いよいよ開幕するZOZOチャンピオンシップ。今回は、2024年大会の見どころとともに、注目の出場選手、コリン・モリカワのアイアンショットを紹介する。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。
ZOZOチャンピオンシップの見どころ
日本で開催される唯一のPGAツアートーナメント、ZOZOチャンピオンシップが2024年も10月24日からアコーディア・ゴルフ 習志野カントリークラブで開催される。
ZOZOチャンピオンシップは2019年に日本国内初のPGAツアートーナメントとして開催され、タイガー・ウッズが初代優勝者となり、サム・スニードに並ぶ82勝の最多勝利記録タイ記録を樹立して盛り上げた。
2023年から翌シーズンのシード権などを争うフェデックスカップ・フォールの大会の一つと位置付けられ、飛躍のきっかけをつかもうとする若手や中堅が熾烈な戦いが繰り広げるフィールドとなった。
また、日本ツアーの選手にとっては、PGAツアーへの切符をつかむための絶好のチャンスの場となっている。もちろん、松山英樹をはじめとするPGAツアーのトップ選手も出場するので、世界最高峰の技術を間近で見られるのも楽しみの一つだ。
2024年大会の注目選手を紹介しよう。
2年連続優勝を狙うコリン・モリカワ
フェデックスカップ・フォールでは、優勝者にはレギュラーシーズンと同じく2年間のシード権と500フェデックスカップポイントが与えられる。
さらに、1月のザ・セントリーや3月のザ・プレーヤーズ選手権、4月のマスターズ、5月の全米プロゴルフ選手権の出場権も得られる。
125位のシードを争っている選手はもちろん、すでにシード権を獲得している選手にとっても重要な試合であることに変わりはない。
2023年大会の優勝者のコリン・モリカワは、2021年には全米オープンと全英オープンの2冠を達成するなど、PGAツアーを代表する選手の1人だ。
しかし、全英オープンで優勝した後は長い低迷期を経験。つらい時期を脱するきっかけとなったのが、2023年のZOZOチャンピオンシップでの2年ぶりの優勝だった。
2023年大会ではクレバーなプレーが印象に残った。
最終日の17番ホールではセカンドショットをバンカーに入れたものの、想定内といわんばかりの冷静なプレーでパーをセーブ。
セカンドショットはフォローの風とラフからのショットということでボールが止まりづらい状況だったため、オーバーして奥のラフに外すよりもグリーンの手前ギリギリを狙い、上手くいかなくてもバンカーからパーをセーブするというマネジメントをしていた。
これまでも厳しいセッティングを経験しているからこその攻め方だと感心した。最終18番ホールはバーディーフィニッシュとし、7バーディーノーボギーのスコア63で優勝を飾った。
今シーズンはレギュラーシーズンでの優勝こそなかったが、8回のトップ10入りと上位に顔を出す機会は多かった。フェデックスカップランキングは最終的に2位となり、見事に復調を果たしたと言っていいだろう。ZOZOチャンピオンシップ2連覇も十分可能と言える。
第1回大会から出場を続けるシャウフェレ
ZOZOチャンピオンシップでザンダー・シャウフェレを見たいと思っている人は例年以上に多いだろう。
2024年のシャウフェレは充実のシーズンを過ごし、全米プロゴルフ選手権と全英オープンのメジャー2冠を手にした。プレーオフも3戦とも5位以内となり、1年間を通して安定した戦いぶりが目立った。
シャウフェレも日系4世のモリカワと同様、日本との縁が深い。
母親は台湾人だが、日本育ちで祖父母は今も日本で暮らしている。妻の母親も沖縄生まれの日本人ということで、夫婦そろって子供の頃から日本の文化に親しんできたという。
2021年の東京五輪で金メダルを獲得したことも記憶に新しい。シャウフェレはZOZOチャンピオンシップに第1回大会から出場しており、コースも熟知している。
日本のファンからの声援にも後押しされ、初優勝のチャンスは十分にあるだろう。
その他にも、松山英樹をはじめ、ジャスティン・トーマス、リッキー・ファウラーといったビックネームのプレーからも目が離せない。
また、シーズン終盤にブレイクしたマックス・グレーザーマンや、9月に行われたプレジデンツカップに選出された選手などの勢いのある選手にも注目だ。
モリカワの武器は正確なアイアン
体格に恵まれているわけではないコリン・モリカワがトッププロとして活躍できる理由は正確なアイアンショットにある。PGAツアー屈指のアイアンショットの名手といっていいだろう。
モリカワのアイアンショットの特徴は二つある。
一つ目は体と腕がシンクロしていて、スイング中に両肘と胸でできた空間が変わらないことだ。もう一つのポイントは、トップの位置で左手首が手のひら側に折れる「掌屈(しょうくつ)」の状態になっていることだ。
デビュー当初のモリカワはクラブを閉じる度合いが強く、トップでフェースが空を向いていたため振り遅れることがあった。現在は以前よりもフェースの向きがスクエアに近づき、スイングの再現性が高まっている。
モリカワは再現性の高いスイングで正確なショットを打つことで、PGAツアーの体格の良い選手たちのパワーに対抗している。
モリカワのプレースタイルやスイングは、アマチュアゴルファーの参考になるはずだ.
動画解説はコチラ
吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。