今回は肩の動き、意識について。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
【肩は無理に回さず、楽に動かす】
ゴルフスイングのチェックポイントはいくつかあるが、肩の回転もその一つだ。PGAツアー選手のトップ・オブ・スイングは、左肩があごの下に入り、背中がターゲットに正対するほど回転して体が大きくねじれているように見える。そのようなスイングに憧れて練習に励んでいるアマチュアゴルファーの中には、肩を大きく回すことを意識しながらスイングしている人も多いだろう。それに加えて「上半身と下半身の捻転差」を出すために、下半身を止めて上半身を捻じりながらバックスイングをしている人もいると思う。
プロゴルファーは肩を大きく回して体をねじり上げているように見えるが、実際は大きなストレスがかかるほど無理に体をねじっているわけではない。肩を大きく回したり、上下の捻転差を大きくしようとして下半身を止めて体を回転させると、体に大きなストレスがかかり、腰などを傷めてしまう原因になる。見よう見まねで体に負担がかかるスイングをすると怪我をするだけではなく、飛距離が落ちたり方向性が悪くなるなど、パフォーマンスが下がることがあるので気をつけたい。
かくいう私も、ティーチングの勉強を始める前は、肩を回そうとしたり、下半身を止めて体をねじり上げて飛ばそうと考えていた。約20年前のゴルフレッスンで行われていた「下半身を止めて上半身をねじり上げ、そのねじり戻しのパワーで飛ばす」という理論を信じて取り組んでいたのだ。しかし、実際のところ人間はゴムでできているわけではないので、ねじり戻してもパワーが出るわけではないため、飛距離が出ない上にボールが曲がる手打ちスイングになっていた。
その後、指導者になり世界中でゴルフスイング理論を学ぶうちに、肩の回転はあくまでも結果であって、意識して肩を回転させようと考える必要はないという結論に至った。スイング中に無理に「肩を回そう」とせず、体を効率的に使うことで自然と「肩が回っている」状態にすることが大事なのだ。
【下半身を使って上半身を回転させれば肩は回る】
肩を効率的に回転させるためには、下半身の動きが重要になる。下半身は土台だと考えて固めてしまう人がいるが、下半身を動かさないと上半身が回転しづらくなる。地面反力を使って下半身を動かすことで、上半身がスムーズに動き、結果的に肩を大きく回転させることができるようになる。
下半身を止めるスイングと動かすスイングの2種類のシャドースイングを実際に行い、下半身の動きによって肩の回転がどのような影響を受けるかを実感してみてほしい。
まず、クラブの両端を持って両肩の前にセットし、アドレスの姿勢をとる。最初はがっちりと下半身を固定して体を回転させてみよう。下半身固定タイプのシャドースイングでは、かなり頑張っても肩が大きく回らないし、おなかや腰に大きなストレスがかかると思う。下半身を止めた状態で無理にクラブを高く上げようとすると、体の回転が不足し、腕を使ってクラブを上げがちだ。その結果、体と腕のシンクロが崩れて手打ちのスイングになってしまうことがある。
次はバックスイングの始動で右足を踏み込み、地面反力によって右の股関節が切れ上がる動きと連動しながら体を回転させてみよう。この動きを実際に行ってみるとわかるが、肩を回そうと意識をしなくてもスムーズに肩が回転する。バックスイングの窮屈感や、腹筋や腰が苦しい感覚もほとんどない。
今までバックスイングで肩を回そうとしたり、体をねじろうとしていた人は、下半身の動きを使ったシャドースイングの動作を取り入れてみてほしい。この動作を行う際に特に気を付けてほしいのは、胴体部分(特に腰椎部分)を無理にねじらないようにすることだ。腰・胸・顔を1つのユニットとして回転させるイメージを持つといいだろう。
体に大きくストレスのかかるスイングでは、トッププロでも年間を通して怪我なくゴルフをすることは難しい。今までスイング中に苦しい思いをしていた人は、もっと楽なスイングをするようにしてほしい。下半身を使ってバックスイングをすることで、体に負担がかからない、効率的なスイングが身に付くはずだ。
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連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。