HEALTH

2021.02.18

サウナ好きが仕事ができるワケ【小橋賢児&谷尻 誠】

今やすっかりその人気が定着した感のあるサウナ。ビジネスエリートにとってサウナは裸の付き合いができる社交の場であり、また、ひとり籠もって心身をととのえるマインドリセットの場だ。今回は、今のブームを牽引するサウナー小橋賢児氏と谷尻 誠氏に、これからサウナはどう進化していくのかを教えてもらいながらコロナが落ち着いたら泊まりに行きたいサウナ宿を紹介する。

小橋賢児氏と谷尻誠氏

クリエイティブディレクター小橋賢児
「『強制リセット』の先のステージを目指す」

普段、仕事をするふたつの拠点にはサウナを設置しているというクリエイティブディレクターの小橋賢児氏。仕事関係者と一緒に入り、あたためていたアイデアをそこで話すことも多いそうだ。

「サウナは『自分はこうあるべき』『相手にはこうすべき』という意識の鎧も外してくれるので、人との仲も深まります。その感覚は、サーフィンや登山と近いものですし、同じ感覚を都市で短時間で味わえるサウナは、僕にとって『強制リセット』のような存在なんです」

だが、その手軽さには、ある種の危うさも感じているという。

UNBORN

塩水に浮かびながら深い瞑想状態に入れるタンクなどがある「UNBORN」。完全会員制で住所は非公開。詳細はこちら

「僕は毎日2時間のメディテーションを長年続けていて、その本質は『執着からの解放』です。サウナはその入口になるものですが、サウナで得られる心地よさを渇望すれば、それもまた執着です。自分をリセットした状態を長く維持することが、次のステージでは必要だと感じます」

そうした考えのもと、小橋氏は精神をゼロの状態にする完全会員制リトリートラウンジ「UNBORN」を都内某所に開業。塩水に浮かぶ体験などを通じ、新しい心のリラクゼーションを体験できる場だという。

「『UNBORN』では多くの人が自我という執着からの解放を感じられるはずですし、その状態の持続性が高いです。サウナ好きのクリエイターや経営者の人も、より明晰で平穏な意識で仕事に熱中できると思うので、ぜひ体験してほしいですね」

Kenji Kobashi

Kenji Kobashi
1979年東京都生まれ。’88年に俳優デビュー。芸能活動を休止後はマルチクリエイターとして活動し、「ULTRA JAPAN」「STAR ISLAND」などのクリエイティブディレクターを歴任。世界規模のイベントや都市開発などの企画運営にも携わる。

SAUNA DATA
サウナ歴
6年
サウナ頻度
週1~2回以上
ホームサウナ
オフィスのサウナ
サウナとは何か?
強制リセット

 

建築家・谷尻 誠
「物置きも電話ボックスも『サウナにできる』」

「街を歩いていて、小屋とか物置きとか電話ボックスとかを見かけると、『あれもサウナにできるな』と思ったりしますね」

既成概念を覆す、驚きに溢れた建築を数多く生みだしてきた谷尻 誠氏も、サウナにハマったひとり。今、自ら手掛けているサウナは、多くのサウナーに衝撃を与えるものになりそうだ。

「広島につくっているホテルでは、屋上にあるエレベーターの機械室をサウナにしようかなと。変な話、サウナって、どんな場所でもそこにストーブを突っこんだらサウナになる。だから『サウナらしいサウナをつくる必要はどこにもないな』と思ったんです」

THINK

谷尻氏が毎月、開催しているプロジェクト“THINK”。そのトークイベントにプロサウナーの松尾大氏を招いて語り合った。

さらに自宅にも斬新なサウナを建設中だという。

「『サウナで気持ちよくなったまま寝られたらいいのに』と思っていたので、サウナ室をそのまま寝室にできる構造にする予定です。サウナ室はサウナ以外の用途に使ってもいいし、予熱を使えば温かいですから」

なおサウナ併設のホテルには自身の会社も入る予定。この「会社にサウナ」のスタイルは、今後日本でも広まっていくかもしれない。

「人は休んでいる時のほうがアイデアが出る、だから、僕は休憩こそが仕事の神髄だと思っています。頭が冴えている外気浴の時間はアイデアが降ってくる時間でもあるので、仕事中のサウナはすごくいいと思いますよ」

Makoto Tanijiri

Makoto Tanijiri
1974年広島県生まれ。2000年に建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICEを設立。広島・東京を拠点にインテリアから住宅、複合施設まで国内外のプロジェクトを手掛ける。広島女学院大学客員教授、大阪芸術大学准教授も務める。

SAUNA DATA
サウナ歴
2年
サウナ頻度
月2回(自宅にサウナができたら週3希望)
ホームサウナ
キャンプ場のテントサウナ
サウナとは何か?
コミュニケーションの場

 

Illustration=東海林巨樹

TEXT=古澤誠一郎

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