エグゼクティブの間で不眠や不調に効くと話題になっているCBD(カンナビジオール)。注目度が高まる一方で、効果や安全性への疑問や不安の声も聞かれるようになった。そこで聖マリアンナ医科大学の井上 肇教授に話を聞いた。
CBDは夢のような成分ではない
最近よく耳にするようになったCBDだが、銘打つ商品すべてが安全とは言い切れない。
「日本で企画・製造された製品ならまず問題はないでしょうが、並行輸入品には注意が必要です」と警鐘を鳴らすのは聖マリアンナ医科大学の井上肇教授。
いわゆる大麻由来の成分には、大きく分けてCBD(カンナビジオール)と、精神に作用して陶酔・幻覚をもたらすTHC(テトラヒドロカンナビノール)とがあるが、日本においてTHCは量を問わず所持するだけで違法。
そもそも日本国内ではCBDの抽出自体もほぼ困難なため、原料は日本国内法に厳格に従った物を輸入することが前提になる。合法・違法は国によって異なるため、CBDの調製方法も各国で異なり、そのためTHCの混入やTHCへの変換の危険性が生じる。
一部の疾患には優れた有効性が認められ、WHOも一定の安全性を評価したからこそ、CBDはにわかに盛り上がりを見せているのだが、こと日本では臨床研究例規模の問題で医学・薬学的に確実な知見も得られていないという。
「医薬品は正しく用いることが前提。CBDについては情報を精査し、理解して、正しく評価することが重要です」
聖マリアンナ医科大学 特任教授・井上 肇
1956年東京都生まれ。薬学博士、医学博士。星薬科大学・大学院修了。聖マリアンナ医科大学形成外科・再生医療学(アンファ寄附)講座にて細胞や薬剤を用いた再生医療を専門分野とする。