今回は上り傾斜のパッティングのカップインの確率を高めるポイントを紹介する。
上り傾斜は強く打つ勇気が必要
「ネバーアップ、ネバーイン」という言葉を知っているだろうか。日本語では「届かなければ、入らない」という意味になり、パッティングを打つときの心構えとされている。
ボールがカップに届かなければ当然カップインしないので、弱気にならずに自信を持って打つことが大切だという戒めも含んでいる。
ただ、パッティングは常に強気で打てばよいというものではなく、下りのパットを強く打つと、外れた場合にボールが大きくオーバーして3パットをしてしまうこともある。
状況を適切に判断して対処することが必要だ。
「ネバーアップ、ネバーイン」という言葉を思い出すべき状況は、上りのパッティングを打つとき。特に2~3mの上り傾斜のパッティングでは、ボールが思ったほど転がらず、カップの手前で止まって悔しい思いをすることが少なくない。
上り傾斜は自分では強く打ったつもりでも、打ち切れずにショートしてしまうことがある。だが、強く打ちすぎると、返しが下り傾斜のパットになり、カップインさせるのに神経を使って苦労することになりかねない。
上り傾斜のパットをしっかりとカップインさせるには、ボールをカップに届かせるための適切な距離感が求められるのだ。
カップの少し先に目標を置く
今回は上り傾斜のパッティングのカップインの確率を高めるポイントを解説しよう。
上り傾斜のパッティングで最も大切なのは距離感だ。
まず、上っている傾斜の影響でボールが転がりにくいため、カップにボールが届かせるために強めのタッチが必要になる。
そうすると、必然的に傾斜の影響を受けづらくなるので、ボールの左右への曲がり幅が少なくなる。そのため、縦の距離感に比べて、フックやスライスといった左右の曲がり幅を考える優先度は低い。
極端なことを言えば、右に曲がるか、左に曲がるかといったラインのことは考えなくてもいいくらいだ。ボールの曲がりは考えずに、まずは距離を合わせることを最優先にしてほしい。
上り傾斜でショートする傾向がある人は、ボールを打つ際にカップをターゲットにしている場合が多い。
カップをターゲットにしてボールを打つと、強く打たなければいけないと頭ではわかっていても、無意識にカップにボールが止まるくらいの強さで打ってしまうことがある。
上り傾斜でショートする傾向がある人は、カップの少し先に仮想カップを設定し、そのターゲットにボールを止めるようにするといいだろう。
カップは通過点と考え、その先の仮想カップにボールを止めるようにイメージすることでショートしにくくなる。
目標となる仮想カップを決めたら、ボールの後ろでカップと正対した状態で目標を見ながら素振りをしてほしい。
人は目と手が連動しており、目で見た情報を手の動きに反映させる「ハンドアイコーディネーション」という機能が備わっている。この機能を活用して、目標地点を見ながら素振りをすることで、適切な振り幅が決まり、タッチが合いやすくなる。
実際のストロークではインパクトの強弱で距離感を作らないようにしてほしい。
強く打とうとするとパンチが入りがちだが、あくまでも振り幅の大きさでタッチを合わせるようにするといいだろう。
ターゲットと振り幅が決まれば、あとは勇気を出してストロークするだけだ。「ネバーアップ、ネバーイン」の言葉を思い出してボールを打とう。
上りのパッティングでは、カップ先の仮想カップにボールを止めるイメージを持って挑んでほしい。そうすれば、カップに届かず悔しい思いをすることも減るはずだ。
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◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。