肉体をリラックスさせ、呼吸の速度を遅くして、心の働きを鎮めていく。この3つのポイントを組み合わせて、脳疲労の解消へとアプローチする「脳休瞑想」のやり方を紹介。『聴くだけで快眠、疲労回復! 脳休瞑想』より一部抜粋して紹介する。
硬くなった体の緊張を解き心をゆるめて脳を休息させる
人間が感じる疲れには、2種類あります。
1つは筋肉の疲れによる「末梢性疲労」。これは単純に休養すれば解消しますが、もう1つの脳の疲れによる「中枢性疲労」は、仕事や家庭などの問題が絡み合うことが多く、簡単に解消できません。
しかし、脳の疲労をそのままにしておくと、自律神経が乱れて負のスパイラルに取り込まれることは、先に説明した通りです。
「脳休瞑想」は、グラヴィティヨガ内での瞑想の実績をもとに、短時間で脳を休息させる目的で作られました。本能、感情、気分などを感知する旧大脳皮質とそれらを認知する大脳皮質の両者の働きを「言葉と音」の技術で速やかに調和、休息させることで、体の疲労を短時間で和らげるプログラムです。そもそも、「体の疲労感は、脳が疲労した際の信号である」という原理をもとに考案されました。
これまで、脳を休めるためには、優位になった交感神経をゆるめて副交感神経を働かせ、自律神経のバランスを整えることが重要とお伝えしてきました。その状態に導くためには、体の緊張をゆるめてあげることがポイントです。なぜなら、交感神経が活性化しているとき、体は緊張状態にあり、体がリラックスした状態でないと、副交感神経がうまく働かないからです。
また、体が緊張状態にあると、体温が下がり、寝つきが悪くなるなど不眠の原因にもなります。「脳休瞑想」は呼吸とともに、全身の筋肉をゆるめていくことで、良質な睡眠へとつなげていきます。
まずは、瞑想への準備として「呼吸調整」と「ボディスキャン」を行ってみましょう。次に、二次元コードを読み取り、「脳休瞑想20プログラム」にトライしてみてください。瞑想を行う際、ブランケットやアイピロー、アイマスクを使用していただくと、瞑想の効果が高まるでしょう。
そして、冒頭にもお伝えしたように、「脳休瞑想」は音楽も重要な構成要素。使用している音楽は、独自の理論に基づいた“脳を休めるための究極の音楽”です。記憶と結びつけてしまう楽器の音色ではなく、非現実的な音色を多く取り入れ、妄想状態に陥らないよう工夫しています。現実の世界と非現実的な世界の境目をさまようような音楽で脳をリセットし、最後には頭をスッキリさせて起こしてくれるような効果が期待できます。この「言葉と音」を一緒に体感できる動画はこちらよりご覧いただけます。ぜひ、味わってみてください。
「脳休瞑想」準備編
心身を瞑想状態に持っていくためには、2つのポイントがあります。「呼吸調整」と「ボディスキャン」でまずは感覚をつかみましょう。こちらから、ナレーションの声に沿ってお試しください。
■呼吸調整
このひと時は自分のために使うと意識し、自分の内面を観察する意識をもって行う。
1. 呼吸は鼻で行う。まずは1呼吸して鼻が通っているか確認し、少しでも通れば鼻呼吸で。自然な呼吸に意識を向け、呼吸をしている自分を観察してみる。
2. 自然な呼吸に戻す。呼吸によって体の中を通り抜ける風の流れを意識してみる。吸う際は、外側の冷たい乾いた空気が体内に流れてくるのを感じて、吐く際には体内で温められた風が外へ出ていくのを意識すること。これを3回繰り返す。
■ボディスキャン
体のパーツひとつひとつを照らすように、意識を動かしていく。
1. 手の指先から、手のひら、手の甲、手首、肘下、肘、上腕部、肩、脇の下と順に意識を向けていく。そのまま右側のウエスト、お尻、太もも、ふくらはぎ、足首、かかと、足の裏、つま先へと意識を下げ、右半身が心地よく解放されるように感じたら、左半身も同じように行う。
