが10台ある店舗では250分なので、4時間以上。これらの作業時間の短縮が可能になります。さらに、訪日外国人はキャッシュレス決済を好む傾向にありますので、インバウンド需要の取り込みにより売上の拡大が見込まれます。

さらに、消費者側、店舗側両者のメリットとして、ウイルスを媒介する可能性のある現金に触れる機会の削
減、つまり衛生的な取引が可能になるというメリットがあります。

そして今、キャッシュレス決済の普及、マイナンバーカードの普及を推進する政策が始まりました。マイナポイントです。

ここでマイナポイントについて、お金のトレーニングです。

マイナポイント。最大で何%のポイントが還元されるでしょうか?

答えは「25%」。マイナンバーカードを利用してマイナポイントを申込み、選択したキャッシュレス決済サービスで買い物やチャージをすると利用金額の25%分、最大5,000円分のポイントが還元されます。

こういう国の打ち出す新しい政策から、お金についても国家戦略を読み取ることもできます。お金の形。当面はデジタルへと急速に変化が進むことでしょう。

それでは2100年。その未来ではお金はどういう形になっているのでしょうか。

もしかしたら、今では想像もできない形に変わっているのかもしれません。そんな2100年の未来でも、貝殻をお金として使っていた大昔でも変わらないもの。それは、お金がそれ自体が目的となるものではなく、人生を輝かせるための手段にすぎないということ。

お金の形は変わっても、お金の本質はこれからもずっと変わらないのです。

Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。

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