スポ-ツ選手の使命が試合で勝つことなら、ビジネスパーソンのそれは、仕事で成果を上げること。そんな「ビジネスアスリート」に必要な、機敏に動ける体づくりのメソッドを、五輪メダリストをはじめ、メジャーリーガー、プレミアリーガー、名だたる経営者たちのトレーニングも担う吉田輝幸さんが紹介する本連載。人の体の動きの根源(コア)である「赤ちゃんの動きのトレーニング」×「筋トレ」×「機能的なムーブメント」の組み合わせで、最短で最大の効果を生む最先端トレーニングを紹介する。前回に引き続き、背骨の柔軟性を高めるトレーニング。背骨をやわらかくすることのメリットも再確認しておこう。【吉田輝幸の目指せ!ビジネスアスリート④】
インナーマッスルを使える体に
新・体幹トレーニング。前回は、背骨をやわらかくするためのエクササイズを紹介した。トレーニングというと、とかく「筋肉」だけに目が向きがちだが、ここで紹介している吉田輝幸さんの最新メソッドは、関節や骨など筋肉以外の体のパーツも重視する。それらさまざまな部位を相互に働かせることができて初めて、機敏に動ける体づくりが可能になる。
さて、背骨をやわらかくするとなぜいいのか。それは人の体の動きのなかで、背骨が重要な役割を果たしているからにほかならない。吉田さんはこう語る。
「人間は本来、背骨のしなる動きを使って、そのパワーを腰や膝、腕に伝えることで体を動かしています。ところが、背骨が硬いとしなりのパワーが得られないため、本来はジョイント部分である腰や膝、腕が自らパワーを生み出して体を動かさなくてはなりません。これでは本来不要なパワーを生まねばならず、腰や膝などのパーツが過負荷となって痛みや怪我のもととなります」
背骨という深部の部位がうまく使えないと、付近のインナーマッスルも動かせないため必然的にアウターマッスル優位の状態になってしまう。同じ動きに対して多くのパワーを要することになって非効率的なのだ。
「チーターなどの敏捷な野生動物の動きを思い浮かべてみてください。全速力で疾走しているときも、そろりそろりと獲物に近づいていくときも、ぐにゃぐにゃと全身一体となってしなる動きをしていますね。背骨を使った動きの究極の理想型です。備わった本来の機能だけを生かして動いているから、贅肉でダブついたチーターなんていないわけです」
今回紹介するのは、丸めた背骨をひとつずつ伸ばしながら上体を寝かせていくトレーニング。前回述べたように視覚と体のコア(体幹)は連携している。組んだ両手をしっかり目で追うことが大切だ。ゆっくりと静かな動きのトレーニングが、機敏な体の基礎となる。1回1回丁寧に行い、背骨の野生を呼び覚まそう。
▼ロールダウン
目的:背骨の柔軟性を高め、インナーマッスルを起動する
部位:脊柱、背筋
〈回数の目安〉5~10回
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Teruyuki Yoshida
パフォーマンス、スペシャリスト。トレーナー歴25年で数多くのトップアスリート指導からヒントを得て最短で最大の効果を出せる「コアパフォーマンス®︎」を考案し、数多くのトップアスリートやアーティスト、ビジネスパーソンのトレーニング指導をおこなっている。