2. 頭部から腹部へと意識を向けていく。額、眉、目、耳、鼻、頰、唇、顎、喉、鎖骨、胸、みぞおち、おへそ、下腹部、もも、ひざ、すね、足首、足の甲、つま先、足裏、かかと、ふくらはぎ、ひざ裏、もも裏、お尻、腰部へと順に意識を下げていく。
3. 後に、背骨、肩甲骨、首の後ろ側、後頭部、頭頂部へと意識を向ける。体全体を心地よく包み込むように意識していく。頭で考えずに心を解放し、今の自分をすべて受け入れる
「脳休瞑想」実践編
呼吸調整」と「ボディスキャン」で感覚がつかめたら、20分間の瞑想を行ってみましょう。こちらからナレーションの声に沿ってお試しください。
「脳休瞑想」理論編
「脳休瞑想」は深く瞑想状態に入れるように、段階に沿って構成されています。体の部位へひとつひとつ目を向けることで身体感覚を養い、心の焦点を広げ、意識の拡大を図っていきます。それぞれのパートが持つ意味を知ることで、より瞑想状態に入りやすくなるでしょう。
①精神調整(心の準備)
心をゆるめ、素直な自分に戻る言葉に耳を傾け、瞑想に入る前の心の準備をします。ザフィアチャイムやティンシャの癒やし音が始まりの合図です。
②身体調整(力を抜く)
姿勢を正しく整えることで硬くなった筋肉がゆるみ、力が抜けていきます。血行を良くすることでリラックス状態へ。時間の長いバージョンでは、寝ながらできる体のほぐし方が入ります。
③呼吸調整(自然な呼吸を意識、腹式呼吸)
最初は呼吸の風が通る流れや呼吸による体の動きに意識を向け、段階的に内側(内面)へと意識を移していきます。 そして、鼻腔や気道の通りを良くして呼吸筋群を働かせ、 呼吸とともにいる自分や“いま”を意識化します。呼吸法を用いて自律神経のバランスを調整し、余分な緊張を解き放ちます。 特に腹部での呼吸は横隔膜を使うことで周辺に多くある副交感神経を活性化、リラックス状態へと導きます。
④ボディスキャン(身体感覚を養う、焦点の拡大)
体の部位のひとつひとつを頭で考えるのではなくダイレクトに心で感じることで、感覚を明瞭に繊細に感じられるようになり、身体感覚が養われていきます。内受容感覚(身体内部の感覚を認識すること)を高め、心(感情)や体の状態に気づくことができるようになります。感覚の目覚めや気づき、集中する力が持続します。また、自己を知ることは他者への共感や理解にもつながると考えられ、焦点の拡大を図ります。この最中に眠たくなり寝てしまうのは、脳や体がとても疲れていた状態からリラックスできたことの表れ。できれば寝てしまわず、意識を保つように心がけてください。
⑤深まる瞑想(心身解放、意識の拡大)
自分の体という感覚から溶け出し、生きとし生けるすべてのものと一体となる感覚を味わいます。頭で考えず心を解放し、〝いま〟の自分をすべて受け入れましょう。瞑想状態を保ち、心身ともに解放され、意識の拡大を図っていきます。また、時間の長いバージョンにより、潜在意識へ働きかけるアファメーション(自分に対しての決意表明)では自己肯定感を高めていきます。瞑想により直観が磨かれることで、瞑想中に気づいた潜在意識に組み込まれた思いを日常生活の中でも意識することができるようになります。
⑥覚醒(意識を取り戻す)
段階的に意識を取り戻していきます。意識と呼吸と体を順番につなげていきます。始まりの合図同様、ザフィアチャイムやティンシャが意識を取り戻すための音楽です。
⑦精神調整(心の中で言葉を唱える)
愛、感謝、ゆるし、知足(満たされている)を心新たに認識するでしょう。自らの癒やしのエネルギーで全身全霊が満たされていきます。その強い癒やしのエネルギーは日常生活に戻っても続いていきます。