筋肉は、顔周りや首周りにだってある。力強く、そして豊かな表情、ハリのある美声。劇的に印象を変える&今日から実践できるトレーニングを喉の筋肉に精通する専門家が伝授する。【特集 筋肉投資】
筋肉が衰えると、声帯がたるみハリのない声に
表情の乏しさ以外にも老けて見られる顔周りの大きな要因がある。それは喉、つまり声だ。声の疾患を専門とする東京医科大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の本橋玲氏はこう話す。
「声帯は1秒間に男性の場合、100回ほど震えて音、つまり声を出しています。弦楽器の弦をイメージしていただいたらわかりやすいかもしれません。その周りの筋肉が衰えると、声帯がたるんでいき、空気がもれて掠れ声になっていきます。弦が緩んだギターのようにハリのない声になり、それが老けた印象を与えるのです」
また、話す途中で咳をしたり、食事中にむせることが多くなってきたと感じる場合は、声筋が衰えてきている証拠だという。さらに男性の場合は加齢とともに声が高く、女性の場合は低くなってくる。どうしたらハリのある声を取り戻せるのだろうか。
「まずは、『あー』と声を出してひと息で、男性の場合は20秒以上、女性は15秒以上続かなければ筋力が衰えているかもしれません。喉のトレーニングでは、両手に力が入った状態で息をこらえることで、声帯を開閉、伸縮させる喉頭筋(こうとうきん)が鍛えられます。秘訣はただ息を止めるのではなく、しっかり“こらえる”こと。口を軽く開けて、喉のあたりの筋肉を意識してください」
一度に10回、朝昼晩それぞれ行うと、3週間で声の印象が変わる人もいるのだという。
「とはいえ、息をこらえるのはハードですから、持病のある方や血圧が高い方は無理せず行ってください。また喉を若々しく保つためには、蒸気をあてて乾燥を防ぐことも重要です。英語を話すことも腹式発声のトレーニングになるので、ハリのある声のためにはいいですよ」
人の印象を司る表情と声。身体の筋トレをするように、顔や喉の筋肉を意識的に鍛えることも、人前に立つことの多い経営者やビジネスパーソンにとっては欠かせない。第一印象こそが人に大きなインパクトを与え、時にそれしだいでビジネスが大きく左右されるのだから。
喉のトレーニング
ここに効く▶︎ 喉頭筋(こうとうきん)
この記事はGOETHE 2024年11月号「総力特集:ハイリターンな貯筋計画 一生涯、筋肉投資。」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら